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2023.04.05
野球

【野球部】粗さ目立った専大 痛恨のサヨナラ負けで開幕黒星

〈令和5年度東都大学野球春季2部リーグ戦=4月4日 上尾 専大4―5x拓大〉


▲サヨナラの走者が生還した直後、呆然と立ち尽くす西舘


 東都大学野球春季リーグが4日、開幕した。昨季届かなかった1部昇格を目指す専大は第1試合で昨季5位の拓大と対戦。試合は延長戦までもつれる熱戦となったが、10回に痛恨の失策で逆転サヨナラ負けを喫し、黒星スタートとなった。2点を追う8回に代打で出場した中尾拓士(経営4・大分)が起死回生の同点2ランを放ち、先発のエース・西舘昂汰(経済4・筑陽学園)も169球の熱投を演じるなど粘りを見せたが、実らなかった。


 先手を取ったのは専大だった。初回、先頭の松永知大(経済2・創成館)が痛烈な打球を中前に弾き返すと、続く2番・西村進之介(経済4・栄徳)も右前に鋭い打球を放ちいきなり1、3塁のチャンスを作る。続く西里颯(経済3・興南)も中前に綺麗に弾き返し先制。後続は倒れたが、オープン戦から好調の上位打線の3連打で前に出た。


▲初回にいきなり安打を放った1番の松永 オープン戦から続く好調ぶりを発揮した

▲2番に座った西村進も続き、無死1、3塁のチャンスを演出した

▲先制適時打を放った西里 「打ったのはストレート。後ろにつなぐ意識で打席に入った」と振り返った


 開幕投手となった西舘は、粗さが目立つ投球となった。立ち上がりから制球に苦しんだが、3回までは無失点と新エースの意地を見せる。しかし、4回に連打を浴び逆転を許した。先頭の5番・竹花選手が右前に落ちる安打で出塁すると、犠打などで2死2塁のピンチを招く。すると8番・五十嵐選手に右前適時打を浴び同点とされ、さらに2死2塁から9番・業天選手に中前へ弾き返され2塁走者が生還。1-2と1点を追う5回には四球からピンチを招き、バッテリーエラーで追加点を与えた。5回を終え1-3。打線も2回以降立ち直った相手先発の宮下投手を攻めあぐね、悪い雰囲気が漂い始めた。


▲4回に3連打などで逆転を許した西舘 「外を狙ったボールが内に入ったりして失投が多かった」と振り返った。捕手は1年生にして早くもデビューを果たした加藤大悟(経営1・専大松戸)


 暗雲は4年生の意地の一発が引き裂いた。2点差のまま迎えた8回、先頭の7番・小林寛弥主将(経営4・坂井)が一二塁間をしぶとく抜き出塁すると、犠打で1死2塁とする。ここで専大ベンチが動き、代打に4年生の中尾拓士を送る。大分高校時代は4番で甲子園にも出場したスラッガーは、3球目の直球を豪快に振り抜いた。滞空時間の長い打球はぐんぐん伸び、右翼フェンスを越えた。起死回生の同点2ランで、窮地に立たされた専大を見事に救った。


▲8回に代打で同点2ランを放った中尾 「代打だったので、積極的に振りに行ったのがよかった」と喜んだ


 西舘は100球を超えてから少しずつ制球力を取り戻した。同点に追いついた8回は2人の走者を出したが併殺でしのぎ、9回は糸を引くような直球をゾーンに力強く投げ込み3者凡退。3-3のまま延長タイブレークに突入した。


 無死1、2塁から始まる10回表。先頭の代打・山口信太(経営3・坂井)が犠打を決め1死2、3塁とする。しかし、続く7番・小林の三ゴロで3塁走者が本塁タッチアウト。再び暗雲が立ち込めたが、代打に送られたリーグ戦初出場の寺井雄人(経営2・桐光学園)が二遊間に鋭い打球を放つ。相手二塁手が好捕し2塁へ送球するがセーフ。送球間に2塁走者の山本健斗(経済4・松商学園)が本塁を陥れ、1点をもぎ取った。4-3。ようやくリードを奪い返した。


▲勝ち越し点を誘う痛烈な打球を放った寺井 公式戦ではこれが初打席だった

▲相手の野選で2塁走者の山本が一気に本塁を陥れ、貴重な1点をもぎ取った


 勝利が見えた瞬間に悪夢が起きた。4-3で迎えた延長10回裏、一人で腕を振り続けた西舘は犠打と申告敬遠で1死満塁のサヨナラのピンチを背負う。打席に立った拓大の6番・加藤選手に10球粘られ、迎えた西舘の169球目。内角高めの直球で押し切り、一二塁間に平凡な打球を打たせた。二塁手の小林が捌くと、併殺を狙い二塁へ送球。しかし、送球は高く逸れてボールは無情にも外野へ。専大ナインが呆然とする中、二者がゆっくりと生還。痛恨の逆転サヨナラ負けとなった。


▲小林の2塁への送球は外野へ抜け逆転サヨナラ 小林は試合終了後も顔を上げることができなかった


 「試合を作ることを意識しすぎて、力、力で行ってしまった」。試合後、エース西舘は反省を口にした。6つの四球を出すなど制球に苦しみ、7回と9回以外は毎回走者を背負う投球が続いた。しかし、齋藤正直監督に継投のプランは一切なかった。「長いリーグ戦なので勝ち負けよりも西舘が成長しないといけない。そういう一戦でもあった」と新エースに試合を託したことを明かした。「バタバタ感はありましたが、まあよく投げ切ったのかな」と、指揮官は力投を称えた。最後のシーンについては「固さが最後のエラーに繋がったかもしれない。しめたと思った瞬間に大体落としてしまうもの」と振り返ったが、「今シーズン初めて10回までやった。上出来です。以上です」と前を向いた。


 オープン戦を経て最高のチーム状態で迎えた開幕戦だったが、思わぬ形で落とした。逆転での勝ち点獲得に向け、明日再び拓大と対戦する。


文=野見山拓樹(文4)

写真=高橋尚之(経営4) 河上明来海(文3)