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2016.11.06
野球

【野球部】1部残留に王手 森山が試合決める2ラン

東都大学野球1部2部入れ替え戦1回戦  専大14-1 国士舘大

 

 専大が国士舘大(2部1位)との初戦を制し、1部残留へ王手をかけた。2-1で迎えた7回表、5番の秦匠太朗(経営2・二松学舎大附高)が左中間への2塁打で2点を加えると、続く6番森山恵佑(商4・星稜高)がライトへ2ランホームランを放ち、試合を決めた。専大は結局この回一挙7得点をあげ、8回9回にも山本力也(経営2・熊本工高)のホームランなどで加点し大差をつけて勝利した。先発の髙橋礼(商3・専大松戸高)は7回を投げて1失点、被安打はわずか2に押さえ相手打線を寄せ付けることなく試合の流れを作った。

▲7回表無死二塁、変化球をとらえてライトへ2ランホームランを放った森山(撮影=冨樫)


イニングスコア
専大14
国士舘大


スターティングメンバー

1 (遊)池間誉人(商1・糸満高)

2 (二)伊與田一起(経営4・明徳義塾高)

3 (一)福永裕基(文2・天理高)

4 (指)平湯蒼藍(経済1・海星高)

5 (右)秦匠太朗(経営2・二松學舎大附高)

6 (左)森山恵佑(商4・星稜高)

7 (捕)深水裕貴(経営1・熊本工高)

8 (三)岡本良樹(経営1・専大松戸高)

9 (中)寺澤圭祐(経営1・検見川高)

P 髙橋礼(商3・専大松戸高)


 照明の光る神宮の秋空に鋭い打球音が響き、白球はライトスタンドへ吸い込まれていった。秋のリーグ戦ではホームランのなかった森山だったが、入れ替え戦という大一番で放ったホームランに、ベンチも観客席も大きくわいた。10月20日のドラフト会議で北海道日本ハムファイターズから4位指名を受けた森山。その日の会見で「一振りで試合を決められる打者になりたい」と話していたが、森山の一発はチームの勝利を決定付けるものとなった。


▲リードを大きく広げるホームランを放ち、笑顔でベースを回る森山(撮影=飛田)


 試合は5回裏、先発の高橋が2アウトから3ベースヒットを許し、ランナーを3塁に置いた場面。国士舘大のバッターは2番・伊藤、ここまで2つの四球を許しており高橋もどこか投げにくそうにしていた。この打席も追い込んでからファールで粘られ、徐々にタイミングを合わせられていた。そして投じた13球目、打球はサード横の痛烈なゴロとなったがこれを三塁手の岡本良樹が飛びついて好捕。ファインプレーかと思われたが岡本の送球がファースト手前でバウンドして大きく逸れ、その間にランナーの生還を許してしまった(記録はサード岡本のエラー)。今日の試合ここまで何度も打球をさばいてきた岡本だったが、本人も後に「慌ててしまった」と、自分のミスを悔やんだ。

 自身のミスで得点を許した岡本だったが、リベンジの機会はすぐにまわってきた。追いつかれた直後の6回表、先頭の森山が出塁すると相手のバッテリエラーが重なって1アウト3塁のチャンスを迎える。ここでバッターボックスに立ったのは8番に入っていた岡本だった。

 送球ミスを犯してしまった後、同じ内野手の先輩である伊與田から「今日の試合このままだとお前は(トータルで)マイナスだぞ」とゲキを飛ばされていた岡本。さっきのミスをどうにかして取り返したい― 岡本は静かに燃えていた。追い込まれながらも相手投手のスライダーに反応すると打球はセンター方向に鋭く伸びていく。中堅手がダイブするも打球は左中間後方に落ち、その間に森山がホームイン、岡本も一気に3塁まで到達した。前の回のエラーがあったせいか塁上での喜び方は控えめだったが、自身のミスを見事バッティングで取り返した岡本、その表情は笑顔に満ちていた。

▲岡本の3ベースでチームは再びリードを奪った(撮影=冨樫)


▲試合後のインタビューでは「なんとか打てて良かった」と話した岡本。塁上でホッとした表情を見せた(撮影=大河原)


 7回表、専大打線がついに相手投手をとらえた。先頭の福永がライト前ヒットで出塁、続く4番・平湯は四球でつなぎ、打席には今秋ベストナインを受賞した秦を迎えた。今季成長著しかった秦が低めのボールを上手くすくうと打球はセンター方向フェンス手前まで到達する2ベースヒットとなり、ランナー2人が生還した。

▲リードを広げる2点タイムリーヒットを打った秦(撮影=冨樫)


 秦を2塁に置いて続く打者は森山。チームの主砲であると同時に主将でもある森山だが、それでも今日の試合は普段どおりの心持ちで試合に臨む事ができたという。その理由には齋藤正直監督からかけてもらった言葉があった。「これが最後の試合だ、おまえの雄姿を見せてみろ―」監督の一言で森山は気持ちを楽にして打席に向かう事ができ、その結果試合を決める2ランホームランがうまれた。 

▲「監督を信じて練習してきて良かった」、試合後森山が残したコメントからは監督へ寄せる信頼の大きさがうかがえた(撮影=飛田)

 

 この回、専大の攻撃が緩むことはなく、ランナー満塁から3番の福永、4番の平湯がそれぞれタイムリーヒットでさらに3点を追加、一挙7得点と国士舘大を大きく突き放した。

▲福永は8回にも2ベースを放ちこの日3安打4打点をマーク(撮影=冨樫)


 頼れる4年生にホームランが出た、自分も負けてはいられない、そう言わんとばかりに8回の表2アウト3塁の場面でバッターボックスに入ったのは守備から試合に出場していた2年生の山本力也だ。山本は春のリーグ戦こそスタメンとして試合に出ることが多かったが、秋からは出場機会を減らしていた。だからこそ「少ないチャンスをなんとかモノにしたい」と話していた。相手投手のストレートを強く振りぬくと打球はライトスタンドへ一直線、ホームランになったことが分かると山本は拳をなんども高く突き上げ、力強く「オッシャー!!」と雄叫びをあげた。

▲8回表2アウト3塁 ホームランを放ち雄叫びをあげる山本力「打ったのはまっすぐ。明日もいい流れのまま集中して全力で挑みたい」(撮影=冨樫)


 このホームランの後1番池間が四球で出塁、2番伊與田が今日初ヒットとなる2ベースでチャンスを広げ、3番の福永がレフトへの2ベースで2点を追加しこの回は4点を加えた。9回には守備から途中出場の上木健晴(経営4・大垣日大高)がライトへタイムリーヒットを放ちとどめの1点を加えた。

 2年前の秋、専大がそうだったように入れ替え戦というものは下から上がってくるチームに勢いがあるといわれている。だからこそ、最後まで攻撃の手を緩めずに大差をつけ、相手の勢いを止めたという点で今日の勝利は大きいものとなった。


試合後のコメント

7回1失点の好投を見せた髙橋礼

「気持ちで押して投げた。最少失点で抑えて自分のピッチングをしようと意識していた。真っすぐのコントロールが自分の生命線だと思っているのでその真っすぐでカウントを取れたことが良い投球につながったと思う。明日も全力で挑みます。」(撮影=冨樫)


点差を広げるダメ押しのホームランを放った森山恵佑主将

「バッティングについては、コンパクトに振ることを監督に徹底的に言われてきた。(ホームランについて)感触は良く、打った瞬間入ったと思った。スライダーかチェンジアップの変化球だったと思う。初戦を取ろうという気持ちで臨んでいたので今日勝てて嬉しいが、もう一勝しないことには気が抜けない」


内野のまとめ役をつとめる4年の伊與田一起

「自分たちの野球ができた。入替戦までやることはやってきた。リーグ最終戦の中大戦が終わって、もう一度自分たちの野球を見直し、徹底しようとやった。個人としては自分のやれる仕事をしていただけだが勝てて良かった。明日も今日と同じように先制して、ピッチャーを助けられればと思う。ピッチャーが頑張っているのでなんとか先に点を取りたい。」

▲試合前 選手を集め自身の思いをぶつける伊與田。試合中も積極的に選手に声をかけている姿が印象的だ(撮影=大河原)


齋藤正直監督

「試合前半は重苦しい展開となったが、秦と森山が試合を決めてくれた。(勝ち越し打の)岡本は自分のミスをよく取り返してくれた。それでも明日の試合からが大事です」

 大勝を収めた専大だったが、森山主将と齋藤監督から聞かれたのは明日の試合に向けて気を引き締める一言だった。入れ替え戦は先に2勝したチームが勝ちとなるため、まだまだ気を抜くわけにはいかない。それでも今日の試合では自慢の打線が機能し、1部リーグ所属の意地を見せる結果となった。明日の試合でも勝利し、一気に1部残留を決めてほしいところだ。

(飛田翼・文2)