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〈秩父宮賜杯第57回全日本大学駅伝対校選手権大会関東学生陸上競技連盟推薦校選考会 5月24日 =レモンガススタジアム平塚〉
11月に行われる全日本大学駅伝の関東地区予選(以下・全日本大学駅伝予選会)が5月24日にレモンガススタジアム平塚で開催された。専大は2009年以来16年振りの伊勢路を狙い、今季も7位通過を目指した。チーム内、10000mの自己記録トップ2の新井友裕(文4・浦和実業高)、ダンカン・マイナ(商2・専大熊本玉名高)がエントリーから外れる中、各組15着以内を目標に挑んだ。しかし、他大学との差を埋められず、昨年同様の総合16位と苦しんだ。
夕日が差しかかった会場に号砲が鳴り響き、全日本大学駅伝予選会が開幕した。
▲主将・藁科は「この結果の責任は自分にあると思う」と責任を強く感じている
▲手塚は序盤から位置取りに苦戦し、自分のリズムを作れなかった
1組には藁科健斗(経営4・横浜高)、手塚太一(経営4・那須拓陽高)が出走し、先陣を切りたいところだったが、1組終了時点で15位と良い流れを作れなかった。
同大会、最後の出走となった藁科は昨年と同じ1組で起用された。昨年より良い調子で臨み、組内1桁を狙っていたものの、7000m付近で失速。本調子とはならず27着の29分52秒42と思うようにはいかなかった。
手塚は2年ぶり3度目の出走となり最後の同大会出場となった。しかし、レースの序盤から位置取りに苦戦し、4000mを通過したあたりで集団から離れ苦しい表情になる。最終的に30着の30分16秒26と悔しさが残った。
▲同大会初出場の丹は「精神的にも体力的にも非常にタフな展開だった」と振り返った
▲「例年ならそこそこの順位で走ることが出来ていたタイムだったが、他の大学の選手とは全然勝負をすることが出来なかった」と他大のレベルがさらに上がっているのを感じた
雨が降り始めた2組には丹柊太郎(人間科学3・松山商業高)、具志堅一斗(経営3・コザ高)が出走。なんとか巻き返したいところだったが、順位は変わらず厳しい結果となった。
今大会初出場の丹は位置取りを重視したレースプランを練って挑んだ。5000m付近から集団の前方に積極的に走るも7000m付近から耐えきれなくなってしまった。歯を食いしばりながら30着の29分54秒07でフィニッシュ。フィジカル面に課題を感じたレースとなった。
具志堅は3年連続出走を果たした。5000mを過ぎたあたりで集団の中間に位置していたが、8000mを通過してから丹と共に集団から離れ31着の29分57秒03で終えた。昨年より32秒縮めたが、さらに力をつけた他大と壁を感じた。
▲「主力の怪我だったり、走れているメンバーも春先に結果が出なかったりとチームとして予選を突破する雰囲気を作れなかった」とチームとしても課題を感じた
▲目標としていた同大会出走を果たしただけに、苦しい結果となった
3組には福田達也(経営4・市立橘高)、和田晴之(経営3・三浦学苑高)が出走。雨脚が強まる中、3組終了時点で17位と依然として厳しい展開が続いた。
最後の出場となった福田は2年ぶり2度目の出走となった。だが、4000mを通過したあたりで集団から離れてしまった。自分のペースを崩さないよう心掛けて走ったが30着の29分47秒43と実力不足を痛感した。
3年連続エントリーを果たし、今大会が初出走になった和田だが苦戦を強いられた。序盤から集団の最後尾付近に位置し、3400mを通過したあたりで先頭集団から離れ始めた集団の中で走った。その後はさらに失速し40着の30分34秒71と目標としていた今大会での出走が叶っただけに悔しい結果となった。
▲「力の差が他大学のエースとはやっぱりある」と実力差を感じた
▲初の公式戦で4組で起用されたことについて「少し驚いたっていうのはあるが、覚悟をもって臨むことができた」と話した
各校のエースが集う4組には上山詩樹(経済3・敦賀気比高)、平松龍青(経済3・中部大第一高)が出走。順位を一つ上げたものの、1000mあたり約2分45秒~2分50秒と高速なレースに苦戦した。
上山は関東インカレ以降、調子が上がらない状態が続いていたが、日本人集団に粘り強く食らいつき7000m付近まで健闘。しかしそこから離れ、29分11秒97の32着でゴール。他大学のエースとの実力差を実感するレースとなった。
公式戦初出走となった平松は5000m付近で失速し、その後は単独走となり36着の29分45秒94と苦しいデビューとなった。「前回のアシックスの5kmロードレース(=Tokyo : Speed : Race)以降、練習から含めて調子は良かったが、以前の日体大記録会と同じような感じで5000m以降、全く粘れずにズルズル離れて1人で走ってしまう形になってしまったので、そこが引き続いて課題」と引き続きレース後半の粘りが課題となった。
今大会では昨年より約3分21秒も総合タイムを縮めたが、さらに力をつけた他大との差が埋まらなかった。厳しい現実を突きつけられたが、主将の藁科は「箱根駅伝予選会は昨年よりスタート時間が1時間早まるということなので高速レースになる可能性がある。その中でも専修大学の強みであるロード力を活かすためにも、今年の夏は練習の量と質を高めていきたい。そのためには6、7月にある程度の土台を作り、8、9月の夏合宿で質を高めていくこととその中で故障者を出さずに練習を行い箱根予選会で100%の状態で臨めるようにしていきたい」と箱根駅伝予選会に向けて前を向いた。
〇関東インカレ後の調整に苦戦 夏合宿前に体づくりを強化
▲今大会中、戦況を見守る長谷川監督
今大会後、長谷川淳監督は「涼しかったので速い(レース)展開になるとイメージして欲しいと伝えていた。1組にはキャプテンを起用して先手必勝で流れを作り、選手中心で考えた7位を目標にしていたが、ケガ人が出てしまった。事前のタイムが13位だったので最低限13位に1組で自己ベストに近いタイムでいければと思っていたが、流れが作れなかった」と1組目で勢いづけられなかったことを悔いた。しかし「4組目では出走した2人とも5000m付近まで粘れていたので良かった」と評価できるところもあった。
2月後半から故障が続き怪我明けだった新井、マイナをエントリーできなかったが「事前の練習もしっかりできていたので、日本人だけでどこまでいけるのか楽しみなところではあった。そんなに不安を持って送り出した選手はいなかったが、試合の経験が少ないところだけが強いて言うと不安材料だった。今回、速い展開が予想されていたので、それにちゃんと苦しくなった時にどれくらい走るのかというところが不確定なところでしたけれど、練習自体はできている選手たちを持ってこれた」と順調に練習を重ねたメンバーを起用した。
今年は5月に開催されたこともあり、関東インカレ後の調整に難しさを感じていた。「大会自体で感じた課題で言うと、今年は大会が1か月前倒しになって、非常に(関東)インカレとの兼ね合いが難しいなと。あとは春先から(考えていた)この予選を通過するにあたって、多くの練習をしっかりやっていかなければ厳しいなと思った。練習ができていなかったわけではないが、ピーキングというところをしっかりとしてここに合わせられるような形でスピードを強化していかなければいけないと思った」と改善点を口にした。
今後は「年間通じて我々はロードの練習を大事にしてやっている。そこに関しては今のリズムでしっかり継続していくことが大事。6月に大会がなくなったのでじっくり(体を)作れるので、まず肝となる夏合宿までに夏を越えられるような体づくりをして、例年通りしっかり強化をして、秋の予選会やトラック、箱根駅伝をピークでもっていきたい」と選手の体づくりに力を入れる。
箱根駅伝シード権獲得に向けて、この夏は「去年、経験している選手が多いので、今年は去年のレベルを超えてもらいたい。上半期に出てきた課題をもって、練習や生活を高いレベルで継続してもらいたい」と選手たちの更なる成長を望んだ。
箱根駅伝予選会まで約4か月半。今大会の悔しさを胸に選手一人一人が課題と向き合い、箱根駅伝シード権獲得に向けての突破口を開いていきたいところだ。
【結果】
1組
27位 藁科健斗 29分52秒42
30位 手塚太一 30分16秒26
2組
30位 丹柊太郎 29分54秒07
31位 具志堅一斗 29分57秒03
3組
30位 福田達也 29分47秒43
40位 和田晴之 30分34秒71
4組
32位 上山詩樹 29分11秒97
36位 平松龍青 29分45秒94
総合16位 3時間59分19秒83
文=門前咲良(文3)
写真=大内奈々(経営3)