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〈令和4年度東都大学野球2部秋季リーグ戦=10月23日 上尾 専大2-0東洋大〉
▲優勝を決めた瞬間の専大ナイン 1部昇格の挑戦権を手にした
2部優勝まであと1勝に迫っていた専大は、2位東洋大を完封で下し優勝を決めた。東洋大先発の細野晴希投手に対しこの日も苦戦を強いられるも、4回の外山優希(経営3・開星)の犠飛で先制し、8回には南保良太郎(経営4・星稜)のダメ押しの犠飛で試合を決めた。先発の西舘昂汰(経済3・筑陽学園)は118球4安打7奪三振で完封勝利。今秋先発2番手として台頭した3年生右腕が、大一番で見事な投球を見せた。1部昇格の挑戦権を掴んだ専大は、11月3日から行われる入れ替え戦で、1部6位の駒大と対戦する。
両先発とも1回戦で登板したが、ともに安定した立ち上がりを見せた。東洋大先発は2日連続での先発マウンドとなったエース細野投手。変化球主体の投球を見せた1回戦とは対照的に直球を主体とした配球で専大打線を交わし、3回までパーフェクトに抑え込んだ。専大は前日の11回1死から登板した西舘昂汰をマウンドに送る。こちらは初回から2つの三振を奪うなど立ち上がりからエンジン全開。3回まで相手打線を1安打に抑える上々の立ち上がりを見せた。
▲「落とせないのはわかっていた」 西舘は初回から全力投球
専大は4回に先制に成功する。先頭の2番西里颯(経済2・興南)がライトに放った打球を相手が見失い、右中間に弾んだ。西里は2塁を陥れ、先制のチャンスを迎える。3番南保は初球を鋭く弾き返すも二ゴロ。その間に西里が3塁に進みチャンスを広げる。続く4番の外山は「外野フライでもいいので、とにかく当てたかった」と5球目のスライダーを弾き返す。打球は低い弾道でレフト深い位置まで飛ぶ犠飛となり、3塁走者が生還。宿敵からしぶとく先制点をもぎ取った。
▲4回先頭の西里 相手が打球を見失う間に一気に2塁へ
▲先制の犠飛を放った外山 「ボールは見えていた」と笑顔で振り返った
西舘は4、5回と危なげなく抑え、素晴らしい投球を続ける。6回は先頭の後藤聖選手を四球で出すも、続く加藤響選手を三振に打ち取る。犠打と四球で2死1、2塁とこの日最大のピンチを迎えるも、3番石上泰選手を空振り三振に斬りこの回も無得点。気迫の込もった力強い投球で、順調にゼロを並べていった。
▲マウンドで齋藤監督に声を掛けられるバッテリー 西舘からは笑顔も見えた
▲6回のピンチを凌ぎ、西舘は小さく拳を握った
突き放したい専大は、8回に貴重な追加点を奪った。先頭の小柴滉樹(経営2・佼成学園)が四球で出塁する。ここで1番西村進之介(経済3・栄徳)に代えて代打に河内恭英(経営4・広島新庄)を送る。河内への初球が外れたところで東洋大ベンチが動き、細野投手から河北投手にスイッチ。河内は河北投手の1球目でしっかり犠打を決め、1死2塁とする。続く西里が詰まりながらも右線際に落とす安打を放ち、1、3塁とチャンスを拡大。打席に入ったのは3番・南保良太郎。「西舘が気持ちの込もった投球をしてくれていた。なんとか応えたいという一心で打席に立った」と初球のフォークを振り抜く。高く上がった打球はセンター深い位置まで飛ぶ犠飛となった。頼れる4年生のバットから、試合を決定づける貴重な1点が生まれた。
▲先頭で出塁した小柴 今秋初スタメンで3出塁と存在感を見せた
▲1球で犠打を決めた代打河内
▲この日2本目の安打でチャンスを広げた西里
▲「フォークは頭にあった」と初球を振り切った南保 あまりにも貴重な追加点となった
そして迎えた9回。優勝が目前に迫りスタンドに詰めかけた大勢のファンが拍手を送る中、背番号11がマウンドに向かった。先頭の1番秋元選手を右飛に打ち取り1アウト。2番水谷選手を投ゴロに仕留め2アウト。続く3番石上泰選手に中前へ運ばれ2死1塁。打席には4番の小口選手。初球は外れるも2球目はストライク。3球目がファウルになり迎えた4球目。外角低めへのスライダーにバットが空を切り、ミットに収まった。ガッツポーズの西舘。マスクを投げマウンドへ走る新出篤史(経済4・函館大有斗)。真っ先にベンチを飛び出すエース菊地吏玖(経営4・札幌大谷)。マウンドにできる歓喜の輪。専大は宿敵・東洋大を下し、19年春以来3年半ぶりの2部優勝を決めた。
▲9回のマウンドも3年生右腕に託された
▲西舘は今季2度目のシャットアウトで優勝を決めた
▲真っ先にマウンドへ駆け寄った絶対的エース
▲歓喜の輪の中で選手たちは喜びを爆発させた
「今季は投手陣が安定してくれた。2人先発がいるのは非常に大きい。それが最後に集約された」。齋藤正直監督は今季の投手陣の奮闘を称える。今季2度目の完封となった西舘に対しては「信頼していた」と笑顔で明かした。西舘は「変化球での組み立て方が上手にできた。失投が少なかったのがよかった」と振り返る。試合前に「後ろにいるから飛ばしていいよ」と菊地に声を掛けられたことで初回からエンジン全開で投げることができたと話す。「新出さんが自分を引き出してくれた。後ろに吏玖さん(菊地)が控えていて、心強かった」と先輩のサポートに感謝した。
▲菊地に並ぶ投手に登り詰めた西舘 エースも信頼を寄せる存在に
19年春のあと一歩及ばなかった入れ替え戦。20年春のあとアウト1つで涙を呑んだ日大戦。そして今春の屈辱。4年生の入学以降専大が何度も味わってきた苦い思いを全て消し去り、笑顔で終える準備は整った。主将の新出は「チーム一丸となって、チャレンジャーの気持ちで臨んでいきたい」、エースの菊地は「全力で向かっていくだけ」と意気込みを口にした。
▲残るは入れ替え戦の壁を「打破(うちやぶる)」のみ!
文=野見山拓樹(文3)
写真=相川直輝(文3) 高橋尚之(経営3)