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2024.10.16
野球

【野球部】齋藤正直監督インタビュー 昇格への鍵

悲願の一部昇格へ向け、まずは2年ぶりの入替戦出場を目指す専大野球部。混戦が続く秋季リーグ戦を齋藤正直監督が振り返る。そして、指揮官が見据える今後の展開とは。


小柴滉樹(経営4・佼成学園高)キャプテンの元始動した春季リーグ戦は、わずかな差で2位に終わった。「1勝すれば1敗減るわけだから。(そうなっていれば)9勝4敗という形になって、極めて優勝に近くなった」。結果的にはあと1勝、あと勝ち点1つだった。

春の分岐点となったのは第2週の東農大戦だ。初戦は9−2で快勝するも、その後2連敗で勝ち点を献上。どちらも1点差での敗戦だった。「東農大に1勝したら、こっちの方が勝ち点4になってそれで優勝できたという。本当に1勝でオセロの表と裏みたいになるでしょ」。1勝の重みを痛感した。

秋のリーグ戦で一部の舞台に返り咲くことは叶わなかったが、監督は小柴主将へ「一部で後輩たちに野球をやらせるという強い覚悟で臨んでくれ」という言葉をかけた。最高の「置き土産」を期待している。


シーズンの分かれ目 「劇的勝利」 

春の天王山を制した東農大は勢いそのままに入替戦に勝利し、今秋は神宮球場で戦っている。一方で東洋大や駒澤大といった東都を代表する強豪校が二部に甘んじる、まさに「戦国東都」で戦う上で、一部と二部の差については「力的にはないかもしれないけど、勝負にはいろんな綾がある」と含みを持たせた。指揮官が語るキーワードは、「劇的な勝利」だ。

「案外、入れ替え戦で勝ったり負けたり、優勝するしないってのは、劇的な勝利がなければいけない」。春のスコアを見返しても、大差での勝利があったものの、大逆転劇はなかった。

劇的な勝利はどこから生まれるのか。「精神力たくましいやつが最後サヨナラヒット打ったりするわけですよね。そういう劇的な勝利がある時は強い」。劇的な勝利はシーズンの流れを一気に変える。「サヨナラ勝ちでもすれば、気持ちが乗るじゃない。気分が高揚していれば、実力以上のことが出る。例え話だけど、甲子園に行ったら大観衆の中で気持ちが高揚して、みんな上手くなる。そういうのと一緒で、相手を押し切る、そして寄り切れるかというのが、劇的な勝利に繋がってくると思う」。指揮官の長きにわたる野球人生と豊富な経験がものを言う。

 

ロマン溢れる二刀流

その中で、”ラッキーボーイ”的な存在として期待を寄せるのは、「安定してきた」と評する松永知大(経済3・創成館高)。今秋すでに2ホーマーを放ち、直近では4番を任されている。

主砲の次に指揮官が名前を挙げたのが、井上颯太(経営1・丹生高)。9月25日、東洋大3回戦で9番指名打者として初スタメンを掴むと、2本のヒットを放った。その井上の本職は投手で、現在は野手に専念している。今年入学の1年生では廣崎漣(経営1・浜松開成館)もリーグ戦では野手での出場だが実は二刀流。「野手の練習をしてから(投手として)投げたら疲れてしまう」とまだまだ模索中だが、「(投打は)絞りませんよ」と断言。「来年になったら例えば2番投手廣崎だとか、7番投手井上だとか。そういう風にしたいね」と、可能性を探っていく。

 

▲廣崎(上)と井上(下) まずは打撃で貢献する


小柴主将の姿

「チーム小柴」はクライマックスが近づいている。「ここ数年の中で1番いいキャプテン」と絶賛する指揮官は、「チームのことをしっかり背負ってくれるし、後輩ももちろんだけど、同級生に指摘ができる」と高いキャプテンシーを評価。「なんとか最後に一部に。彼の思いを成就させたいなと。とにかくそういう気持ちが(小柴は)ものすごく強い」と、指揮官は切に願う。

▲「チーム小柴」の戦いは11月まで続くか

最後に、専大野球部ファンに向けて熱いメッセージを残した。

「継続して応援してくれるというのは、正直なところ本当に力になっている。力になるだけに、申し訳ないなという気持ちもすごくある。でも、必ずどこかでという気持ちはあるので。だからもう少し待ってくれと。勝負には巡り合わせがある。なんとかそれをこじ開けて頑張ります」。

 

秋季リーグも終盤戦。劇的展開を巻き起こし、次の舞台への切符を掴み取る。


文=萩原 健丸(経営3)

写真=河上明来海(文4)