News

最新ニュース


2025.12.31
ラグビー

【ラグビー部】コラム|苦節4年、ついに成し遂げた1部復帰。大東大に示した守備の哲学、リーグ屈指の「専大ディフェンス」は健在

▲強度の高い守備で大東大を追い込んだ


 専大ラグビー部が4年ぶりに1部へ帰ってくる。リーグ戦は2位で終えたが、入替戦で1部リーグ7位の大東大に勝利して1部昇格を決めた。



 石倉俊二監督3年目の2025年は、HO吉田温広(経営4・國學院大學栃木高)が主将、 長友順平(経済4・東福岡高)が副主将に就任。スローガンをBROW UPと改めた新体制での春季オープン戦では、帝京大、明大、大東大、東海大、福岡工大といった強豪とも試合を行い、夏合宿で更にチームを強化。チームが目標として掲げる「2部リーグ全勝優勝、1部昇格」を達成するための準備を重ねた。


▲春季オープン戦の初戦では昨年の大学日本一・帝京大と対戦。その強さを肌で感じた

▲九州学生ラグビーリーグ3連覇(今季も優勝し、4連覇)の福岡工大と対戦


 リーグ戦では力の差があったものの、開幕5連勝と好調を維持。第6節の拓大に勝利したことで入替戦出場が確定したが、中大も6戦無敗で並んでいたことにより、優勝の可能性は最終節までもつれた。優勝決定戦となったリーグ最終戦では中大に敗れ、目の前で栄冠を逃した。専大は2位(6勝1敗 勝点38)で終えたものの、リーグ最少60失点(一試合平均の失点率は8.57)の圧倒的な堅守を築き上げ、石倉監督就任後では最高成績を記録した。


▲第5節の山学戦では、鉄壁の守備で完封勝利(22-0)を収めた


 12月13日に行われた入替戦では、1部リーグ7位の昨季1部王者・大東大と対戦。前半は拮抗したが、後半は両チームが得点を取り合う激しい展開に。後半35分には逆転に成功したものの、後半40分前の数分間は自陣トライライン目前で大ピンチを迎えた。しかし、大東大の波状攻撃を総力で凌ぎ、薄氷のリードを死守。持ち前の堅い守備で耐えた専大は連続トライで突き放し、1部昇格を決めた。




接戦を制し、悲願の昇格

▲吉田は大学卒業後もラグビーを続けると明言。高校、大学で主将を務めた男のラグビー人生は、新たなステージに進む


 4度目の入替戦で1部昇格を達成し、選手たちは大いに喜び合った。そのなかでも、主将の吉田は「自分がキャプテンを任された時から、絶対に(1部に)上がると決めていた。辛いことも色々あったが、そこ(1部昇格)への想いは一番強かった」と、昇格に対して誰よりも熱い想いを持っていたことを明かした。



 副主将として吉田を1年間支えた長友はSH (スクラムハーフ)として攻守の要を担い、スタメン出場を続けてきた。入替戦では後半35分に、同ポジションの神園然(経済2・東福岡高)と交代。神園は後半追加タイムにCTB 池田太陽(経済1・長崎南山高)のトライをアシストし、大一番でやってのけた。

 長友は試合後に「自分たちの強みでもあるディフェンスでしっかり相手にプレッシャーをかけることが出来たが、アタックがあまり出来なかった」と振り返り、「自分が入学した時からずっと2部で。自分の代は結構弱いと言われてきたが、自分の代で勝てたことが本当に嬉しい」と安堵した。



 188cmの長身を活かしてラインアウトのジャンパーを務めたLO 青木秀太(経済4・大東一高)は昨年に公式戦初出場を果たすと、今季はリーグ戦第3節から公式戦に出場し、攻守で重要な役割の一角を担った。

 大一番でフル出場した青木は「シーソーゲームになることは誰もが予想していた。大事なのは、勝ち越した時こそ集中して一つギアを上げてやることをチームで徹底していた」と、池田のトライで勝ち越した後も守り切った。



 吉田の後輩にあたるFL 大谷亜蓮(経営3・國學院大學栃木高)は、昨年は主にジュニア選手権大会カテゴリー2で出場。今年はリーグ戦第2節から出場するなど、経験を積んできた。この試合でも持ち味を存分に発揮して、力強いボールキャリーからFL 今村琉慈(経済3・國學院大學栃木高)のトライに繋げた。

「嬉しいですね。中大さんに負けて気持ちが下がるところもあったが、最後勝って4年生を送り出せたのは率直に嬉しい。ずっとチャレンジャー側だと思っていたので、緊張していたら勝てない。ミスをするなら、逃げるミスではなく思い切って挑戦した方が良い。前半バタついてしまったが、後半に押しきれて良かった」と大谷は試合を振り返った。


 ▲石倉監督就任時から3年間を過ごし、大谷にとって今季は飛躍の年となった


 試合終盤までは点差が開かず、両チームが点を取りあう試合展開だっただけに、選手たちはこの勝利に安堵の表情を浮かべた。




大東大に、どう立ち向かったのか


 大東大は1部を7位で終えたが、昨季1部リーグを優勝した実績は確かだ。強みのディフェンスに加えて、2人の外国人選手など力のある攻撃も持ち合わせる。決して侮れない相手に対して、石倉監督は試合前の選手たちにこう話したという。

「チャレンジするしかない。今までやってきたことをシンプルに思いっきりぶつけようと。大東大は身体が大きい選手が多いので、逆に大きい選手にタックルが入って相手を倒せば向こうは気が凄く折れるよね。だから、そのようにやっていこうよ」


 監督の言葉通り、選手たちは相手の強力なアタックに真っ向から挑んだ。昇格を懸けた一戦だったため緊張もあったと思われるが、吉田のプレーをきっかけに建て直した。

「一番最初にアツ(吉田温広)が前半、外国人選手にしっかりバチッと入ってくれたので、それで皆も気持ちが徐々に乗ってきたかなと。最初(試合に)入った10分~15分頃、皆は足が重そうだなという感じで。一生懸命走っていたが途中から慣れてきて、最後は盛り上がったので本当に良い試合展開だった」




1部に通じた専大ディフェンス

▲集中したディフェンスで何度も相手の反則を誘発


 相手の反則からPGで着実に3点を重ね、セットプレーからのトライとバックスの素早さを活かした攻撃で試合を制した。

 ゲームプランと勝因について、吉田は「自分たちのフィジカルコンタクトは勝っていたので、そこまで焦る必要は無かった。敵陣に入ればペナルティを誘って、ショットでコツコツ点数を重ねられるので、グラウンドに出ている選手達もそこまで焦っている様子は無かった。トライを取られた時は少し焦ったが、自分の話を皆がしっかり聞いてくれたので、そこまでイレギュラーでは無かった」と話す。


 ディフェンスの特徴である「人数をかけて相手を抑える守備」を貫き、吉田は「相手の方が身体が大きいと分かっていたので、1対1で無理だったら2対1でしっかり勝つというような、横(ディフェンスライン上のチームメイト達)との繋がりを意識していた」と、対策を講じて相手を3トライに抑え込んだ。


▲「2対1でしっかり勝つ守備」で相手の前進を防ぐ


 以前、石倉監督が「大量得点を取るというよりは相手を0で抑えたい」と話したように、今年は守備面の強化を徹底。この試合でも、大谷は「自分たちのディフェンスが1部に通用する前提でやってきた。ディフェンス面では全く問題無かったので、1年間やってきたことが報われた」と振り返るように、春から取り組んできたディフェンスが浸透している結果といえよう。


 後半の追加タイム前には、自陣トライライン間際で攻防が繰り広げられる。最後は相手の反則を誘発し、この試合最大の勝負所を乗り越えた。

 大谷は「あそこは気持ちが折れたほうが負けだと思っていた。キツさなど色々あったが、技術ではなく、とりあえず身体を当てて前に出たほうが勝つ。あそこを凌ぎきったら確実に勝てると思った」と話し、青木は「腹くくって、命かけてただただタックルに耐えることを意識して、全員でやってこられた」と回想した。




皆の力で掴んだ勝利

▲厚い選手層と「皆の力」で昇格を成し遂げた


 大谷は白鷗大との試合後に「自分たちはスター選手が1人いるというよりも、リザーブの選手もスタメンと同じぐらいの熱量で出来ることが強み」と語った。この試合では永井の18得点など、最終的には33-19で撃破。永井の活躍が光ったものの、チーム全員で勝利を掴み取ったと大谷は言う。

「今日は永井くんの活躍もあったが、モールでトライを取り切ったのもそうですし、フォワードがボールを持った時に前に出て行けたことも含め、選手たちがやりたいラグビーを出来たのではないか」


 現在、ラグビー部に在籍する3年生以下の選手たちは1部リーグ初挑戦となる。公式戦では初対戦となるチームが多く、大谷は来年を見据えて意気込みを語った。

「4年生の力は大きかったですけど、1部に上がってからが本番なので。そこから自分たちの代で上位に食い込み、選手権出場を狙う勢いでやりたい。ディフェンスのチームということは定着してきているので、このままディフェンスが良いチームとして1部でやっていきたい。ディフェンスが1部に通用することは分かったので、ここからまたレベルを上げていきたい」




 2部リーグ最強の守備力を築き上げ、「専大ディフェンス」が進化を遂げた今シーズン。入替戦では”モスグリーン軍団”に屈することなく果敢に挑み、要所で守りながら得点を取って昇格に繋げた。「守れること=勝利」のラグビーを更に磨き上げ、チャレンジャーとして再び1部リーグに帰ってくる。


文=藤林利英(文2)、写真=君嶋悠樹(経済2)、峯岸茉莉亜(法2)、佐俣莉子(法1)