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2022.11.03
柔道

【柔道】専大躍動! 關龍聖がベスト16

〈2022年度講道館杯全日本柔道体重別選手権大会=10月30日 千葉ポートアリーナ〉

10月30日に千葉ポートアリーナで開催された講道館杯に、専大からは織茂峻伍(経営3・木更津総合)、佐藤優磨(商3・広陵)、専大OBの組織である専柔会として關龍聖さんが出場した。佐藤は1回戦敗退、織茂は2回戦敗退、關さんはベスト16で、2選手が藤田純監督体制として初の講道館杯初戦突破を果たした。


講道館杯初出場となった佐藤(60kg〈キロ〉級)は、大会3日前の稽古中に負傷。棄権なども考えられたが、本人の意志で出場することとなった。試合前について、「特に緊張することはなかった。出場してより多く経験を詰めたらと思っていた」と話す佐藤。

▲試合に入る前の佐藤

1回戦目の対戦相手は、今年8月にエクアドルで開催された世界ジュニア柔道選手権大会において優勝を果たした国士舘大学の中村太樹選手だ。序盤からかなりスピード感のある試合となる。佐藤も持ち前のスピードを活かして、世界チャンピオン相手に互角に渡り合う。しかし、「腰を持たれた時に全然耐えられなかった」と話すよう大会前の負傷が響き、相手の足技からの抑え込みで一本を取られ1回戦敗退となった。「怪我なしで、自分の力がどのくらい通用するか試したかった」と、悔しさを露わにした。

▲佐藤(青)

新キャプテンとして最初の大会へ臨んだ織茂(90kg〈キロ〉級)。1回戦目の対戦相手は、今年5月に開催された九州学生柔道優勝大会の優勝メンバーの1人、福岡大学の田原志雄選手だ。抑える、抑え込まれるといった一進一退の展開が続くも、「(相手は)投げる力が強い選手だった。慌てて攻めるのではなくしっかり見て、相手のやりたいことを考えていた」と冷静に分析し、徐々に流れをつかみ始める。「足で相手の姿勢を崩して最後に小内刈(足技)を決めるという、もともと立てたプラン通りの展開に持ち込めたと思う」と試合を振り返るよう、相手を隅に追い込み小内刈で技あり、また姿勢を崩して小内刈で技あり一本。藤田監督体制として初の講道館杯初戦突破を果たした。

▲織茂(青)


続く2回戦目の対戦相手は、織茂も以前共に稽古をしたことのあるパーク24の長澤憲大選手だ。グランドスラムで4回の優勝、世界柔道団体選手権大会で2回の優勝を含む世界大会で14のメダルを獲得し、最終的に今大会ではベスト4になることとなる実力者だ。

▲試合前、ルーティーンをする織茂

「相手に持たれた手を自分でコントロールできなかった。また序盤でポイント(技あり)を取られてしまったことが流れを悪くしてしまった」と話すよう、足技を狙うも相手がなかなか倒れず試合開始30秒、相手の山嵐(手技)で技ありが決まり序盤から苦しい展開に。その後織茂も倒し抑え込んで相手に背をつけさせようとするもなかなか剥がせず、そのまま試合終了。試合を振り返って「自分のできることすべて出したうえで負けてしまい、改めて相手のレベルの高さが伺えた」と話す織茂。「個人としては、来年の講道館杯で勝つことが次のステージにつながる第一歩だと思う。そこから逆算して今からしっかりと努力して積み上げていきたい。チームとしてはまだ結成したてで、右も左もわかっていない状態。一度チームが団結できるように話し合って、ここから次の団体戦まで時間があるので、それまでにどれだけチームを作れるかを意識していきたい」と、新キャプテンとして今後に向けた思いを語った。



今大会、専大OBの組織である専柔会として出場した關(66kg〈キロ〉級)さんは1回戦目、元世界ジュニアチャンピオンであるパーク24の橋口祐葵選手との試合に臨んだ。「こっちには失うものはないので、いつも通り自分の柔道をすれば勝てると思った。1回戦目を乗り切れば、(上に)いけるだろうなと思っていた」と話す關さん。序盤から背負い落し(手技)や巴投げ(真捨身技)など、攻めの姿勢を見せていく。そこで一本は決まらなかったが、「相手(橋口選手)は27歳で、体力も落ちてきてると思ったので後半戦勝負の作戦を立てた」と話すよう、試合前から想定していた、持ち前の体力を活かし相手に指導を誘発させる戦術で延長戦に持ち込む。そして作戦通り相手に指導3を取らせ、初戦突破を果たした。

▲關(青)

初戦を突破し流れに乗る關さんは2回戦目、東海大学の岸武蔵選手と対戦。今年9月に開催された全日本ジュニアでも第3位と、決して楽な相手ではなかったが、「相手が前に出てきたところを背中で落として、圧をかけて(相手の)指導を取るという、いつも通りのプレーが出せた」と話すよう、1回戦目と同様に我慢して相手に指導3を取らせ、優に2回戦を突破した。


そしてベスト8をかけた3回戦目。対戦相手は關さんの同学年で高校時代からの友達であると話す、ALSOKの相田勇司選手だ。「彼(相田選手)が大学生になってからすごいブレイクして、全日本の前線で活躍している姿を見ていたので、いつも刺激を受けていた。3回戦で当たると知ったときは、すごく感慨深かった」と話すよう、日本はもちろん、世界ジュニア、グランドスラムで銅メダルを獲得してきた実力者だ。試合は序盤から關さんが攻め、巴投げを何回も仕掛ける。なかなか技が決まらない中残り時間35秒、ついに關さんが肩車(手技)を決める。判定は技ありだったが、一本を確信していた關さんは試合が再開されたことに一瞬戸惑いを見せる。相手はその一瞬の隙を逃さず、帯取返(手技)で一本を取り試合終了。「前大会(全日本実業大会)もそうだったが、油断というのが今回も、そしてこれからも課題になっていく」と悔しいベスト16という結果で大会を終えた。


▲試合に負け、悔しさを露わにする關さん

大会を振り返って藤田監督は「三者三様のように、3人とも持ち味を出してよく頑張ってくれた。いつも言うようだが、今回柔道部の学生が皆応援に来てくれたよう、普段一緒に稽古をする皆がいるからこういう舞台(講道館杯)にも立てた。他の強豪大学は100人とかの部員がいる中で、うちは30人弱で柔道未経験だった一般生もいる。その中で一人ひとりが目標を持って頑張ってくれたことは本当に誇らしい。素晴らしいとしか言えない」と、専大柔道部全員の頑張りを称えた。

▲試合前に佐藤に話しかける藤田監督

そして今後に向けては、「楽しみとワクワク感しかない。(部員は)いろいろ問題も起こすがな。(笑) でもそれも含めて皆が成長していく姿を近くで見れるのは幸せ。良いチームになっていくと思う」と、専大柔道部の新たな船出に期待した。

▲織茂に楽しんでくるよう話す藤田監督

専大柔道部の新チーム最初の大会が終わった。3選手それぞれが自信をつけ、同時に課題も見つけた。次に繋がる経験を積んだこの3選手を筆頭として、目標に向かってチーム一丸で進んでいく専大柔道部に今後も注目していきたい。

文=北原倖多・文1 写真=小池佳欧・文1