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〈第20回世田谷246ハーフマラソン=11月9日 日本陸上競技連盟公認コース・WA認証コース駒沢オリンピック公園陸上競技場及びその周辺道路・21.0975km)

▲チーム内1番手の水津は自己記録を21秒更新した。
箱根駅伝予選会(以下、予選会)から約3週間が経過した。雨が降りしきる中、世田谷246ハーフマラソンに専大からは4名が出走。予選会後、初のハーフマラソンで水津智哉(経済2・今治北高)が24着の1時間04分03秒、中島優太(経営3・駒澤大高)が27着の1時間04分11秒をマークし、自己記録を更新した。
大学最後のハーフマラソンとなった犬塚知宏(文4・美濃加茂高)は60着の1時間06分27秒でフィニッシュ。自己記録更新とはならなかったが、笑顔で走り抜いた。
長谷川淳監督は「前半かなり速いペースで入っていったので、もう少しペース的には抑えていく予定ではあったが、選手たちが積極的に行ったと思うので、そこに関しては彼らなりにも後半の走りに収穫はあったと思う」と前向きに捉えた。それでも「トータルのタイムについては、雨で涼しかったので、かなり他の大学も含めて総合タイムが上がっている。うちも自己ベストの選手はいたが、やっぱり62分、63分台っていうところに乗らないと、世田谷のこのコースでも戦えないんだなと見ていて思った。あとは予選会で走った選手や大学も前の方にたくさんいるので、来年もシード権を狙うという目標を立てたチームとしては、もっと勝負できるようにならないといけない」と厳しく今後を見据えた。

▲中島も自身の記録から2分48秒上回った1時間04分11秒をマークした。

▲高木も自己記録に迫るタイムで走った。
〇「この4年間は“一番の宝物“」 笑顔で走った大学最後のハーフ


▲全力で走るのは大学最後だった。
大学最後のハーフマラソンは笑顔で臨んだ。
前回の箱根駅伝では8区を走り、専大記録を塗り替えた実力者の犬塚。「いつもはすごく緊張して、死にそうな感じで走っているけれど、それでも今日は4年生のみんなが応援に来てくれるという話だったので、最後は笑顔で終わろうということだけを意識して走った」とこのレースを迎えた。
調子が上向かない現状を踏まえ65分台を狙うも「ずっと調子が悪かったので(1kmごとのラップタイムを)3分5秒で押そうとは思っていたが、3分5秒で押したのは8kmまでで、そこからタイムがオーバーしてしまったので…。それでもしっかりとまとめようとは努力して走ったが、ちょっとやらかしてしまった」と60着の1時間06分27秒でフィニッシュ。「最近は不調続きで、なかなかスランプから抜け出せなかった。走ってみて、最初からなかなか前に突っ込めず、後半もだらだらと上げられないレースになってしまった」と悔しさを口にしたが「それでも高校の時の先輩(=山下大毅さん)が10kmから背中を押してくれて、一緒に最後もゴールすることができたので、後悔のないレースをした」と笑顔で終えた。
長谷川監督は「予選会で4年生として一つの区切りをつけた中で、自分の競技としてエントリーした世田谷ハーフにしっかり合わせてきたので、モチベーション的には難しいものがあったとは思うが、ちゃんと調整して出てくれたので、本人も納得して走れたんじゃないかなと思う」と走りを見届けた。
無念にも予選を突破できず、2度目の箱根路出走の夢が散った。犬塚は予選会でエントリーメンバーからは外れてしまった。チームの一員として箱根駅伝シード権獲得を目指していただけに、この結果を受けて「やっぱり箱根を走る。走りたいという思いでこの1年間やってきたので、一気に解放されて、もう目指すものがないなと思ってしまった」。
それでも「一時はすごく落ち込んではいたけれど、それでもまだ陸上は続けていこうとは思っている」と前を向いた。犬塚は来年2月に開催される別府大分毎日マラソンに挑戦する。父とともにエントリーし「それに向けて今は頑張っている」とフルマラソンで2時間20分切りを目指す。
さらに、今月30日に開催される日体大記録会の5000mに出走予定だと言う。「弟がわざわざ日体大まで来てくれるので、弟と最後にガチンコ勝負をして終わろうかなと思う」と意気込んだ。
4年間を振り返り「後悔がないと言えば嘘になってしまうが、それでもこの4年間は一番の宝物というか。すごく良い出会いが多くて、良い仲間に恵まれたなと思っている」と切磋琢磨した仲間に感謝した。そんな仲間に対し、照れくさそうにしながらも「“頑張れよ”って言っておいてほしい」とエールを送った。
〇チーム内1番手自己記録更新も笑顔はなし 10000m28分台、ハーフ62分台を目指す

▲自己記録を更新も厳しく結果を受け止めた。
自己記録を更新したが、表情に笑顔はなかった。
水津は悔しい気持ちから抜け出せずにいた。予選会ではインフルエンザにかかり、惜しくもエントリーメンバーから外れてしまった。代わりに今大会へ出走したという。
気持ちの整理がつかないままでの出走だったが「あんまりタイムを狙ってなかったので、正直64分台で走れたら良いんじゃないかなというのはあったが、走っている途中から63分台狙えるなと思ってスイッチが入ったが、ちょっと遅かったなという感じ」とギアを上げた。
「自分が思っていたよりも走れたなというのが正直な感想。自分は今回のハーフをやるっていう意欲があまりなかったので、その中では結構まとまって走れた」とチーム内1番手でフィニッシュ。さらに、24着の1時間04分03秒をマークし自己記録を更新したが「あんまりうれしくはない。もう一気に3分台に乗せたかったので残念」と悔しさを噛みしめた。
長谷川監督は「直前の練習で言えば、調子が良くない方の選手で、今日も最初の5kmは高木とか中島よりも後ろでじっくり入ったので、逆にそこが後半伸びた要因だと思う。今の自分の体力というか調子と上手く合わせて、ワンペースを選択して走ったなというか、頭を上手く使って走ったと思う」と評価した。
レース後「まだ1人で単独になった時に自分のペースで押していけないこと」と水津は自身の課題を口にする。それでも「途中で(前を走っていたランナーに)拾ってもらって、そこから8kmくらいずっとついていけたので、人の力を使えば(1kmごとのラップタイムを)3分切って押していけるというのが収穫」と経験を積むことができた。
来季は高学年になる水津。今季の結果を受け「来年はしっかり自分が(箱根に)通らせられるように、この1年しっかり気持ちを高めて継続して練習したい」と心を奮い立たせる。一段と成長させるために「まずは2年生のうちに10000m28分台で、ハーフマラソンは62分台を絶対出す」と力強く誓った。
〇新体制のチームに気持ちの変化が 今後はトラック種目にも尽力
指揮官は今大会での結果を踏まえ「新体制になって1発目のこの試合に対して、チームとしても全体ミーティングを先日行って、気持ちを入れて迎えた大会でもあったので、結果として水津と中島の走りがあったと思う」と新チームになった選手たちの気持ちの変化を感じている。
予選会での結果を踏まえ、選手間ではより熱い心が芽生えてきているという。「雰囲気としては仕組みを分かりやすくして、今のチーム組織をもう一回変えている段階なので。選手たちもいろんな意見を出し合いながら変化させているので、よりチームの方向性だとか、目標のすり合わせとか、そういったところ以前よりもしっかりできていくと思う。現時点でも、非常に強い思いで試合に臨む姿勢というのは前よりも増してるんじゃないかなと思う」。
新しくなったチームには「今回、選手間のテーマに『役割を増やして、より主体的に考えられるようなチームにしていこう』というのをやっていたので、いろんな角度で見える選手をその役職に置いてるので、今後は良い方向に変化していってくれるといいかなと思う」と期待を寄せた。
今冬は他大との差を埋めていく期間になる。「ポイント練習の質はだんだん良くなっているが、やっぱり走行距離とか(練習)全体のボリュームや体作り。そのあたりに目に見える課題がある」と他大と競い合えるように強化する。その上で「あとは試合への向き合い方とか、結果に対してのこだわるところやチームの目標、全選手が同じ方向をしっかり向くこと。そういうチーム作りのところやフィジカルの面、メンタルの面、全てにおいて少し見直しているところなので、そこら辺をもう一度、来年新入生が入ってくる前に形作っていくことが大事だと思う。長距離選手なので、速く長く走ることが大事」と春までにチームを一つに整えていく。
今年は11月29日の日体大記録会と12月20日の世田谷記録会のそれぞれ10000mに注力していく。「上尾ハーフや日体大記録会(11月16日)もあるが、個々の目標っていう形にしてもらって。チームとしては来年の全日本予選通過を見据えてトラックの強化を目指しているので、この2発の10000mでしっかり走るということを年度内は大きな目標にしている」とトラック種目の強化にも意欲を示した。
【立川シティハーフマラソン2025結果】
24着 水津智哉(経済2・今治北高) 1時間04分03秒 (自己新)
27着 中島優太(経営3・駒澤大高) 1時間04分11秒 (自己新)
41着 髙木崚平(経営2・洛南高) 1時間05分22秒
60着 犬塚知宏(文4・美濃加茂高) 1時間06分27秒
文=門前咲良(文3)
写真=門前、佐藤佑樹(経済2)

