最新ニュース
〈第20回NITTAIDAI Challenge Games 11月29日=日体大競技場〉

▲大学最後の10000mで専大記録を更新した日本人エース・新井
これまで専大の歴史を切り拓いてきた男が最後に魅せた。
日本人エース・新井友裕(文4・浦和実業学園高)がNITTAIDAI Challenge Games(以下、NCG)10000mの1組に出場した。大学最後の10000mで専大史上最速の走りを見せ、16着の28分21秒34をマーク。昨年12月1日以来、専大記録を6秒01更新し、光り輝く足跡を残した。


▲10000mでもエースのプライドを見せた
5000mの大学ラストレースの後に「専大に新たな歴史を作れるように、後輩たちにその背中を見せて卒業できるように最後までやっていきたい」と誓い、ついにこの日が来た。大学最後の10000mには「今回は今までよりも集中してそのレースに臨めた。自分としても学生最後だったので、気持ちもかなり入っていた」と言う。
今月16日のNCG男子5000mでは調子を欠いている中での出走だった。だが、今回は「前回の5000mが逆に良い刺激になった。調子も完全ではないけれど、半分ぐらい戻っていたので、今回は昨年のタイムならギリ狙えるかなと思って、レースに臨んだ」と目の色を変え、スタートラインに立った。

▲想定外のレース展開になるも、最後まで食らいつく
トップランナーが集まるNCGでは「おそらく結構速いペースになるだろうなと思っていた」と想定し、集団の後方に位置した。だが、その予想とは裏腹に集団は最初の1000mを2分53秒ほどで通過。その後も集団のペースが上がらず「しっかり中盤まで対応して、後半どれだけ粘れるかというところだったけれど、思った以上に最初前半が遅くて少し物足りなかったかなというのは思う」と想定外のレース展開に苦戦した。5000mを通過した時点で集団の中央に付くも「おそらく(集団の5000mの通過が)14分5秒ぐらいで入るかなと思っていたので、そこをしっかり14分5秒で乗って、後半も落とさないで28分1桁いければいいかなっていうのを思っていた。けれど、14分14秒くらいになってしまって、思った以上に後半も上がらなかった」と狙った展開に持ち込めなかった。
それでも、終盤まで先頭集団に食らいつく。表情も晴れやかなまま16着の28分21秒34でフィニッシュ。「27分は本当に最高のというか、できれば一番の目標だったけれど、最低限はベストを出すというところを気にしていた」と力を振り絞り、最後に自己記録を6秒01縮めた。

▲ラスト1周。苦悶の気配はなく、晴れやかな表情だった。
もう一度、専大記録を更新し、名誉ある爪痕を残したが「2回(専大記録を)更新して歴史に名前は残したとは思うけれど、自分のタイムはまだまだ他校に比べて全然速いタイムではないので、これをしっかり何人かが抜いてくれるだろうなと思っている」と今後の専大の強化を願った。
新井は5000m 14分33秒67の自己記録を持ち、専大陸上競技部に入部。同期に入学した部員の中では3番目だった。入部した当初は「チーム内では全然速くなくて、そのままついていけるかというのは不安だった」と振り返る。
それでも、1年次には箱根駅伝4区に出走するなど着実に力をつけてきた。そして、専大の日本人エースにまで成長し、3年次の箱根駅伝予選会で個人21位、本選では1区を走るなどトップランナーと競い合った。さらに、5000mと10000mで専大記録を樹立し、専大史上最速のエースになった。
4年間を回想し「長谷川さん(=長谷川淳監督)やいろんな首脳陣の方々、先輩、同期、後輩に助けてもらったりして、ここまで成長することができた。本当に専修大学に来て良かった」と支えてくれた人々に感謝した。
4年生は12月14日に開催される川崎国際EKIDEN2025で最後に力を尽くす。ラストレースに向けて新井は「4年生チームとしては優勝を狙っているので、自分のところでどんな状況でも1位に立つというところで、しっかり、楽しみながら準備していきたい」と笑顔を見せながら前を向いた。
大学最後のレースを迎える4年生が集大成の走りで有終の美を見せる。

▲専大史を変えてきた異端児はこれからも力強く走り続ける
文=門前咲良(文3)
写真=門前、田上咲笑(文2)

