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〈第77回秩父宮賜杯全日本バレーボール大学男子選手権大会=12月1日 船橋アリーナ 専大3-1日体大〉
史上初の決勝へ駒を進めた専大は、秋季リーグで敗れた因縁の相手であり、前回王者・早大を下した日体大と対戦した。立ち上がりから甲斐優斗(経営3・日南振徳高)の連続得点によって主導権を握ると、堺爽人(文4・佐賀工高)と千葉貫世(経済3・東北高)のブロックも光り、第1セットを先取。第2セットは点を取り合う展開が続いたものの、中盤から引き離し連取した。しかし、第3セットは日体大の強力なサーブと粘り強い守備に苦しみ、セットを落としてしまう。第4セットも序盤は日体大がリードしたが、キャプテンである竹内慶多(経済4・啓新高)のアタックによって逆転すると、その後も専大の流れのまま得点を重ね、セットカウント3ー1で勝利。初となる日本一の栄冠に輝いた。
個人賞として、甲斐が最優秀選手賞とサーブ賞とMIP賞、井出脩斗(経済4・聖隷クリストファー高) がセッター賞、水野永登(商3・岡谷工高)がリベロ賞を受賞した。
第1セットスターティングメンバー
OH:#1竹内、#7甲斐
MB:#2堺、#8千葉
OP:#11堀内
S:#5井出
L:#13水野
第1セットは、甲斐が開始早々3連続得点を決め、好調な滑り出しとなった。その後も井出の巧みなトス回しによって、甲斐のスパイクや堀内のブロックアウトなど多彩な攻撃で点数を量産していく。堺と千葉のブロック、水野の安定したレセプションも光り、主導権を譲ることなく25ー19でセットを先取した。堺はブロックで意識したことについて「高さがある選手と速さを武器にしてる選手が相手にいるので、速い選手の時は横移動を速くして手の形をしっかりするところと、 高さがある選手には自分も高さが武器なんで、その高さで負けないようにした」と振り返った。
▲華麗なトスワークを見せる井出
▲安定したレシーブでチームを支える水野
続く第2セット、専大は良い流れのまま果敢に攻撃を仕掛けたが、日体大の強力なサーブによって守備を崩され、ブレイクを許してしまう場面があり、竹内のサービスエースやブロックアウト、甲斐のレフトからの攻撃によって点数を重ねるものの、拮抗した展開となった。中盤までは一進一退の攻防が続いたが、専大はサーブとブロックでプレッシャーを与え、サイドからの攻撃を中心に得点を重ねて25ー21でセットを連取した。
▲アタックをする甲斐と堀内
第3セットは、序盤から日体大のサーブや粘り強いディフェンスに苦しめられ、徐々にリードを許してしまう。水野を中心に懸命にボールを繋ぎ、甲斐が足でレシーブするなどの好プレーもあったが、ラリーを制することができなかった。途中交代の新居良太(経済2・開智高)がチームの雰囲気を変えたものの、その後も日体大のプッシュを交えたサイドからの攻撃によって点数を引き離され、20ー25でセットを落とした。守備の要として活躍した堺は「自分たちの攻撃が決まらなかった。 相手の攻撃は同じパターンで決められてることが多かったので、チームみんなで声かけして、焦らなくていいっていうところを話した」セットを落としたものの、冷静に切り替えたと明かした。
▲ブロックをする堺と井出
第4セットも流れは変わらず、粘り強い繋ぎを見せる日体大がリードする展開となった。しかし、専大が長いラリーを制し、竹内が角を狙った冷静な技ありアタックなど、レフトからの3連続得点を決めると逆転に成功。アタッカー陣が攻撃のギアを上げ、リードを広げていく。終盤は甲斐が強烈なスパイクを決め続け、日体大をさらに突き放した。そして迎えたセットポイント。最後は3枚でのブロックポイントで第4セットを締めくくり、25ー17。セットカウント3ー1で日体大に勝利し、初の日本一となった。
▲力強いアタックをする竹内
4年生にとって最後となった今大会。試合を終えて、キャプテンの竹内は「もう嬉しいの一言につきる」と初優勝への喜びをかみしめ、「試合を重ねるごとに今までにない攻撃が多く、今までの勝ちパターンじゃなくて、優斗を使わずに勝つってのができた。試合を通して成長していけたというのが、この優勝に繋がったと感じる」と大会を振り返った。今後については「また一から始まるので、この結果に今は喜んでも満足せずに、どんどん試合とかに出れるようにもっと頑張っていきたい」とプロチームでの活躍を意気込んだ。
堺は「初優勝とかあんま考えてなかったんですけど。本当に一試合一試合みんなの力で勝つことができたので嬉しい」と難しい試合に力を合わせて勝ち上がれた喜びを語った。守備の要としての自身の活躍については、「ネット上での攻防を意識していて、高さの部分では負けてなかったかなと思うのでそこは良かった」と評価した。また、バレー部での4年間については「結果があんまりついてこない時期が多くて、結構チームとしても個人としても苦しい時期が多かったんですけど、 最後この大会で本当にみんな一皮向けてほんとに楽しそうにバレーやってたので、僕も楽しくできた」と振り返り、「本当にすごいやつばっかなので、助けられた試合も多くて。本当に頼もしくてありがとうって言いたい」と後輩への想いを述べた。
今大会、途中交代で流れを作り、主にブロックで大きく活躍した新居は「気持ち的に今まで弱気になってた部分があったんですけど、途中から入るとなると、全員の雰囲気に合わせないといけないし、それ以上の勢いを持ってこないといけないと思っているので、強く楽しもうっていう気持ちがすごく成長できて、良いプレーがどんどんできた」と大会を通しての成長を振り返った。また、「来年はミドルとして今度はスタメンに出て、スタメンとしてこの舞台にまた戻ってきたい」と来年に向けての抱負を語った。
文=臼井千晴(文1)
写真=山中美琴(文2)