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2025.11.14
サッカー

【サッカー部】那須が後半ATに劇的決勝弾 熾烈な昇格争いの行方は最終節へ

JR東日本カップ2025 第99回関東大学サッカーリーグ戦3部

第21節 VS東京学芸大学蹴球部

11月9日(日)14:00Kickoff

@東京学芸大学総合グラウンド(東京都小金井市)


専大 1-0 東学大

得点者 専大 那須


 第21節は東京学芸大学と対戦し、1-0で勝利した。前半は佐藤柚と鈴木の両CBを中心としたディフェンス陣が安定した守備を見せるものの、得点を奪えずに試合を折り返す。

 後半序盤には危ない場面を迎えたが、無失点で耐え凌ぐ。以降は選手交代が功を奏し、攻守で安定したプレーを見せる。攻撃に圧をかけていた矢先、後半50分には東学大にネットを揺らされ、万事休すかと思われた。だが、オフサイドポジションの選手がプレーに関与したことで得点は取り消しに。大ピンチを逃れた専大は、試合再開後のプレーから敵陣に攻め込み、最後は那須が劇的なゴールを決めた。

 試合終了間際の1点を守り切り、2連勝を達成した。この勝利で自動昇格圏の2位・明学大との勝点差を2に縮め、プレーオフ圏内以上を確定させるためにも最終節に全てを懸ける。




〈試合前情報〉

以下、スターティングメンバー(4-3-3)

GK 12 上林 真斗(法3・昌平高)

DF 5 志村 ぼん(経済3・韮崎高)

DF 15 伊澤 壮平(人間科学4・浦和南高)

DF 23 鈴木 嘉人(経済2・実践学園高)

DF 28 佐藤 柚太(経営2・白根高)

MF 8 橋本 燦(ネット情報2・帝京長岡高)後半30分OUT

MF 25 小林 亮太(経済3・仙台大附属明成高)

MF 27 岡村 空(文3・帝京長岡高)

FW 11 松本 皐誠(商4・東海学園高)後半28分OUT

FW 14 道白 優斗(文2・流通経済大柏高) 後半34分OUT

FW 17 佐藤 漣(法2・成立学園高)後半22分 OUT


途中出場

FW 19 那須 奏輔(経済2・東海学園高)後半22分 IN

FW 9 仲本 隼翔(経済4・松商学園高)後半28分IN

FW 24 柿沼 弘大(ネット情報4・聖和学園高)後半30分IN

FW 22 寺島 サフィール マイサラ(経済4・専大松戸高)後半34分IN


〈試合展開〉

▲試合前、円陣を組んで士気を高める選手たち


東大樹監督不在の一戦は、佐藤陽彦ヘッドコーチが指揮を執った。この試合、サイド攻撃とロングボールを中心とする東学大に対して、専大は4-3-3をベースに、中盤を岡本と小林、橋本燦の2列に分ける4-2-1-3のようなシステムで、前線のスピードを活かした流動的なサッカーを展開する。

▲岡村は中盤で攻撃を組み立て、キッカーも務めた


前半序盤から専大が試合を優位に進めていたものの、カウンターとセットプレーの流れから相手に押される場面が目立つ。前半8分には東学大がCKから低いライナー性のボールを供給すると、ゴール前でフリーになった相手がワンタッチで右足を振り抜く。しかし、橋本燦が身を挺してシュートを防ぎ、最初のピンチを凌ぐ。


その後も佐藤漣のドリブルと柔軟なポジションチェンジで得点を狙う。前線の3人は高い位置を取り、志村と伊澤の両サイドバックは状況に応じたポジショニングを見せた。試合を通して、鈴木が高い空中戦勝率で相手のロングボールをはね返し、守備で特長を発揮した。

▲佐藤漣は得意のドリブルで相手の守備を翻弄した


▲松本も果敢にゴールを狙う


志村のパスカットを起点に、自陣からのロングカウンターで素早く攻める。前半28分には、志村から岡村にパスが渡ると、橋本燦、右サイドの道白にボールを繋ぎ、縦に速い攻撃で敵陣に進入。道白はパスを受けるとゴール前までドリブルで進み、シュートを打つが相手GKのセーブに遭う。


前半34分、道白が敵陣深くで積極的にプレッシャーをかけると、佐藤ヘッドコーチは「良いよ!良いよ!」と称えるように、一つ一つのプレーに対して効果的な声掛けで選手たちを後押しする。


前半終盤には、ビルドアップでボールを前に押し上げる。佐藤柚からボールを受けた鈴木は橋本燦に縦パスを送る。ターンで相手をかわし、ぺナルティエリア付近まで持ち運ぶと、左ウイングの佐藤漣に繋ぐ。佐藤漣はワンタッチでクロスを供給するが、相手にブロックされる。二次攻撃で再びゴール前に迫るが、決定機には結びつかない。


▲後半開始前、円陣を組む選手たち


前半は両チームともに無得点で試合を折り返すと、専大が後半序盤から攻勢を強める。後半2分、相手の浮き球を鈴木が頭ではね返すと、こぼれ球を拾った松本は佐藤漣にスルーパスを送る。佐藤漣は3人に囲まれながらもドリブルを仕掛け、力強いシュートを打つが相手GKの好セーブに阻まれる。


相手のスローインから素早いカウンターで決定機をつくるが、またしても得点を奪えない。後半14分、相手のスローインを伊澤が頭ではね返し、橋本燦が収めて道白にワンタッチで繋ぐと相手2人をドリブルで抜き去り、ペナルティエリア手前中央に折り返す。ボールは中央を駆け上がった橋本燦に渡り、左足でのシュートは相手GKにキャッチされる。

▲橋本燦のシュートは惜しくも相手GKに止められる


度重なる好機を作るも決めきれない専大は、立て続けに選手交代を行う。後半34分までにスタメンの前線4人を入れ替え、1トップに仲本、左ウイングに寺島、トップ下に柿沼、右ウイングに那須が入る。


攻撃陣が新しいメンバーに変わった後半36分、柿沼のロングスローの流れから、那須の低いクロスは相手にクリアされてゴール前の寺島に届かない。

▲柿沼はロングスローで好機を演出


試合終盤には、再び柿沼のロングスローからチャンスを作るが、またも相手GKの好守で先制点とはならない。後半42分、柿沼のロングスローは相手にクリアされるが、那須は浮き球の胸トラップから右足で強烈なボレーシュート。しかし、相手GKのビッグセーブで先制点には至らない。


得点が入らないまま後半アディショナルタイムまで時間が経過すると、上林は「勝つんだろ俺らは!」と味方の奮起を促す。だが、徐々に相手の素早いプレッシャーと切り替えの早さが目立つようになる。


人数をかけて敵陣に押し込んでいたが、一つのミスから大ピンチを迎える。後半49分、佐藤柚が相手のクリアボールを回収し、佐藤漣に繋ぐとゴール前でのコンビネーションでシュートの機会をうかがうものの、相手にクリアされる。すると、後方に残っていた鈴木がクリアボールの処理を誤り、前線の相手が一気に自陣深くまで攻め込む。最後はゴール前に折り返されるとフェイントから冷静に左足を振り抜き、ゴールに吸い込まれた。東学大の先制点と思われたが、上林は「俺が思うにはオフサイドだと思った」と、自身の視界を遮った相手選手について主審に抗議。その後、主審と副審の協議の結果、当該の選手が上林のプレーを妨げたとしてオフサイドの判定に覆り、得点は取り消しとなった。

▲相手の先制ゴールと思われたが、オフサイドの判定でノーゴールに。


再開後には専大が敵陣へ押し込むと絶好の決定機を迎え、ついにゴールネットを揺らす。後半52分、上林のロングボールを仲本がヘディングで繋ぎ、相手ゴール前にカウンターを仕掛ける。那須のシュートは味方に当たるが、柿沼が倒れこみながらもこぼれ球を那須に繋ぐと左足のワンタッチシュートが決まり、相手の牙城を崩した。

那須はこの決勝点を「相手のゴールが取り消された時に、必ず得点に結びつくチャンスが来ると全員が思っていたと思う。その後のチャンスで果敢にシュートを狙い、そのこぼれ球を柿沼くん(柿沼弘大)が身体を張って落としてくれたので、流し込むだけだった」と回想した。

▲ゴールを決めて、チームメイトに駆け寄る那須


このまま試合終了間際の1点を守り切り、1-0で勝利した。那須の先制ゴールが決勝点となり、2連勝を達成した専大は3位を維持して最終節に臨む。専大が次節に勝利し、2位の明学大が引き分け以下に終わると、2部への自動昇格が決まる。



〈PICK UP PLAYER〉

那須奏輔

スーパーサブが殊勲の決勝弾 途中出場から勝利の立役者に 

 

 「ゴールを取ってこい。守備は後ろの声を聞いて頑張れ」。佐藤ヘッドコーチの言葉に背中を押され、後半22分からピッチに入った那須は、後半52分にゴール前の混戦から得意の左足を振り抜き、待望の先制点を決めた。

 ▲後半ATに劇的ゴールを決めて、名古屋U-15同期の道白と喜びを爆発させる


 結果を出してチームを勝たせること、途中出場からチームを勢いづかせることを意識して試合に臨み、期待に応える活躍を見せた。那須はゴールを決めたことに安堵しつつも、「自分だけのゴールではなく、スタメンの選手たちが相手の体力を削ってくれたり、メンバー外の選手たちが応援してくれたりと、色々なサポートのおかげで生まれたゴールだと思うので、関わってくれた全員に感謝したい」と、チーム全体で掴み取った1点だったと語る。


 今年は途中出場が多く、「自分が途中から(試合に)出される意味はゴールを奪うこと、チャンスを演出することだと思っている」と話すが、自身がチャンスを決めきれずに勝点を多く落とし、悔しさを感じていると話す。だからこそ、リーグ最終戦に懸ける思いは強い。「(最終節は)その借りを返せるラストチャンスだと思うので、全てを出し尽くしたい。4年生とサッカーが出来るのも残り少ないので、4年生たちと笑って終われるように全力で頑張りたい」と、先輩への感謝の気持ちを胸に、最後まで戦い抜く。




佐藤柚太

12試合連続フル出場中の守備の要 中学年代から知る那須を称える

 守備陣の粘りが勝点3につながった。第6節以来となる無失点に大きく貢献した佐藤柚は「難しい展開が続いたが、チーム一丸となって点を取れて良かった」と試合を振り返った。今季はリーグ中盤戦以降、先発に定着。センターバックのほかに左右のサイドバックもこなし、守備の要として欠かせない存在となっている。

▲コンビを組む鈴木(中央)との連携も試合を重ねるごとに向上している


 今節劇的ゴールを決めた那須は、名古屋U-15時代の同期。守備面での更なる貢献を要求しつつも、「点を取ってくれたり、チームを助けるプレーをしてくれる。ありがたい存在」と感謝を口にした。この白星で自動昇格の可能性も残し、最終節に向けて「絶対に勝ち切れるように試合へ挑みたい」と力を込めた。




試合後、インタビュー


鈴木嘉人

空中戦で絶対的な強さを誇り、盤石な最終ラインを形成


試合を振り返って

「プレーオフ圏内に入るためにも絶対に勝たなければいけない難しい試合で、最後は(那須)奏輔にも助けられたが、1-0というスコアで勝てて良かった。相手がどうやって攻めてきて守るのか、自分たちはどうするべきかを1週間の分析を通して明確に出来たからこそ、シーズンダブルに持っていけた」


クリーンシートを達成出来た要因

「後期に入ってから無失点試合が無く、前線の選手たちが点を取ってくれている中で、後ろに責任があると感じていた。皆が最後まで集中を切らさず、かんば(上林真斗)を中心に声をかけ続けたことが良かった」


自身のプレーの手応え

「『上での勝負(空中戦)は絶対に負けてはいけない』とコーチングスタッフにも言われていて、自分もそのように思っている。その中で今日は自分の特徴を出せたかなと感じている。今後はセットプレーで得点出来るように、更に磨きをかけていきたい」


リーグ最終戦に向けて

「怪我人が出ている中ではあるが、全員で掴んだ勝利だったと思う。他会場の結果や、自動昇格があるかもしれないと思っている時に絶対に足元をすくわれる。自分も最後危ない場面があったので、自分を含めてもう一度チームでやるべきことを徹底して、1週間準備出来ればと思う」




伊澤壮平

柔軟なポジショニングで攻守にバランスをもたらす


試合を振り返って

「点が取れない時間が長く、難しい試合展開だったが勝ち切ることが出来て良かった」


相手を無得点に抑えることが出来た要因

「センターバック2枚(鈴木と佐藤柚)と中盤の運動量が大きかったと思う。守備時はセンターバックのカバーに入ることと、相手の10番(半田祥真選手)が上手い選手だと分かっていたので、周りの味方と上手く協力して守ることを意識した」


攻撃時には、どのような立ち位置の取り方を意識していたのか

「前回の試合(城西大学戦)では、ファーストポジションで高い位置を取りすぎて相手のプレッシャーを強く受けてしまうシーンが多かったので、今日はファーストポジションを少し低くして、センターバックが持ち運べたタイミングで高い位置を取るようにした」


大学サッカー最後のリーグ戦に向けた思い

「周りに助けられているという感覚が強いが、自分に出来ることをやるしかないと思っている。北グラウンドでの最後の試合を楽しみたい。また、この1年間は沢山の人の支えがあってここまで試合が出来たので、最後に勝って感謝を伝えることが出来ればと思う」




上林真斗

声でチームをバックアップ 危ない場面も守備陣との連携で封じ込める


試合を振り返って

「自分たちの特徴としては試合の入りなど、前半で点を決めることが多いなかでも、点を決めても守備が悪くなってしまう試合が大半。この試合の入りは強いと後ろから見ていて思ったが、中々シュートチャンスを決めきれなくて、ゴール前に行く回数もあまり多くなかった。その中でも後ろは集中して守ることが出来た。本当に、後ろの頑張りと前半を無失点で終えたことが大きかった」


15試合ぶりの無失点勝利を達成した要因

「ずっと、専大は攻撃的なチームと言っている中でも、やはりキーパーとしては無失点で試合を終えればチームは負けないので、そこを目指しながらやっていた。どうしても無失点で終える試合が全然少ないので、今日は久しぶりに最終節間近なところで1-0で終えたことは大きい」


最終節に向けて

「最終節をホームで出来るありがたみがある。4年生の先輩方にとっても、最後のホームゲームをリーグ最終戦で出来ることは1つの運なのかなと思う。ホームでやるからには負けてはいけないので、勝つ姿を応援する人たちに見せないといけない。次節は明学が勝ったら自動昇格は厳しくなると思うが、自分たちは勝つことだけを考えて、また1週間準備していきたい」




次節は11月15日に生田北グラウンドで亜細亜大学と対戦する。



文=藤林利英(文2)、写真=竹田一爽(文4)、佐藤佑樹(経済2)