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〈第78回秩父宮賜杯全日本バレーボール大学男子選手権大会=12月5日 専大3-2順大〉
今試合は昨日と同じ展開になった。序盤の2セットで相手の高さのある強打に圧倒され、相手の粘り強いレシーブで拾われ決定打が決まらない時間が続く。そのまま第1・2セットを連続で落とした。しかし、専大は簡単には怯まなかった。後半の2セットで甲斐優斗(日南振徳高)とマサジェディ翔蓮(文1・福大大濠高)が高さを活かした強烈なスパイクで畳みかけていく。さらに、堀内大志(文4・日南振徳高)が相手の隙をつくサイドアタックを決め勢いに乗る。新居良太(経済3・開智高)は相手の強打を単独で止め、専大に流れを引き寄せた。序盤では相手のスパイクにレシーブで拾えない場面が多く見られたが、後半にかけて好レシーブが続き、攻撃に繋げることに成功した。そのまま第3・4セットをものにし、勝敗は第5セットに託された。第5セットは専大が勢いそのままに果敢に攻撃を仕掛けていく。森田慶(経営2・日南振徳高)の好レシーブをはじめ、専大は執念でボールを追いかけた。最後の最後まで攻防が続く激闘となったが、最後は堀内がブロックで仕留め、15-13でフルセットを制した。結果はセットカウント3-2で逆転勝利。ベスト4進出を果たした。

▲円陣を組む選手たち
第1セットスターティングメンバー
OH: #1甲斐 #5堀内
MB:#2千葉 #11新居
OP:#23マサジェディ
S:#20森田
L:#7水野
第1セット、甲斐の角度のあるスパイクで専大の攻撃が始まった。その後マサジェディのキレのある攻撃で相手のレシーブミスとブロックアウトを取り得点する。しかし、中盤になると次第にそれまで決まっていたスパイクが相手の鉄壁のブロックに阻まれ失点してしまう。さらに、自陣の攻撃ミスや守備ミスで徐々に点差を離され、21-25と4点差で第1セットを落とした。

▲スパイクを放つマサジェディ
第2セット、流れを変えたい専大だったが、序盤から相手の強烈なサーブを浴び、レシーブで崩されてしまう。その後も相手の強打が続き、一時判定に揺れる場面も見られ、思うようにプレーできない時間が続く。しかし、専大は相手の猛攻に執念のレシーブで応じ、甲斐の高さを活かしたスパイクや森田と千葉貫世(経済4・東北高)のブロックが決まると徐々に息を吹き返す。終盤にかけて甲斐が連続して自由自在のスパイクで相手を翻弄すると、森田の好レシーブで繋いでいく。しかし、あと一歩及ばず、23-25で惜しくも第2セットを落とした。

▲苦しい場面でも好レシーブで繋いだ森田
流れが変わったのはやはり第3セットだった。相手のサーブミスから始まり、甲斐が強打で相手のブロックアウトを取る。また、堀内がサイド攻撃で得点し、マサジェディもそれに続いて強打を放つ。さらに堀内は相手の隙を狙った巧みなスパイクを決め、チームに勢いを増していく。今試合でも新居のブロックが冴え、単独で相手の猛攻を止めるなどの好調ぶりを見せ流れを掴んだ。専大が若干リードする展開で迎えたセット中盤。自陣のブロックミスから同点に追いつかれるも、マサジェディの鋭いスパイクで先に20点台に突入すると、またしても新居が単独で相手をブロックした。最後は新居が相手の隙間を的確に狙ったスパイクで得点し、25-18と7点差をつけ、第3セットをものにした。新居は「1・2セット目は相手の好きなようにやらせてしまった。昨日まで良かったのに今日駄目という気持ちもあったが、3・4・5セット目はもう一度見つめ直して、ブロックを意識したことで、ブロックポイントも出たので、そこは良かったかなと思う」と自身のブロックを振り返った。

▲フルセットを制したことで「自身がついた」と話す新居(左)
流れに乗る専大は、第4セット、甲斐と新居の2枚ブロックで1点目を決めると、甲斐がスパイクに見せかけたツーアタックで相手を揺さぶる。千葉が速攻を決め、その直後に力強いスパイクで相手に畳みかけていく。第4セットは自陣のブロックからのセカンドチャンスを掴んだ。また、マサジェディが攻撃のギアを上げ、強気のサーブで相手を崩し、水野の好レシーブから甲斐が得点するなど猛攻を続けた。19-10と最大で9点差をつけた専大は、その後もマサジェディがブロックアウトなど冷静にプレーし、最後は相手のサーブミスにより25-16と9点差まで広げ、第4セットを獲得した。マサジェディは「1セット目はドカーンという力強いスパイクではなくて、ブロック当てて出したりとかちょこまかしたプレーが多かった。2セット目は優斗さんに挙げて、相手に対策されて取られたというのもあり、3セット目はセッター(森田)がトスをばらしながら自分も一枚になって決めきることができた」と攻撃面での修正点を話した。

▲千葉と森田のブロック
負けられない第5セット。堀内のレシーブから甲斐がコート際に強打を放った。甲斐の勢いは止まらなかった。相手の3枚ブロックにつかれるもそれを強烈なスパイクで押し込み点を重ねる。しかし、相手も再び上からの鋭い攻撃で応戦し、拮抗した試合展開を見せた。相手の強打を受け、甲斐が強打で返し、取っては取り返されるシーソーゲームが続き、新居のアタックでマッチポイントを握ると、最後は堀内が相手の強烈なスパイクをブロックで止め、15-13でフルセットに及ぶ激闘を制した。結果はセットカウント3-2で専大が勝利。ベスト4進出を果たした。

▲大一番で躍動した甲斐

▲プレーでも雰囲気作りでも存在感を放つ堀内

▲勝利後、喜びを分かち合う選手たち
試合を振り返り、新居は「クイックをやられてからのサイド、あとはシャー(=ライトバックアタック)のフォアボール(=アウトボール)が多い試合だったので、それをどうにかしようとチームで話し合っていて、3セット目にがっちり合った感じがした」と話した。マサジェディも「昨日の1戦のおかげか分からないが、3セット目から”これはいける”、”これは勝てる”という自信がみんな湧いてきて、3・4・5(セット)といけたんじゃないかなと思う」と”3セット目”がキーポイントとなったことを明かした。
今試合では判定に揺れる場面もあった。新居は「専修はいつもこういう(判定があっての)場面が多くて、状況には慣れていた。あとは大舞台で感情を出さずにどっちに転んでもしっかり切り替えることをチームで話し合った」と前向きに気持ちを切り替えた。
今試合でも4年生の存在が大きかった。
マサジェディは「5セット目でシャー(ライトバックアタック)を1本アウト打った後に、大志さん(堀内)がすぐに俺の名前を呼んでくれて、『次だ。お前は思いっきりプレーしてくれれば良いから』と言ってくれたことが大きかった。2本目もまたシャーをアウト打った時に、優斗さん、永登さん、大志さんとか4年生が全員声をかけてくれて自分は持ちこたえられた」と4年生が心の支えになったと話した。

▲雄叫びをあげる水野。押される場面でも声を出し続けた
次戦の準決勝の相手は国士舘大学。
マサジェディは「左利きのオポが相手のキーマンなので、そこをきっちり止めたい。また、サーブが強烈なのでしっかりサイドアウトをきり、逆にこちらがサーブで攻めてブロックでシャットして流れを掴めたら絶対勝てると思う」と対策を述べ、新居は「明日も難しい試合になると思うが、ここまで来たら自分たちのバレーをするしかないと思っているので、自分たちのプレーから流れに乗って、相手の流れに乗せられずに決めていけるかが鍵になってくる。そこを今日ミーティングとかでも話し合って、自分のすべきことをやっていきたい」と強く意気込んだ。
日本一まであと2勝。
専大らしさを発揮し、笑顔で楽しみながら日本一の栄光を掴み取る。
文=平野百々花(人間科学2)
写真=山中美琴(文3)

