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〈令和8年度東都大学野球春季リーグ戦=5月14日 UDトラックススタジアム上尾 専大8-3 拓大〉

▲優勝を成し遂げた専大野球部。次なる目標は悲願の一部昇格
待ちに待った瞬間が訪れた。専大が開幕から8連勝を達成し、最終カードを待たずして優勝が決定。2023年秋季リーグから5季連続で2位に終わったが、町田公二郎監督就任初年度で栄冠を手にした。
優勝に王手をかける専大は、多田結祐(経済3・健大高崎高)が先発。打線は初回に谷頭太斗(経営4・日本航空石川高)の右適時打で援護する。しかし、3回表に追い付かれると、5回表には多田が相手打線につかまり勝ち越される。だが、その裏に山本和輝(経済4・静岡高)の同点打、和田琉汰(文2・静岡高)の適時打で勝ち越すなど計5得点を奪い、相手の先発投手を攻略。7回からは伊東賢生(経済4・千葉黎明高)が登板し、1失点するも吉水真斗(経営4・松商学園高)の左適時二塁打ですぐさま取り返した。8回は両チームとも得点圏にランナーを置くが無得点に終わる。5点リードで迎えた9回表は梅澤翔大(経営2・専大松戸高)が締めくくり、2022年秋季以来、通算24度目(リーグ最多記録)の優勝を奪還した。
専大は前日の拓大戦一戦目で先勝し、勝敗次第で優勝が決まる二戦目に臨んだ。一方、勝ち点3で並ぶ2位の駒大は3位の日大と1勝1敗のため、三戦目を戦う。この試合で専大が自力優勝するには「日大が勝ち点を獲得したうえで、専大も勝ち点を獲得すること」が条件。拓大戦の前に行われた日大対駒大では日大が勝利して勝ち点を獲得。そのため専大は勝利が必須となった。
運命の一戦は初回、井上颯太(経営3・丹生高)が守備で魅せた。1死一、三塁から相手の三塁走者は右前飛で本塁を狙うも、井上の正確なバックホームでタッチアウト。

▲右翼手・井上が好返球で多田を救った
その裏にはランナーを着実に進めて先制に成功する。一番打者の吉水が四球で出塁、山本の犠打で得点圏にランナーを置くと、谷頭が4球目をライト方向に打って幸先良く1点を先行する。

▲谷頭の先制適時打

▲二塁走者の吉水は三塁をけってホームイン
しかし、3回には味方の失策をきっかけに同点とされる。内野に高く上がった打球の処理を誤り、先頭打者が出塁。犠打と遊ゴロで2死三塁となり、外野の守備シフトを破る適時三塁打でスコア振り出しに戻る。
5回表には1点を勝ち越されるが、その直後に専大打線が相手の先発投手を打ち崩す。1死から吉水が二塁打でチャンスメイク、山本が変化球をセンターに弾き返してすぐさま同点に追い付き、和田の適時二塁打で勝ち越す。ここで、代打・山田太成(経済3・大阪桐蔭高)を起用すると、相手の野選から谷頭のヘッドスライディングで追加点を得る。打線の爆発は止まらず、渡辺維介(文3・松本国際高)の右適時二塁打と岡田晴樹(経済1・明豊高)の適時内野安打でリードを一気にひっくり返した。

▲山本の同点打で吉水が生還

▲和田の勝ち越しとなる適時二塁打


▲山田が起用に応え、谷頭の果敢な走塁で追加点
▲渡辺の右適時二塁打


▲岡田の内野安打

▲多田は6回2失点の粘投で今季3勝目
7回表、二番手の伊東が連打を浴びて1点を失うものの、その裏に吉水が初球を打って2点を加える。

▲7回表にピンチを迎え、監督と内野陣がマウンドに。その後は後続を打ち取り、最小失点で踏ん張った

▲吉水の適時打で優勝を手繰り寄せる
優勝がかかる最終イニングを託されたのは、梅澤だった。持ち前の速球を中心に好機を作らせず、最後は直球で遊飛に打ち取って試合終了。選手たちはマウンドの梅澤に駆け寄って喜びを分かち合った。この結果、来月23日〜24日に行われる一部リーグ最下位との入替戦に進出し、2017年以来の一部復帰を目指す。 
▲普段は先発を務める梅澤がクローザーとして登場



▲リーグ優勝が決まり、選手たちがマウンドに駆け寄る

▲表彰式の様子
○『101代目の主将』が持つ心構え

工藤翔斗(経営4・大阪桐蔭高)
開口一番に「優勝出来てホッとしている」と安堵した工藤。先輩方の背中を見てきた中で、自身のキャプテンとしての理念を確立していった。「自分が入学してからずっと二部での生活で、良かった部分と悪かった部分を下級生ながら見てきたので、『良いところはしっかり受け継いで、悪いところはどう改善していくか』とキャプテンとして考えていこうとやってきた」と心構えを口にした。
今年度から町田監督が就任し、規律をより一層大事にするようになったと言う。そして、一部に復帰するため、選手たちはより良い方向に変わってきた。「監督に野球以外の部分をまず言われてから、自分たちの中でも『そのようなところをしっかりしないと今までと一緒になってしまうぞ』という話はしていた。その結果として良い状態でここまで来れた。野球以外の部分もチームで変わったのかなと思っている」と以前より強くなるために、また野球人として成長してきたことで栄冠を掴み取れたと回想した。
9季ぶりの悲願達成に向けては人一倍強い想いがある。「入替戦で負けたら優勝した意味がないので。相手は一部で戦っている相手ですし、一部の意地があると思うので、そこに負けずに粘り強く戦える準備をしていきたい」と意気込んだ。
○『専修の安打製造機』吉水の意識改革

吉水真斗
吉水はこの試合でも適時打を放ち、チームの勝利に大きく貢献した。「ずっと2位だったが、『自分たちの代で絶対優勝して一部に行こう』と話していた中で、優勝出来て嬉しい気持ちはありますし、やっとここまで来れたとホッとしている」と、優勝の喜びを話した。
今季は現在リーグトップの打率5割と最多安打(15安打)、最高出塁率を誇っている。リーグ随一の好成績を残せるようになった要因に、打撃に対する考え方の変化と細部までこだわることを挙げた。「3年の春リーグが終わってから新しいことをし始めて、やっとそれが一冬越えて形になってきた。身体の使い方など細かいところまで深堀りしてやってきた結果だと思っている」と前年から新たに取り組んできたことが打撃の開花に繋がっている。
5回裏には6安打で5得点と、中盤のビッグイニングで試合の主導権を握った。あの場面については「ここで勝っていればというゲームを落としてきて二部にいる訳なので、勝ち越された時に、普段の練習から1球に対しての集中力が出た結果なのかな」と、チーム全体の打撃に対する意識が強く発揮されたからこそチャンスを多く活かせるようになり、得点力も増加した。
春季リーグ最終戦では駒大と対戦する。全勝優勝とその先の入替戦を見据えて、ここからがスタートラインとなる。「すぐ次に向けてやっていかなきゃいけない中で課題も明確に見つかっているし、細かいところも意識してあと一か月間準備していきたい」と悲願達成に向けて歩み進める。
○先発にクローザーもこなす『背番号18』の成長曲線

梅澤翔大
最終回を締めくくり、優勝投手となった梅澤。今年度から背番号18番を背負うが、その番号は菊地吏玖投手(令5・経営卒・千葉ロッテマリーンズ)、西舘昂汰投手(令6・経済卒・東京ヤクルトスワローズ)、前年度に長島暖和投手(令8卒・経営卒・NTT東日本)などエースが受け継いできただけに重圧を感じたこともあったと言う。それでも「バッテリーとの会話を多く増やしたり、自分の中で修正できるところはすぐ修正して優勝出来た」と捕手との連携や投球の質の向上を行ったことで、プレッシャーを乗り越えてきた。
梅澤も一部昇格には並々ならぬ想いを持っており、 「自分は一部で優勝するためにやってきていると思っているので、まずは絶対に一部に上がるために全力でやっていきたい」と意気込んだ。昨年は新人賞のタイトルを獲得、今年度は背番号18番を背負うなど着実に成長している。自慢の速球を活かしてどんな役割でも腕を振るう姿に注目だ。
○和田に芽生えた覚悟 宮﨑の穴を埋める今季初の猛打賞

和田琉汰
今季はここまで5試合に出場したが、思うような成績を残せなかった。その中で、打線の核を担ってきた宮﨑元哉(経営4・明豊高))が負傷離脱。そこで和田は4番打者としてスタメンに名を連ね、3打数3安打の活躍を残した。「最近打てていなくて、最後決めるところで決めたいと思っていた。元哉さんが抜けてしまったので、そのぶんもやってやろうという気持ちだった」と宮﨑が抜けた穴を見事に埋めた。
5回裏にはフルカウントからの適時二塁打で勝ち越しに成功。「あの場面は落ち着いて3ボール2ストライクまで持ってこれたので、あとはガムシャラに振っていこうという気持ちで打ちました」と打席を振り返り、試合の流れを引き寄せた。
チームは現在最多の54得点を記録しており、点を取られても取り返し、リードを保って勝ち切る力を存分に発揮している。和田はその要因を「練習から自分たちで意識が出来ていると思うので、普通のバッティング練習にしろ、場面場面を考えてやっているので、良い結果が出た」と考える。各々の選手たちが『どんな打撃をするべきか』を深く考えながら打席に立つことで、打線の厚みが増している。
次節は近年優勝争いを繰り広げてきた駒大との一戦。昨春の優勝決定戦で敗れた相手でもある。和田は全勝優勝、そして入替戦を見据えて「自分は去年の春に出て、(優勝決定)プレーオフで駒澤さんに負けてしまった。今回(優勝を)取り返せたのは良かったですけど、入替戦で勝たないと意味が無いので、そこに向けて頑張っていきたい」と決意した。
文・写真=藤林利英(文3)

