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〈令和４年度東都大学野球２部秋季リーグ戦＝10月22日 上尾 専大３－５東洋大〉
▲力投及ばず 菊地で勝つことができなかった
勝てば２部優勝が決まる専大は、春季に続き熾烈な優勝争いを繰り広げる宿敵・東洋大と対戦。先発のドラフト１位右腕・菊地吏玖(経営４・札幌大谷)は初回に２点を失うも、以降は９回まで得点を与えない粘りの投球を見せた。打線は４回の山本健斗(経済３・松商学園)の適時二塁打と８回の暴投で同点に追いついた。試合はそのまま延長に突入し、11回に菊地が途中出場の馬込悠選手に２点適時打を浴び試合を決められた。専大の優勝は明日へ持ち越しとなった。
今季初の土曜日開催となった東都２部。ドラフト直後の試合ということもあり、ＵＤトラックス上尾スタジアムには過去例に見ないほどの観衆が詰めかけた。専大の先発は20日のドラフト会議で千葉ロッテマリーンズから１位指名を受けた菊地吏玖。東洋大の先発は来年のドラフト１位候補の呼び声高い細野晴希投手。野球ファン大注目の中、優勝が懸かった重要な１戦が幕を開けた。
▲優勝を懸けてマウンドに上がったエース菊地
試合は１回表から動いた。１死後に安打と四球で１、２塁のピンチを背負う。踏ん張りたい菊地だったが、４番小口選手に詰まりながらも左前に運ばれ２塁走者が生還。なおも１死２、３塁から、５番花田選手の二ゴロの間に３塁走者がホームイン。不安定な立ち上がりを東洋大打線は見逃さず、さっそく２点を追う展開となった。
▲初回から２点を失い、苦しい立ち上がりとなった
４回裏に専大は１点を返す。先頭の西村進之介(経済３・栄徳)の四球から、相手の失策と２番西里颯(経済２・興南)の犠打で１死３塁とする。２死後に外山優希(経営３・開星)が歩き１塁３塁とすると、５番山本が右中間に適時二塁打を放ち１点差とした。同点とはならなかったものの、早い段階で１点差に迫った。
▲ 先頭で出塁した西村進 この日は３つの四球を選んだ
▲見事に犠打を決めた西里
▲１点差に迫る適時二塁打を放った山本
６回には同点のチャンスを迎える。先頭の３番南保良太郎(経営４・星稜)が四球を選び、続く４番外山が右安を放ち大きなチャンスを迎える。東洋大はエースの細野投手から４年生右腕の河北投手にスイッチ。一気に流れを掴みたい専大だったが、５番の山本が見逃し三振。続く新出は敵失で出塁し１死満塁にチャンスを広げる。しかし、７番今里凌(経営４・専大松戸)と代打中尾拓士(経営３・大分)が連続三振に倒れ無得点。流れを引き寄せることができなかった。
▲チーム２本目の安打を放った外山
▲三振に倒れた今里
▲代打の中尾 代り端を捉えることはできなかった
終盤の菊地はピンチの連続となった。７回には１死１、３塁のピンチを背負うも１番の橋本選手を空振り三振に斬り切り抜ける。８回にも２つの四球で２死２、３塁とするも、６番宮下選手を二ゴロに打ち取りここも無失点。回を追うごとに菊地の集中力は高まり、気迫が溢れるようになった。
▲ピンチを迎え、齋藤正直監督が声を掛けた
▲７回のピンチを切り抜けた菊地 気迫で抑えた
▲８回のピンチの場面 新出の好リードも光った
専大は８回に同点に追いつく。先頭の南保が鋭く二遊間を抜くと、続く外山もしぶとく一二塁間を破り放ち無死１、３塁の大チャンスを迎える。その後連続三振で２死とされるが、７番今里の打席で河北投手が暴投。３塁走者がホームを踏み、ついに試合を振り出しに戻した。
▲チャンスを広げた外山 この日は２安打を放った
▲暴投でついに追いついた
９回は両軍得点を奪えず、試合は延長タイブレークに突入。菊地は９回を投げ終えた時点で１３９球を投じていたが続投。２番水谷選手に犠飛を放たれるも最少失点に抑えサヨナラ勝ちを待った。打線は代打河内恭英(経営４・広島新庄)の犠打で１死２、３塁の場面を作るも、５番山本が続けず崖っぷちに立たされる。しかし、ここでも暴投で１点をもぎ取り３－３。この回も決着つかず、11回に突入した。
▲10回も背番号18はマウンドに上がった
▲無死１、２塁のタイブレークを最少失点に抑えた この時点で１４８球に達していた
▲暴投でホームを踏んだ西里 再び追いついた
迎えた11回、１５０球に迫った菊地は１死２、３塁の場面を背負う。ここまで何度もピンチでギアを上げてはしのいできた背番号18だったが、途中出場の馬込選手に１５４球目を弾き返される。打球は一二塁間を破られ、二者が生還。５－３と試合を決定づけられる一打を浴びた。菊地はここで無念の降板。10回１／３の熱投を見せたエースに、スタンドに詰めかけた多くの専大ファンから大きな拍手が送られた。
▲マウンドを降りる菊地 悔しい１球となった
大エースに負けを付けたくなかった専大は11回に無死満塁の大チャンスを迎える。しかし、この回から登板した一條投手の速球を捉えられず、連続三振と一ゴロで無得点。３時間44分の死闘をものにできず、優勝は明日に持ち越しとなった。
▲試合後にスタンドに挨拶する菊地
試合を終えて菊地は「マウンドと自分のリズムが合わず、強いボールを投げられなかった」と明かした。ドラフト前後で心境の変化はなく、今日の試合も緊張はなかったと振り返った。明日以降の登板については「体と相談しながら」と話すに留めた。
大注目の１戦を落とした専大。明日の２回戦は必ず勝つ。そう誓ってナインは球場を後にした。
文＝野見山拓樹
写真＝相川直輝(文３) 高橋尚之(経営３)
