News

最新ニュース


2022.11.04
野球

【野球部】エース菊地が乱調 入替戦初戦落とす

〈令和4年度東都大学野球秋季リーグ戦1部2部入替戦=11月3日 神宮 専大3-5駒大〉


▲4回に2ランを浴び苦笑い菊地


2部優勝を果たした専大は、1部昇格を懸けて駒大との入替戦に臨んだ。専大先発はドラ1右腕の菊地吏玖(経営4・札幌大谷)だったが、初回に四球から先制点を献上し早速追う展開となる。直後に西村進之介(経済3・栄徳)の初球先頭打者本塁打で同点に追いつくも、菊地は4回に2ランを浴び勝ち越しを許した。打線は1-4で迎えた6回に2点を返すも同点とはならず、8回にダメ押しの適時打を浴び敗れた。


17年春以来の1部復帰が懸かる大一番。一塁側スタンドはほぼ満員。大応援団の期待を一身に背負い、絶対的エースがマウンドに上がった。しかしこの日は苦しい立ち上がりとなった。先頭の林琢真選手を歩かせると、盗塁と失策でいきなり無死3塁のピンチを背負う。続く小園選手にしぶとく中前に運ばれ、あっさり先制点を奪われた。その後1死1、2塁とさらにピンチが続くも後続を断ち、なんとか最少失点で切り抜けた。


▲この日は力感のない投球が見られなかった

▲ピンチが続き、初回から齋藤監督が声を掛けに行く


しかし、専大もすぐさま試合を振り出しに戻す。先頭の西村進が初球をいきなり振り抜いた。滞空時間の長い打球はぐんぐん伸び、右翼席手前に飛び込んだ。この秋最も乗っていた男の一発で早くも追いついた。続く西里颯(経済2・興南)がストレートの四球で出塁すると、盗塁と二ゴロで1死3塁と勝ち越しのチャンスを迎える。ここで前に出れば一気にプレッシャーをかけられる場面だったが、4、5番が連続三振に倒れ1点止まり。それでも初回から互角に戦えることを示した。


▲初球先頭打者アーチの西村進 1球で追いついた


菊地は2、3回も力みを感じる投球が続くが何とか無失点に封じる。しかし、4回に勝ち越しを許す。5番の岩本選手の鋭い打球を今里凌(経営4・専大松戸)が止めきれず、出塁を許す。6、7番は抑え、ようやく力みの抜けた投球が戻ってきたように思われた。だが、続く8番神宮選手に甘く入った6球目を叩かれると、打った瞬間右翼席へ一直線。この秋防御率0点台を誇る背番号18だったが、4回で早くも3点を失った。最後までリズムに乗り切れなかったドラフト1位右腕は、結局4回81球3失点で降板した。


▲今秋初被弾 失投を完璧に捉えられた


5回からは松下瑛亮(経済3・宮崎学園)が登板。キレのある直球と落ちる変化球で5回をあっさり三者凡退に斬る。6回に死球からピンチを背負い、7番工藤選手に適時三塁打を浴びるも、最少失点で切り抜けた。


▲2番手の松下 好救援を見せた


中盤は簡単に抑えられていた専大打線だが、6回に火がついた。先頭の西村進が左安で出塁すると、西里の犠打と南保良太郎(経営4・星稜)の中飛で2死3塁のチャンスを作ると、打席には4番の外山優希(経営3・開星)。外山は4球目を見事に捉え、二遊間を強烈に破った。3塁走者が生還し、2-4と2点差に迫った。


▲先頭で綺麗に左前に運んだ西村進

▲見事に犠打を決めた西里

▲中前適時打を放った外山


続く山本健斗(経済3・松商学園)が歩いたところで駒大は松村投手を代え東田投手をマウンドに送る。その東田投手の7球目を6番今里凌が振り抜くと打球はセンターへ。詰まり気味の打球だったが、相手中堅手がボールを見失い中前に落ちた。2塁走者の外山が返り3-4。なおも2死2、3塁の逆転のチャンスで打席には途中出場の新出篤史主将(経済4・函館大有斗)。新出は初球を捉え左中間方向へ運んだが、中堅手の守備範囲。1点差に迫るに留まり、ここでも流れを掴み切れなかった。


▲齋藤監督に声を掛けられる今里

▲記録は二塁打 1点差に迫り今里もガッツポーズ

▲新出の打球は抜けるかと思われたが、中堅手の守備範囲だった


専大2番手の松下は7回を3人で抑え3回1失点で降板。8回からは西舘昂汰(経済3・筑陽学園)をマウンドへ送る。この日も西舘は気合十分。初球から力強い直球を投げ込むと、自己最速の150キロを計測。その後も力強い速球で押し、先頭の与倉選手を空振り三振に斬る。4番の大森選手には左中間への二塁打を浴びピンチを招く。続く岩本選手にもレフト後方へ大きな打球を放たれるが、左翼の南保のファインプレーで2死とする。しかし、6番薩美選手に中越えの二塁打を浴び、手痛い1点を献上。この1点で試合が決まった。


▲3番手の西舘 ダメ押しの適時打を浴びたが、自己最速を更新し大台に乗せた


西舘は9回を無失点に封じ逆転を待ったが、打線は7回以降東田投手からチャンスを作れず試合終了。最後まで流れを掴み切れず、後がなくなった。


試合後、齋藤正直監督は「みんなガチガチでしたね。エースの菊地くんも力いっぱいだった」と振り返る。「非常にプレッシャーのかかる試合。それを経験してこいと話した。入替戦は力が入る。だから面白い」と敗戦を楽観視。エース菊地を4回で代えたことについては「明日からの展開もあるが、防御率0点台の投手が4回までに3失点ということは普段と違う。心の揺れ動きがあったかな」と話した。


菊地吏玖は「力が入っていた。フォームのバランスも全部崩れた」と投球を振り返った。「1部のチームと対戦するのは初めて。向かっていかないと持ち味が出ないと思うが、様子を見ながらになってしまった」「強いボールをゾーンに投げたら打たれないだろうという思いから、力んでしまいゾーンから外れてしまった」と反省を並べる。「同じ失敗は繰り返してはならない。今日で大体感じは掴めた」と次戦を見据えた。


早くも追い込まれた専大だが、互角に戦えることは示した。逆転昇格に向け、明日も神宮球場で駒大に挑む。


文=野見山拓樹(文3)

写真=相川直輝(文3) 高橋尚之(経営3)