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<令和6年度東都大学野球秋季リーグ戦=9月10日 駒沢球場 専大0-4立正大>
最終回に怪物現る!今季初登板の中川が156キロをマーク
▲投じた第3球目は156キロを記録した。
ついに中川翔介(経営2・八幡商)がマウンドに登場した。先発のエース肥沼竣(商4・加藤学園)が、3回に先頭打者被弾を浴びたのを最後に早々とベンチへ戻ると、しばらくして迎えた8回。威厳とした立ち居振る舞いで姿を見せた。先頭の4番・西村元希選手を前に、独特のフォームから繰り出される豪速球がキャッチャーミットを唸らせる。その時、電光掲示板に156の数字を刻み込んだ。場内が一気に騒然とする中、その後も打者を圧倒し冷めやらぬどよめきを残したまま、グラウンドを後にした。
▲タイムを終えてからエースはマウンドを去っていった。
▲最終回の1イニングを三者凡退に抑え、堂々と役割を全うした。
4失点で惨敗を喫するも、中川だけは抜群のピッチングを披露した。シーズンを通して「初登板なので、もう入念に準備してから投げ切ろうと思った」と万全の体勢で臨んだ。
実は、最近まで長引く故障に悩まされていた剛腕。「高3から怪我をしていて、大学2年生の春まで投げれなかったので、もう結構2年近くぐらい投げられなかったです」と苦悩の過程に歯を食いしばる。「自分が怪我した理由は、柔軟性だったり(身体の)使い方っていうのが下手くそだったので、とりあえずこの2年間はフィジカルを強くしつつ、効率的な投げ方を求めて仕上げました」。惜しみない努力を積み、やっとの思いで這い上がってきた。
▲チャップマンから盗み得た最新フォーム。
進化を遂げた投球動作は新たな見どころのひとつだ。「参考にしたのが、チャップマンっていうメジャーリーガー」「結構、足の上げ方が独特だったので、どういう意味で投げているのか調べていったら、自分も真似するようになった」とパイレーツの190cm越え左腕を真似たのには重要な理由があった。「難しく言うと、腸腰筋を使うみたいな意味なんですけど、腸腰筋から使って上手くパワーを下半身とかに伝える感じ」と体幹強化に注力した結果、今に至る。
この日、投手陣で最速の156キロを叩き出した。「50は出そうと思っていたが、まさか5、6は出るとは思わなかったです」と本人も驚いていた。それから「素直に嬉しいです」と、はにかんで見せる。
流石は春のリーグ戦を前に、仁村薫ピッチングコーチが絶賛しただけある逸材だ。中川の今後に目が離せない。
文=小山明香(文3)
写真提供=大岩海音(野球部、経済1)