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2018年度 第42回 総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント
準々決勝 vs中京大学体育会サッカー部(東海地区第3代表)
9月5日(水) 18:20 Kickoff
@キンチョウスタジアム(大阪府大阪市)
中京大 3-1 専大
▲試合終了後、がっくりと膝に手をつく小林と呆然と立ち尽くす大西
1回戦、2回戦で順調に勝利を収め、ベスト8まで勝ち上がってきた専大サッカー部。準々決勝の相手である東海の雄・中京大は、2回戦で前年度優勝校の法大を下し、今最も勢いのあるチームと言えるだろう。舞台はJ1・セレッソ大阪の本拠地であるキンチョウスタジアム。淡い夕焼けに染まった空の下、ベスト4入りをかけた戦いの火蓋が切って落とされた。
以下、スターティングメンバー(4-3-3)
GK 1 塚田匡壮(商2・都文京高)
DF 8 河上将平(人間科3・東海大付属静岡翔洋高)
DF 3 西村慧祐(法3・習志野高)
DF 4 大西拓真(商4・都砂川高)
DF 2 古屋誠志郎(法3・市立船橋高)
MF 15 鹿沼直生(経済3・静岡学園高)
MF 32 冨山大輔(経営2・関東第一高)
MF 12 菊地紘平(商2・専大松戸高)
FW 11 中山克広(経済4・麻布大附属高)
FW 18 下田悠哉(法4・都鷺宮高)
FW 6 小林岩魚(法4・甲府第一高)
源平貴久監督はこの大事な一戦でサプライズを見せる。今季は一貫して左サイドバックで起用してきた小林をなんと左ウィングにコンバートしたのだ。高い攻撃力を誇るこのレフティーを高めの位置で起用し、サイドからより多くのチャンスを作り出そうとする狙いが見て取れる。また、インサイドハーフの2枚を前期リーグでも組むことの多かったMF葛谷将平(経済4・大津高)とMF岡本勇輝(経済3・高津高)のセットからMF冨山とMF菊地の下級生セットへと変更。これらの大胆なスタメン変更が吉と出るか凶と出るか―。
まず主導権を握ったのは中京大だった。8分、自陣左サイドからクロスを入れられると、ゴール前で混戦になったところを決められ、開始早々の先制を許す。出鼻をくじかれ、反撃に転じたい専大だったが、連戦の疲れからか、中京大が繰り出すアグレッシブな攻撃を前に受身に回ってしまう。24分には、CKを押し込まれ0-2。その7分後には、敵陣からテンポよくパスをつながれ、左右に大きく揺さぶられると、最後はバイタルエリア付近にフリーで抜け出され、冷静にゴール右隅へと流し込まれた。前半30分過ぎで早くも3失点。それでも、専大イレブンは決して下を向かなかった。43分、FW中山が敵陣深い位置までスピードに乗ったドリブルで切り込むと、速い弾道のクロスをゴール前へ。そこに今大会初スタメンのFW下田が頭で飛び込み、意地の1点を返すことに成功する。後半での逆転に望みをつなぐ大きな1点を持って、前半を折り返す。
▲ゴールを挙げた下田は両チームトップとなる4本のシュートを放つなど積極性が光った
より攻勢に出たい専大ベンチは後半開始から動きを見せる。スタメンに抜擢されたものの、試合から消えている場面が目立った冨山と菊地に代えて、ボールを前へ運ぶ推進力のある葛谷とMF安野蓮(商1・広島観音高)を投入。すると、その葛谷と安野を起点に徐々にパスが回り始め、ゴール前まで侵入する回数が前半と比べて格段と増えたのだ。ただ、ゴールが遠かった。中盤の活性化により、ボールが行き渡るようになった左サイドの小林のクロスから中山と下田が立て続けに決定機を迎えるが、いずれもシュートは枠の外へ。終盤にはFW遠藤翔太(経営2・広島皆実高)とFW中杉雄貴(経営3・追浜高)をピッチへ送り込み、フォーメーションを4-4-2へと変更。逆境を切り開くべく、攻撃陣に厚みを加え猛攻を仕掛けるも、ゴールネットを揺らすには至らず、無情にも試合終了のホイッスル。全国制覇を目標に掲げ、3年ぶりに挑んだ大学サッカー“大阪夏の陣”はベスト8という結果で幕を閉じた。
▲後半開始から投入され、チームの潤滑油となった葛谷
しかし、彼らにうつむいている時間はない。9月15日(土)には、早くもリーグ戦が再開。前期リーグを3位で折り返し、好位置につける専大は逆転優勝を成し遂げるため、再び走り出す―。
以下、試合後インタビュー
源平貴久監督
試合を振り返って―
「前半に立て続けに3失点したことで前線の選手と後ろの選手が分断されてしまい、ちぐはぐになってしまった。相手に対してビビりすぎた」
小林の左ウィング起用について―
「彼は守備に少し課題があるので、守備を安定させる狙いで古屋を左サイドバックで起用した。そうは言っても前の試合でアシストもしていたし、攻撃力は充分にあるので、高めのポジションで使ってみたが、なかなか上手くいかなかった」
冨山と菊地のスタメン起用について―
「連戦の疲労ということも考えて、新しい選手を起用しようと思った。ただ、攻撃の部分を見たら、後半に入れた2人(葛谷、安野)の方がボールを上手く回せていた」
短い期間での連戦となったが、選手たちのコンディションは―
「この大会に関しては、コンディションうんぬんというよりも、自分たちのやりたいことがなかなかできなかったので、収穫はあまりなかったように感じる。もう少し攻撃ができないと、リーグ戦も厳しくなってくる」
そんななかでもベスト8という結果を残したが―
「中山が一人で違いを生み出せていたので、彼のおかげというところが大きい。中山頼みになってしまうとリーグ戦も厳しくなってくるので、それ以外の選手も力をつけていかないといけない」
後期リーグに向けて―
「現時点では3位にいるが、総理大臣杯を戦ってみて、現状ではチームの力はリーグの下位レベルだと感じた。まずは1部残留を早めに確定させることを目標に、その上でインカレ出場権を狙えるように頑張っていきたい」
▲不慣れな左ウィングのポジションで奮闘した小林
小林岩魚
試合を振り返って―
「早い段階で大量失点してしまったので、攻めにいきつつカウンターも警戒しないといけないという難しいゲームになってしまった。やはり立ち上がりの失点が全てだったと思う」
左ウィングでの起用となったが―
「いつもより高めのポジションだったので、ボールを持ったらまず前に行くことを意識した。自分は中山のようにスピードがあるタイプではないので、周りと上手く連携して崩していく狙いがあった」
手応えは―
「良くなかった。惜しいシーンもいくつかあったが、自分のところで何かできたというわけでもないし、最終的にチームも負けてしまったので、悔しい試合になってしまった」
源平監督は「攻守が分断されてしまった」と言っていたが―
「相手の7番を警戒しすぎた。前線の選手もプレスバックを速くしないといけないし、後ろも身体を張って守っていたので、それに応えないといけなかった。相手にセカンドボールを拾われ続けてしまったことが大きい」
今大会を振り返って―
「夏の過密日程の中で、みんなで練習を頑張ってきて、2試合勝ってベスト8まで勝ち進むことができたのは素直によかったと思っている。でも、専大らしいサッカーは大会を通じてあまりできなかった。源平監督や岩淵(弘幹)コーチにも言われたが、『止めて蹴る』という基本的な部分がまだまだ自分たちには足りないと感じたので、後期リーグに向けて修正していきたい」
後期リーグに向けて―
「1回オフを挟むので、まずはしっかりリフレッシュしたい。まだ優勝の可能性も残っているので、もっとレベルアップして後期リーグを迎えたい」
▲中山は今大会3試合で2ゴール2アシストと、チームの得点源としての役割をきっちりと果たした
中山克広
試合を振り返って―
「もったいない。前半の終盤はテンポよくボールを回せて、点も取れたので、もっと早い時間帯から自分たちらしいサッカーができていれば、試合の内容も変わったと思う」
得点シーンを振り返って―
「前に行く選手が全然いなくて、ただボールを回しているだけになっていたので、自分が突破してクロスを上げるというアクセントをつけたかった。そういう意味では、良いタイミングでボールを出せたと思う」
短期間での連戦ということで、コンディションは―
「気にしてはいたが、やはり疲れは残ってしまった。コンディション管理にはもっと気を付けないといけない」
源平監督は「攻守が分断されてしまった」と言っていたが―
「自分にボールが入ったときに、中盤の選手との距離が遠いと感じる場面はいくつかあった。ボールを回すという部分では、距離感が遠かった」
「中山頼みになってしまった」とも言っていたが―
「仕方ないと言えば仕方ない。小林くんも本来のポジションではなかったので、スタメンが発表された時から自分が引っ張っていかないといけないというのはずっと考えていた」
大会を通じて好調を維持しているように感じたが―
「いつも以上に気合が入っていた。久しぶりの全国の舞台なので、結果を出して見に来てくれた人たちを喜ばせたいというのもあったし、4年生で最後の総理大臣杯だったので、かける想いは強かった」
1年生の時も総理大臣杯を経験しているが、リベンジという想いは―
「やはりあった。その時は初戦敗退で、自分も何もできずに終わってしまったので、それは心の中で引っ掛かっていた。今年はなんとしても結果を出したいと思っていた」
今大会を振り返って―
「2ゴール2アシストという結果も残せたし、突破する力がさらについたと思う。ただ、最後までもたないのが課題だと感じた。後半に入ると、ドリブルのスピードもだんだん落ちてきて、仕掛ける回数が減ったり、後ろに下げてしまったりすることがあったので、1試合を通して仕掛けられる力をつけたい」
後期リーグへ向けて―
「優勝も狙える良い位置にいるので、この大会を通して学んだことを持ち帰って、みんなで整理してから臨みたい」
(藤森崚祐・文3)