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2025.05.30
サッカー

【サッカー部】90+3分に戸田が決勝弾 4試合ぶりの勝利で首位撃破

JR東日本カップ2025 第99回関東大学サッカーリーグ戦3部 

第10節 VS立教大学体育会サッカー部

5月25日(日)14:00Kickoff

@立教大学富士見総合グラウンド(埼玉県富士見市)

専大 2-1 立教大

得点者 専大 道白、戸田(P)

   立教大 嵯峨

 

 第10節は立教大学と対戦し、2-1で勝利した。曇り空の中、専大は首位を走る立教大のホームに乗り込んだ。前節まで3戦連続引き分けと勝ちきれない試合が続いていた専大は、前半3分にいきなり先制点を決められると、主導権を握れず苦しい展開が続き、0-1で試合を折り返す。1点を追いかける展開の中、後半13分に道白のゴールで追いつく。その後も攻勢を強め、後半50分に相手のファウルからPKを獲得すると戸田がゴール左隅へと冷静に沈めて試合終了。土壇場のPK弾で試合を制した専大は4試合ぶりに勝点3を獲得、順位を1つ上げて5位に浮上した。 

   ▲試合終了直後、4試合ぶりの勝利を喜ぶ選手たち

 

〈試合前情報〉

以下、スターティングメンバー(4-3-3)

GK 12 上林 真斗(法3・昌平高)

DF 4 橋本 清太郎(文4・流通経済大柏高)

DF 5 志村 ぼん(経済3・韮崎高)後半14分OUT

DF 6岡田 海人(法3・浜松開誠館高)

DF 28 佐藤 柚太(経営2・白根高)

MF 8 橋本 燦(ネット情報2・帝京長岡高)

MF 10 戸田 大翔(商4・志木高)

MF 25 荒田 拳輝(文3・平塚学園高)後半24分OUT

FW 13 山下 基成(文3・大津高)後半35分OUT

FW 14 道白 優斗(文2・流通経済大柏高)後半24分OUT

FW 17 佐藤 漣(法2・成立学園高)後半8分OUT

途中出場

FW 11 松本 皐誠(商4・東海学園高)後半8分IN

DF 23 鈴木 嘉人(経済2・実践学園高)後半14分IN

MF 19 那須 奏輔(経済2・東海学園高)後半24分 IN

MF 24 溝口 晃史(法1・大津高)後半24分 IN

FW 18 仲本 隼翔(経済4・松商学園高)後半35分IN


 

<試合展開>

 前半開始早々に失点したが、後半の早い時間帯で追い付くと、試合終了間際のゴールで逆転に成功して4試合ぶりの勝利を飾った。3試合連続で引き分けが続く専大は、首位の立教大と対戦。前節から先発メンバーを6人入れ替え、この試合でリーグ戦初先発となる荒田がスタメンで抜擢された。


 試合開始早々から立教大の組織的なサッカーに苦戦すると、早くも先制点を奪われる。前半3分、自陣ゴール前に押し込まれると、左サイドでの守備から佐藤漣のハンドで相手にFKを与えてしまう。すると、右サイドの敵陣深くから左足で蹴ったボールを上林が後ろに弾いてしまい、FKを直接決められて早くも0-1と劣勢になる。


 以降は、佐藤漣のドリブルを起点に得点を狙う場面が目立った。前半8分、相手のゴールキックの競り合いから、こぼれ球を志村が収めて左サイドの佐藤にワンタッチパスを送る。佐藤は相手を振り切り、そのままドリブルでタッチライン際に切り込んでゴール前にクロスを送ると、山下がワンタッチで合わせる。しかし、シュートはクロスバーに弾かれると相手の対応に遭って得点には至らない。

   ▲佐藤漣が持ち前のドリブルで左サイドを駆け上がる

 その後も素早いパスワークで専大のハイプレスをかわされ、自陣に攻められる場面があった。また、セットプレーやサイドからのドリブルを中心に攻撃を展開されるが、上林を筆頭に守備陣が奮闘して追加点を防ぐ。

 守備の時間が長くなるなか、専大は相手のCKから素早いロングカウンターで得点を狙う。後半26分には、右サイドから相手のCKを戸田が頭で弾くと、道白が前線の山下に浮き球を送る。山下は相手に寄せられながらもボールを収めると、中央を駆け上がる道白にパスを送る。道白はそのままゴール前にドリブルで持ち運び、ペナルティエリア中央付近から左足を振り抜く。しかし、対峙する相手にブロックされて同点ゴールを奪えない。

 その後は、両チームともに決め手を欠き、そのまま0-1で前半終了。前半を終えて、戸田は「前半早い時間帯に失点して苦しい展開になったが、先週の練習から皆でしっかりやることをやってきたので、逆転できると思っていた。ハーフタイムでもそのような話をしていた」と話し、道白は「立ち上がりに先制点を取られて、自分たちのペースに持っていくことが難しくて前半が終わってしまった。後半に入る前、監督が『絶対後半10分以内に点を取ろう』と話されていた」と振り返った。

      ▲後半開始前に円陣を組む選手たちとスタッフ陣

 その言葉通り、後半の早い時間帯に専大が同点に追い付く。後半13分には、相手センターバックの縦パスを味方がカットすると、ワンタッチパスを繋いで、戸田が自陣の中央付近でパスを受ける。ボールを受けた戸田は、敵陣右サイドの松本に鋭いパスを送る。松本は対峙する相手を振り切り、右サイドのゴールライン際からゴール前に低いクロスを送ると、ニアサイドに上がった道白がヘディングシュートを決めて、1-1の振り出しに戻す。

 松本にサイドチェンジのパスを送った戸田は、「松本は去年からスーパーサブで足が速い選手なので、裏に蹴れば良いクロスを上げてくれると思っていた。中の道白も良い動きを見せていたので、全員で取った1点だった」と、道白の同点ゴールを振り返った。



    ▲道白がヘディングシュートを決めて、同点に追い付く

 同点に追い付いた専大は、縦に速い攻撃で得点の糸口を探る。後半18分、敵陣中央付近でのボール奪取から、佐藤柚が橋本燦に縦パスを送ると、そのままゴール前に前進。橋本燦はショートカウンターからペナルティエリア左で左足を振り抜くが、相手GKの好セーブに阻まれて勝ち越しゴールを奪えない。

   1分後には、右サイドのタッチライン際で寄せの早い守備を試みるが、細かいパス交換から橋本清の裏を突破され、自陣ゴール前に攻められる。それでも、最終ラインの佐藤柚が体を張った守備で食い止める。

 攻守が入れ替わるなか、後半24分に2人の選手交代を行うと、徐々に攻撃のリズムを掴み始める。その3分後には、相手のビルドアップからセンターバックの縦パスを戸田が中央付近で奪うと、松本がワンツーから右サイドを上がり、ペナルティエリア内の山下にパスを送る。山下はゴール右からシュートを打つが、惜しくも枠の上に外れる。

 後半33分には敵陣でのハイプレスの場面、東大樹監督が全体に対して「下がらない!なんで下がるんだ!」と厳しい口調で檄を飛ばした。しかし、細かいパスワークで守備をかいくぐられると、ペナルティエリアに進入されるが、佐藤柚が体を寄せてCKに逃れる。

 この指示について、東監督は「点を取れる匂いをしていかないと、点が取れないと思った。もっと前に圧力をかけて、相手が嫌がって蹴ってくるところはしっかりと後ろが競り勝ち、もう一回攻撃することが出来るように、前に前に出ろという声掛けをした」と明かした。

 以降は拮抗した展開が続いたが、後半アディショナルタイムに突入すると、試合終了間際にはセットプレーの流れから、ついに専大が逆転に成功する。後半47分に橋本燦が相手のファウルで倒され、ペナルティエリア左角付近でFKを獲得。キッカーの戸田はアウトスイングのボールを蹴ると、相手GKに弾かれたボールを溝口がダイレクトでシュートを打つが、相手にブロックされる。
   ▲橋本燦が裏抜けから相手のファウルを誘発する

 その流れから、岡田が右サイドでロングスローを入れると、橋本燦が頭で前線に折り返し、橋本清太郎が半身の体勢からペナルティエリア内に浮き球のパスを送る。すると、先にボールに触った仲本が相手と頭同士の接触から倒れ込む。このプレーが相手の危険なファウルと判断され、専大がラストプレーでPKを獲得する。

 勝負を左右するPKキッカーを務めたのは、後半途中からキャプテンマークを巻く戸田。戸田は相手GKにコースを読まれながらも、短い助走から左足でPKを左隅に決めて、専大が試合終了間際に逆転。試合が再開すると同時に試合終了の笛が鳴り、2-1で劇的な勝利を収めた。3試合連続で引き分けが続いたなかで、首位との一戦に勝利した専大は、4試合ぶりの勝ち点3を手にした。


    ▲戸田が殊勲のPKを決めて、喜びを爆発する

 試合後、東監督は「ここ数試合、引き分けが続いているなかで、トレーニングからハードにやってきたが、立ち上がりの3分で入りの悪さから失点してしまった。そこは良くなかったが、後半の早い時間で同点に持って行き、最後の最後でひっくり返せたことは、選手の成長だと思っている」と振り返った。

 早くも失点を喫したが、以降は追加点を許さずに試合を立て直した。最小失点で耐え凌いだ要因について、監督は「選手の個の能力はうちの選手の方が優っていると試合前から強く自信を持っていた。しっかりボールを持つことと前にプレッシャーをしっかりかけることの2つを、声を掛けて活かせていた」と分析した。  

 指揮官の采配が奏功したことも逆転勝利に繋がった。「強い時は後半10分〜15分くらいで1点を取っていれば、ひっくり返せる自信はあった。今日は途中から出た選手達も頑張ってくれた。3点目を取ることが理想だが、引き分け続きのなかから1点を取り返して追い付き、追い越せたことは選手の能力が上がってきたことだと思う」と選手達の活躍を称えた。  

 リーグの前期最終戦となる次節に向けて、「長いトンネルを抜け出せたが、1勝したから何かが変わるということでは無い。次の試合もしっかりと勝ち切れるように、攻撃的なところを目指しつつ、もっと点が取れるチーム作りをして、選手達がのびのびサッカーをできるように頑張りたい」と強く意気込んだ。

 

 

 <PICK UP PLAYER>

 戸田大翔

「絶対に決める自信があった」 セットプレーのキッカーも務める決勝ゴールの立役者  

 今年から背番号10を付ける戸田は、「前半早い時間帯に失点して苦しい展開になったが、先週の練習から皆で走ってきて、しっかりやることをやってきたので、逆転できると思っていた。ハーフタイムでもそのような話をしていて、結果的に逆転することができて良かった」と試合を振り返った。

 立教大のサッカーについては、「30番(嵯峨康太選手)が凄く上手いと思っていて、組織的にやってくる中で、自分はフィジカルに自信があるのでタイトにいけば奪えると思っていたし、90分通してハードにできた」と恐れることなく首位に立ち向かった。 

 試合の結果を大きく左右するゴールとなったPKは、「絶対に決める自信があったので、いつも通り流した。小さい頃から結構(キッカーを)任されているので、自信はあった」と冷静に話した。しかし、決勝ゴールを決めた心境は「流石に緊張したが、決めて良かった。正直覚えていないぐらい、嬉しかった」と安堵の表情を浮かべた。 

 戸田の劇的なPKが決まり、4試合ぶりの勝利を手繰り寄せた。首位との一戦を終えた専大は、次節がリーグ戦前期の最終節となる。「勝ち点も(上位と)あまり変わらないので、1戦必勝が大事。勝ち点3が今後大きく影響するので、来週も勝って、前期を終えたい」と目標を話した。

 

 

 道白優斗

 CF起用で同点弾「良いクロスが来ることを信じて走った」 

 この試合では、本職のトップ下では無く1トップで今季初のスタメン出場した道白。立教大との試合を終えて、「首位ということもあって、全員上手かった。守備がハマらない時間帯もあったが、自分たちは前からプレスに行って点を取ることはずっと言われている。そこでビビっていたら絶対無理だと言われていた。結構強かったが、負けずに戦えて良かった」と振り返った。 

 チームは直近3試合連続で1-1の引き分けに終わり、順位が後退していた。「勝てそうで勝ちきれない試合が続いていたので、ここで首位を倒さないと、自分達が自力で昇格できないことは皆が共通で分かっていた」と危機感を覚えながらも、見事に逆転勝利を飾り、「この試合は何が何でも勝ち切ろうという気持ちで全員が戦えた」と勝利の要因を語った。

  前半は無得点に終わったが、後半13分には同点のヘディングシュートを決めた。「前半は右サイドが基くん(山下基成)で、一本良いクロスが入ったが、自分が全然(ゴール前に)入れていなかった」と悔やんでいたが、「皐誠くん(松本皐誠)が後半に入って、絶対に良いクロスが来ることを信じていたので、ニアに突っ込むだけだった」と自身の得点を振り返った。ゴールを決めた時は「めちゃくちゃ嬉しかったですけど、同点だったので自分のポジションに戻ろうと思った。本当は応援席に行きたかった」と笑みを浮かべた。  

 次節でリーグ戦前期が終了するが、自力昇格を叶えるためには絶対に負けられない試合が続く。「首位を倒したことで自信がついたと思う。勝ちきれない試合が3試合続いていたなかで逆転勝ちができたことは、自分達が逆転できるという自信にも繋がったので、亜大との試合に良い勢いで臨めると思う。順位は全然高い訳では無いので、自力で昇格を狙うには絶対に勝たなければいけない試合だと思っている。今日だけ喜んで、しっかり切り替えて来週から頑張っていく」と前半戦の最終節に向けて、意気込みを強く話した。

 

  

 橋本清太郎

 対人の強さに定評あり 果敢な攻撃参加で厚みをもたらす

 橋本は試合を振り返り、「またいつもみたいな展開で最初に先制点を取られて、1-1に追い付いて。また引き分けかなと思ったが、最後に1点を取って勝てたことは、いつもとは違った結果で良かった」と話した。

 この試合では幾度となく相手の攻撃陣と対峙したが、最小限の失点で抑え続けた。その要因について、「立教の左サイドの選手のドリブルが上手くて、交代で入った10番(水野将人選手)の足が速いというのはスカウティングであったので、自分は対人で絶対負けないと意識してやっていたが、攻撃のところで特長を出していかないといけない」と話した。

 橋本はDFだが、ボール保持の際には前線に自ら持ち運ぶなど、積極的な攻撃参加を特長としている。「サイドバックがタイミング良く上がって攻撃参加することで攻撃の厚みが出るが、まだ足りないなと思うところがあるし、もっと自分が上手く関わりながら攻撃参加を増やしていきたい」と更なる目標を語った。 

 守備陣の奮闘もあって、4試合ぶりの勝ち点3を獲得したが、「取られてはいけない時間帯で(相手のゴールを)取られていることがチームを苦しくしているので、失点しないで試合を進められるようにしていきたい。今後勝ち続けられるチームと考えた時には、1試合を0で終えられるような戦い方をしていきたい。上位が混戦しているので、1勝するか負けるかで順位がかなり変わってくるので、最後勝ち切れるようにしていきたい」と、結果に甘んじることなく今後の目標を強く話した。

 

  

 荒田拳輝

 リーグ戦初スタメンで見せた安定感 

 首位との試合という大一番で初スタメンに抜擢された荒田は、「立ち上がりに簡単に失点して難しい展開になったが、ハーフタイムには監督から喝を入れられた。後半すぐに1点を返して、なんとか後半を堪えながら最後に1点を取って首位に勝てたことは凄く良かった」と試合を振り返った。

 リーグ戦初先発を叶えた一戦を終えて、「(東監督からは)積極的に行くこととボランチとしてバランスを取りながらボールを奪取することを言われた。怪我人の事情などがあって出場機会をもらい、価値を示さないといけないと思っていたので、もっとできないといけないことが多かったが、チームの勝ちに貢献できたところもあったと思う」と振り返った。

 荒田のリーグ戦初の先発起用について、東監督は「去年セカンドチームで頑張っていて、サッカーの理解能力も高い選手ですし、サッカーが上手い子なので。そのような意味では、この大事な試合で使っても自信を持ってプレーできるのではと思って、僕も自信を持って送り出せた。結果的には凄く良い働きをしてくれた」と期待を込めて先発メンバーに抜擢した。 

 安定感のあるプレーで勝利に貢献した背番号25は、「まだまだ優勝を狙っていくところまで食らいついていけることもあり、再来週からはアミノ杯が始まるので、やっと勝てたことは皆にとっても良い自信になると思う。最後(亜大に)勝ってアミノに繋げて、後期にも繋げていけるようにしたい」と今後の目標を口にした。

  

次節は5月31日に亜細亜大学日の出グラウンドで亜細亜大学と対戦する。

 

文=藤林利英(文2) 写真=木田晨一朗(人間科学2)