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9月13日に発行される「専Sation16号」の就活ページでは、6人の体育会から社会へと羽ばたいた方々の職業に関するインタビューを掲載しています。
ここでは誌面の都合上、掲載することのできなかった学生時代から現在に至るまでのお話を掲載致します。
1人目は、幼い頃からの夢を叶えた佐久間幹さんです!
佐久間幹さん(平28法アイスホッケー部)社会人1年目
警視庁警察学校(男性警察官は5.7倍(Ⅰ類・平27年度)女性警察官は8.4倍(同)もの倍率をくぐり抜けた選ばれし警察官のタマゴが警察官になる前に半年ほど訓練を受ける学校)
初任科第1287期生
[学生時代]
<競技エピソード>
2年秋リーグ、当時1部Aで1勝もできず、Bリーグトップの日体大と対戦。延長の末、自身のワンプレーの軽さによるミスで失点。「自分のせい」で降格を味わう。一致団結して頑張っていくぞ、自分の力で何としても1部Aへ。の熱い思いで練習に励むも3年の夏、足首を骨折。東京で手術、リハビリを行うも秋リーグには間に合わず、出場機会は0。自分の無力さを感じる。
2年秋リーグ、1部A降格に膝をつく佐久間(中央、22)
大学4年、最後の試合。日光インカレ立命館大との対戦。結果は、負けて引退となったものの、最後に同点に追いつくゴールのアシストをマーク、ほんの少しでもチームの貢献へと繋がった。
<体育会で得たこと>
3年時の主務の経験により、体育事務課はもちろん、矢野健一学長(当時アイスホッケー部部長)ら学生でない、多くの”社会の人”との関わりを持つ。部を代表して会議に出席する場も増え、他部活とのネットワーク・人脈が広がる。
日光インカレを終え、最後のロッカールームで部員に語りかける
[就職活動]
<きっかけ>
自宅直近の踏切で、自殺しようとした女性を助けた警察官が殉職した。地元の小学生と笑顔で話す、優しい警察官だった。当時中学1年生。困った人を命懸けで助ける、その姿勢に感銘を受けた。
<熱い思い>
大学受験に失敗し、「高卒で警視庁の採用試験を受ける」と高校の顧問に申し出た。志望の大学にいけないなら警察官の道を歩みたい。それほど思いは強かった。しかし、顧問から専大アイスホッケー部を勧められ、大学へ。そこで広い視野を得た。ずっと警察官になると思ってはいたものの、本格的に「勉強」を始めたのは大学3年4月のこと。合宿の夜、仲間が寝静まってから教科書を開いて勉強。部活動との両立に眠れない日もあった。筆記試験に加えて体力検査もあるため、体力アップも欠かせなかった。勉強、坂ダッシュ、筋トレ、また勉強。すぐ近くに同じ警察官を目指す仲間もいなかったため、辛く感じることもあった。そんな時も、心の支えになったのは、街の警察官の姿と応援してくれる仲間だった。
<警視庁へのこだわり>
他の企業はおろか、数ある県警、どこの採用試験も受験していない。警視庁1本勝負だった。「もし不合格となってもまた次受験すればいいと思っていた。今思えばリスクを背負った決断であった」それほど強い思いを寄せていた仕事だった。
<就活で得たもの>
忍耐力。朝から晩まで教科書と向き合う、トレーニングを行う。夢を叶えるために努力したことによって、自然と忍耐力が身に付いた。
早朝のランニング、氷上練習、遅くまでミーティングが行われる合宿中も、毎晩1人勉学に励む佐久間の姿があった
[今]
<大切にしていること>
仲間との絆。同じ志をもつ仲間のことを考えて過ごすこと。1人で行動することも多かった大学時代。しかしそれでは意思の疎通が測れなくなり、任務にも支障が発生する。少人数の仲良い人だけでなく、全員に声を掛けるようにしている。
<やりがい>
警視庁警察学校では半年という限られた時間の中で、様々なことを学ぶ。毎日が新しいことの発見で毎日が楽しい。辛い訓練もあるが、みんな同じ。辛い訓練や、そこから生まれた課題を仲間と共にクリアしていくこと。
<大変だった訓練>
入校直後は慣れないことの連続で、全てが大変だった。術科訓練により全身打撲を負ったり、肩が上がらなくなったりすることもあった。そういった意味で、特にきつかったのは逮捕術(※)の訓練。
※逮捕術:被疑者や現行犯人などを制圧・逮捕するための技のこと
<警視庁警察学校の1日の主なスケジュール>
(公式HP:http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/smph/about_mpd/shokai/katsudo/p_academy/one_day.html)
寮生活、1人部屋。
6時起床・点呼、清掃、トレーニング、8時朝食、8時45分から1限がはじまり、5限(80分×5時限)まで実技や座学の授業。トレーニング、23時就寝。寝るとき以外は教場(クラス)の仲間と共に過ごす。自習時間は予習、復習、課題をこなす。
<将来は>
警視庁警察学校を卒業すると、全員交番に配置される。その後、実務経験を重ね、各々の能力に応じて配属先が決定される。自分は自動車警ら隊(※)を希望している。とはいえ、配属を命じられる側なので、まずは与えられた任務をしっかりとこなせるようになりたい。
※自動車警ら隊:各警察署の管轄区域を超えた各都道府県内全域のパトロールを行うことを主な任務とする組織。しばしば「警察24時」等の番組で取り上げられる
<理想の警察官像>
小さい頃からずっとかっこいいなと憧れていた職ということもあり、みんなからもかっこいいなと思われるような警察官になれることが理想。かっこいい→困っている人を見つけて助けることが出来る、笑顔での対応。街の人から名前で呼ばれる警察官になりたい。
人々に寄り添う警察官の像の前で
<今後のアイスホッケーとの関わり方>
6歳から22歳まで続けていた。引退した時は「もうやらない」と思っていたが、続けている同期をみると「やりたいな」と思う。ただ、プレイヤーとして戻るのではなく、将来的に監督・コーチのような指導者側として関わって行けたらいいな、と思う。
<アイスホッケーの魅力>
なんといってもスピードと迫力のあるぶつかり合い。プレイヤーとしてはいつやられるかわからない極限の状態でプレーしている。けがしたくないという思いを持ちながらプレーしていたが、一度離れてみてみると、その迫力と迫力のぶつかり合いがたまらない。スピードに乗った中でもテクニックを魅せられる、そこが醍醐味。
[後輩へ]
<諦めない心>
小さい頃からずっと憧れていた警察官。ここにたどり着くまで、ずっと思いを保ち続けられていたわけでもない。
大学3年でけがをし、入院生活を送っていた頃。スポーツはもちろんできないし、勉強をする気分にもなれなかった。「もういいかな」とくじけそうになっていた。しかし、毎日のように後輩や、他の部の人も来てくれていた。弱音を吐くこともあった。そんな時「昔からの夢だろ。骨折くらいで諦めるのか」と前を向かせてくれたのが仲間だった。
そこから気持ちを立て直し、勉強を再開、今の自分がある。これは就職活動だけでなく、スポーツ面でも言えること。苦しいことがあっても、仲間の存在のおかげで乗り越えられる。仲間を大切にしてほしい。
<メッセージ>
辛いことはたくさんあるだろう。しかし、そういうことを学生のうちに一生懸命取り組むべき。例えば、5時からの朝練。4年生にもなると慣れが生じて力を抜いてしまうこともあった。しかし、そんな上級生に後輩がついてくるわけがない。少しでも妥協すると必ず後悔する。それが後に様々なところに影響してくる。社会人になってから後悔するのでは遅い。今できること、していることに全力で取り組むべき。就活も部活も、全力で取り組めば必ず結果はついてくると思うので。
教官、警視庁広報課の方々に見守られ、張り詰めた空気の中行われたインタビューも、最後には佐久間さんらしい笑顔がみられた
取材メモ/綺麗な門構えの学校。新しく1人部屋となった寮ではプライバシーも保護されている。ただ、ここは警察学校。教官とすれ違う度に行われる節度ある敬礼や、取材中の移動時にエレベーターに乗る際も「自分は階段で」と申し出る姿に、集団行動、上下関係の厳しさ、徹底された教育を垣間見た。
次回(9/15)は、専大職員・小田勇太さん(平27卒・バスケットボール部主将)のインタビューをお伝えします!
お楽しみに!
(文・撮影=斉藤葵)
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