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2025.02.06
陸上競技

【陸上競技部】上山が61分台で専大記録更新! 他3人も62分台で好走の初陣

〈第28回日本学生ハーフマラソン選手権大会・第77回香川丸亀国際ハーフマラソン選手権大会=2月2日  香川県立丸亀競技場付属ハーフマラソンコース・21.0975km)


 今年から香川丸亀国際ハーフマラソン選手権大会と同時開催された日本学生ハーフマラソン選手権大会に専大からは7名が出走。チーム1番手の上山詩樹(経済2・敦賀気比高)は専大日本人記録となる1時間1分41秒をマークした。チーム2番手の具志堅一斗(経営2・コザ高)、3番手の佐藤陸(文2・東京高)、4番手の藁科健斗(経営3・横浜高)も62分台に乗り、新体制に期待が膨らむ結果となった。




○上山、専大日本人記録更新も悔しさ残る


▲ハーフマラソンで61分台に到達し、専大日本人記録を樹立した


 三本柱の一角がハーフマラソン専大日本人記録を打ち立てた。既存の記録を51秒上回る1時間1分41秒だった。


 上山は中間地点にあたる10キロ地点を28分31秒で通過し、前半から好走を見せた。「(後半)余裕を持ちながら走れたことが好記録につながったかな」と上山は自身の走りを分析する。自己新記録に「62分台、自己ベスト更新は当たり前だと思っていた。その中で61分台を出せたことは嬉しい」と喜びをあらわにした。

 その一方で、ストイックな上山はこの結果に満足しきれていない。「ゆとりがある中で、体がきつかった。練習不足を感じた。もう少し更新されないようなタイムを今後出していけるように頑張りたいと思う」と今後の課題を口にした。


 1月には箱根駅伝、都道府県男子駅伝を経験し他大との力の差を実感した。今季は「経験を活かしてチームに還元することはもちろん、自己ベストや専大記録を更新し、記録や背中で引っ張っていきたい」と意気込む。


▲好成績を残したが満足せず、専大を引っ張っていく




○大幅記録更新の具志堅 粘りの走りで専大勢を牽引


▲持ち味の”粘り”で得意なロードレースを走り、自己記録を大幅に更新する


 専大勢で2番手の具志堅は1時間2分14秒をマーク。持ち味の『粘り』を発揮し、自身のハーフマラソン記録を2分18秒更新する結果となった。「もともとは63分前半くらいしか狙ってなくて。良ければ62分台くらいに思っていた。その中62分14秒が出たので自分の中では良かった」と手ごたえを口にする。


 具志堅は10キロ地点を29分11秒で通過。「当初は29分30秒くらいで通過する予定だったが走ってみたら29分10秒切りくらいで入っていた。走ってみたら結構余裕があって、プラン変更をしていけるところまで押してこうと変えた感じだった」と予想外の展開でありながらも上手く切り替えができたと分析した。メンタル面に関しても「(10キロ通過後も)ビビらずにペースをそのままに上手く周りの選手を使いながら押して行けたのがベストが出たところの要因だと思う」と話す。

その一方で「ラストの3キロのところで1人になった時に腰が落ちてしまい、後半上手く動きが切り替えられなくて3分以上ラップがかかっちゃったので、そこがなければ1分台も狙えたと思うので、ラスト3キロというところでしっかりたたいていけるようにしていきたいと思う」とレース後半を振り返り、今後の課題とした。


 箱根駅伝で急成長を遂げた具志堅。「今回、思ったよりいいタイムが出た。昨年は公式戦に全部出させてもらって、経験を積めたと思う。それと今回上手く走れたという経験をもとに、もっと他校と戦うところを念頭に置いてやっていきたいと思う」と自信をつけた様子を見せながら今後の抱負を語った。


▲箱根駅伝では7区出走を果たすなど、昨季は自信がつくような経験を積めた




〇箱根駅伝出走を逃した佐藤 新たな取り組みで好走


▲今大会で自己記録を2分21秒も縮め、チーム内で一番大きく更新した


 チーム3番手で走り終え、1時間2分35秒を記録した佐藤は「63分台を目標にしていて63分後半くらい出れば良いと思ったが、誤算が起きて63分を切れると思わなかった。そこはすごく良かった」と自身の結果に驚いた。


 佐藤は自己記録を2分21秒上回る記録をマークした。「ラップタイムを見ると、15キロまで14分台を押すことができていて、自分の中で10キロからいつも垂れてしまうイメージがあったが、しっかりと抑えることができた」と好走の要因を分析。その一方で「最後の5キロで15分13秒にかかり、15分台に乗ってしまったのは自分の弱さだと思う。そこをしっかりと抑えて14分台にしてライバルの具志堅とかに近づいて勝てるようにしていきたい」と更なる高みを目指す。

 箱根駅伝前に膝を怪我し、夢の舞台での出走を逃した。今大会は怪我明けのレースとなったが「最初はあまり突っ込みすぎないっていうところを意識していた。それでも自分の想定していたペースより速かったが、1人になった時もちゃんと確実にラップを刻めるような走りができて良かったと思う」と自信がついた様子だった。


 1月に入り、佐藤はリカバリードリンクを変える新たな取り組みを始めていた。それにより「すごく練習後のリカバリーができて、ジョグとかも良い動きに繋がった」と良い効果が出ている。

 さらに、ジョグシューズもナイキのフリーランに変えたという。このシューズは素足のような履き心地で、東京五輪男子マラソン日本代表の大迫傑選手がトレーニング用として着用しているものである。短距離走向けのシューズだが、通常のランニングシューズよりも足の筋力を効率的に鍛えやすいという特徴がある。「他の選手から『それを履いたら怪我するだろ』みたいなことを言われていたが、このジョグシューズで走ったらだいぶジョグの感覚も良くなった」と効果を実感している。


 今大会では佐藤を含む上位3人が2年生であり、今後は専大の軸を担う世代になることが期待される。「今年の箱根駅伝は出れていないので、来年はリベンジするのはもちろんだが、箱根駅伝予選会でしっかりと上位に入れるような走りをしてチームに貢献していければ良いと思う」と意気込んだ。


▲夢の舞台である箱根駅伝に出場できなかった悔しさをバネに、新たな取り組みで力をつける




〇新主将として初のハーフマラソン 藁科も62分台に乗る


▲新主将として初のレースで目標としていた62分台に乗った


 今季、新主将に就任した藁科はチーム4番手の1時間2分58秒を記録。「目標として62分台というところを狙っていて、ギリギリ62分58秒だったので目標は達成できたので良かったかなと思う」と安堵した。


 藁科は29分13秒で10キロ地点を通過。「最初は速めに行こうと思っていたが、思った以上に最初の5キロを速く入ってしまった。そこは割り切って少し余裕を持っていたので、10キロまでは想定よりもちょっと速いタイムで行けていた」とレース前半は好調を維持した。

一方でレース後半は「10キロ過ぎてからだいぶきつくなってしまって、そこからはレースプラン通りにはいかなかった」とし「後半きつくなってしまった時にそのままズルズル行ってしまったので、そこをもう一回切り替えて耐えることがまだ足りていないかなと感じたので、そこはまだまだ練習していく必要がある」と課題が残る。それでも、自身の記録を1分14秒も塗り替え「目標は達成できたのでそこはまずまずかなと思う」と語った。


 箱根駅伝からおよそ1か月が経った。新主将は一日、週間、月間の走行距離を延ばしたり、練習の強度を上げたりし始めている。「当たり前だが、練習の質や量を上げていってやろうと思っていて、それの途中段階かなというところ」と箱根駅伝でシード権獲得を目指し動き出している。

 今大会で初陣を率いた主将はチーム全体の好成績に手ごたえを感じている。「昨年(箱根駅伝の)予選が2番で本選が17番というところで、今年はシード権というところを狙ってやっていこうと思っている。最初の丸亀ハーフはチーム全体的に良かったので、この流れというのを絶やさずに1年間通してやっていければシード権までいけるかなと思っている。今日の試合もチームとしてもだいぶ良い流れができたので、このまま次の記録会や試合も(流れを)維持しながら、さらに(良い)流れを作っていければなと思う」とチーム全体の強化に力を入れる。


▲箱根駅伝でシード権奪取を目指し、チームの強化にも取り組む




〇長谷川淳監督 一問一答

──今大会には箱根駅伝本選のエントリーメンバーになるほどの主力選手が出走した。

「(今大会の)レベルが高いのと、今回日本学生ハーフが丸亀ハーフマラソンになったので、そういった大きい大会にうちの主力を出してどれぐらい戦えるのかというので、主力選手を連れてきました」


──今大会のレースを振り返って。

「箱根駅伝が終わって帰省期間を入れたのですけれど、このハーフマラソンに向けて各自がしっかり自覚を持って取り組んできてくれたなっていうのが率直な印象です。新しく三役になった藁科と、神奈川ハーフマラソンもやっていたのですけれど、平松(=平松龍青、経済2・中部大第一高)もしっかり自己ベスト出してくれているので、役割が変わって自覚を持ってやったところが練習以上に気持ちの部分が出て、結果も出たのではないかなと思います」


──専大記録を更新したチーム1番手の上山について。

「箱根終わってから、全国男子駅伝も出て、中2週間だったのですけれど、大きな試合が続く中で、非常に集中力も切らさずにやってきてくれました。ちょうどスピード練習というか、都道府県が良い刺激になって今回は前半から積極的に出たので、本人にもタイムはあまり気にせずに学生ハーフは順位が大事なので思い切っていこうと話していたので、5キロの入りはかなりびっくりするぐらい速く入ったのですけれど、今後に向けても非常に良い彼の中の経験値になったのではないかなという風には思います」


──チーム2番手の具志堅について。

「箱根駅伝でも7区で良い形で走ってくれたのを、本人はかなり自信にしていると思っています。それですごく積極的な練習も増えました。一気に箱根が彼を大きくしたのではないかなという風には思っているので、今回はそういった積極的な取り組みが功を奏して、大幅に自己ベストを出してくれたので、これでまた一つ自信にしてランナーとしてもう少し上のレベルで戦えるのかなとは思います」


──チーム3番手の佐藤について。

「箱根駅伝では(調整が)合わせられなかったのですけれど、その悔しさを年明けに自分なりに練習してきていました。ただ彼の場合、そこまで大きなインパクトのある練習ができたわけではない中で、今回気象状況も良くて、良い流れのレースに乗れたっていうのはあるのですけれど、練習の内容からすると非常に上手く運んでいったなという印象ですね。5キロごとのスプリットもそんなに下がらず、上がりもせずにというか、アベレージのような形で行ったので、練習してないわけではないですけれど、今まで彼がやってきた経験が出たのかなとは思います」


──チーム4番手の新主将に就任した藁科について。

「かなり前半、積極的に行っていたのでタイム的にはもう少し出てもいいかなと思いました。やはり箱根駅伝が終わった後のダメージもあったのかなとは思うのですけれど、ちょっと後半の5キロ、10キロとかに課題があったと思うので、その辺の落ち幅をもう少し我慢できる選手になっていければもっと記録も伸ばせますし、もう少し自信持って箱根駅伝の次大会で主要区間を走れるのではないかと思います。最低ラインの62分台でまとめましたがもっといけたところもあったと思うので、それは一番本人が分かっていると思うので、タイム的な収穫もあり内容で見るとそういう課題もありだったのではないかなと思います」


──新体制になったチームに求めるものは。

「箱根駅伝を見ていて、前半から積極的に入っていって粘ることがやっぱりレース展開としては大事なので、そういったところを今回一つタイムが出たところで、もう少し積極的な取り組みをこれから選手たちが反映していくと思うので、そういった高いレベルの練習にどんどん挑んでいく選手が増えてくれるとより良いかなとは思います」




【第28回日本学生ハーフマラソン選手権大会結果】

32位 上山詩樹(経済2・敦賀気比高) 1時間1分41秒(自己新)

55位 具志堅一斗(経営2・コザ高) 1時間2分14秒(自己新)

68位 佐藤陸(文2・東京高) 1時間2分35秒(自己新)

87位 藁科健斗(経営3・横浜高) 1時間2分58秒(自己新)

92位 和田晴之(経営2・三浦学苑高)1時間3分16秒(自己新)

113位 手塚太一(経営3・那須拓陽高) 1時間3分48秒

124位 田口萩太(文1・東京高) 1時間4分13秒(自己新)




文=門前咲良(文2)、大竹瑞希(文2)

写真=門前、大竹