最新ニュース
〈令和4年度東都大学野球秋季1部2部入替戦=11月4日 神宮 専大4-3駒大〉
▲魂の完投!西舘は苦しい投球が続いたが、最後まで粘った
初戦を落とし後がなくなった専大。この日は前日とは対照的に勝負強さが光った。初回に2死からチャンスを作り、南保良太郎(経営4・星稜)と山本健斗(経済3・松商学園)の連続適時打で2点を先取。2回には西村進之介(経済3・栄徳)の適時打でリードを広げる。4回に同点とされるも、直後に今里凌(経営4・専大松戸)の適時二塁打で勝ち越し、そのまま逃げ切った。先発の西舘昂汰(経済3・筑陽学園)はピンチを背負いながらの投球を強いられたが、4回以降得点を許さず147球完投勝利。打線のキーマンと3年生右腕の魂の込もった投球で、1部昇格へ王手をかけた。
齋藤正直監督は「短期決戦の時はインスピレーション」と、スタメンを大きく変更。1回戦で3番を打った南保を5番へ、5番の山本を6番へ。主将の新出篤史(経済4・函館大有斗)を3番へ据える思い切った采配で、強力な駒大投手陣に立ち向かった。
打線の組み換えは初回から効果を発揮した。1回表、簡単に2死を取られるが、3番新出が四球を選び、続く4番外山優希(経営3・開星)が執念の内野安打で1、2塁のチャンスを迎える。すると5番に座った南保が2球目を捉え、一二塁間を破る。2塁走者の新出が一気に生還し、早くも1点を先制。なおも2死1、2塁から、6番山本が左中間へ適時打を放ちさらに1点を追加。3連打で2点を先行した。
▲内野安打でチャンスを広げた外山
▲先制のシーン 南保の5番起用が功を奏した
▲2点目の適時打を放つ山本
先発の西舘は先頭の林琢真選手に左安を浴び、盗塁と犠打で1死3塁のピンチを背負う。しかし3番与倉選手の一ゴロで3塁走者を封殺。続く大森選手も打ち取り無失点で切り抜けた。
▲初回の西舘 なんとか0点で抑えた
専大は2回にも得点を奪う。先頭の小林寛弥(経営3・坂井)がセーフティバントで出塁すると、1死後、西村進の打席での暴投の間に3塁を陥れる。そして西村進が3球目を右前に運び追加点。ここで早くも相手先発のエーアン投手をKO。専大ペースで試合が進むと思われた。
▲2回先頭の小林 相手の意表を突いた
▲3点目の適時打を放つ西村進
しかしここから駒大の反撃に押される。2回1死から薩美選手を二塁打で出塁させると、2死から三塁手の小林の送球エラーの間に1点を返される。さらに4回には先頭の岩本選手に左安を浴びると、1死後から連打で満塁のピンチを背負う。続く9番浦口選手の内野安打で1点差に迫られると、1番林琢選手に右前適時打を浴び同点に追いつかれる。後続を打ち取り勝ち越しは許さなかったものの、試合を振り出しに戻された。
▲4回の西舘 不運な内野安打が続き追いつかれる
それでも専大はすぐさま前に出る。5回2死から6番山本が死球で出塁すると、打席には7番に入った今里。「前の打席で自分の打撃の感覚がすごくいいと感じた。いいイメージで入れた」と駒大4番手の東田投手の3球目を一閃。打球はぐんぐん伸びて右翼フェンス直撃の二塁打。1塁走者の山本が本塁を踏み勝ち越しに成功。キーマンの一打で流れを再び引き戻した。
▲5回2死から4球目の直球を捉えた今里
▲あと少しで本塁打だった 悔しがるも笑顔を見せた今里
▲5回も2死から勝ち越し点をもぎ取った
西舘は5回にも3塁に走者を背負うも無失点。続く6回、1死から9番浦口選手が内野安打で出塁すると、続く1番林琢選手のセーフティバントで1死1、2塁のピンチを迎える。2番小園選手への4球目が暴投となり一打逆転のピンチとなる。しかし、背番号11は決して崩れなかった。小園選手に8球粘られるも空振り三振を奪う。さらに3番与倉選手を見逃し三振。この日最大のピンチを0点に抑えた。
▲逆転のピンチでも動じなかった西舘・新出バッテリー
▲連続三振でピンチをしのいだ西舘 普段は淡々と投げる3年生右腕だが、ここでは感情を爆発させた
試合はそのまま9回へ。8回までに141球を投じた西舘は最終回のマウンドにも上がった。先頭の小園選手を中飛に打ち取り1死。3番与倉選手に対しては4球目を打たせて一ゴロ。最後は大森選手を一ゴロに打ち取り試合終了。12安打を浴びるも4回以降は得点を許さず、147球3失点で完投勝利を挙げた。
▲今季最多の147球 西舘は試合を終えると安堵の表情を見せた
試合を終えて西舘は「今日は球数が増えたことによって、自分のスタイルが生まれてきた」と感触の良さを口にする。「1人で投げ切るというつもりは一切なかった。1イニングずつという気持ちで投げた」と熱投を振り返った。「来年ここ(神宮球場)でやりたいという気持ちが本当に強い。神宮で試合をすることだけを考えて今日は投げた」と1部昇格への思いは誰よりも強い。齋藤監督も「2日目は西舘と決めている」と絶大な信頼を置く。今季大ブレイクを果たした3年生右腕が、崖っぷちに立たされたチームを見事に救った。
▲試合後の齋藤監督 采配を見事に的中させた
▲1部へあと1勝と迫った 写真は小柴滉樹(経営2・佼成学園)
1勝1敗のタイとし、昇格へあと1勝と迫った専大。次戦は1週間後の11日に予定されている。準備を整え、万全な状態で再び駒大に挑む。
文=野見山拓樹(文3)
写真=相川直輝(文3) 高橋尚之(経営3)