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<令和7年度東都大学準硬式野球秋季リーグ戦=10月9日 駒沢球場 専大5-3東洋大>
2017年秋以来、15季ぶりに東都の頂点に立った。
▲優勝の瞬間
▲マウンドに集まり空に向かって人差し指を掲げた
優勝への条件はただ一つ、“この試合に勝つこと”だった。前の試合で首位の中大から勝ち点を挙げ、同率首位に並んだ専大は東洋大との3回戦に臨んだ。
先発のマウンドを託されたのは多賀谷直輝(法2・専大松戸高)。5回を投げ切り、竹村健太(経済4・星稜高)にバトンを渡した。6回途中無死満塁とピンチの場面からの登板であったが「あらかじめ準備が出来ていた」と最少失点で切り抜けた。そして、9回まで投げ切り逆転勝ち。4年生にとってのラストシーズンで15季ぶり22回目の優勝を成し遂げた。
▲先発の多賀谷
▲連投となった竹村
打線は1点ビハインドで迎えた3回に村上広(経済3・札幌第一高)が四球、宮尾日向(法2・専大松戸高)が相手の失策で出塁し2死一、三塁の好機を作る。そして濱田航輔(経営2・星稜高)の打席間に一塁走者・宮尾と三塁走者・村上がダブルスチールを仕掛け、同点に追いついた。
▲村上が本塁に生還
その後、一時勝ち越しを許し2点差になる。それでも、7回には2死から狩野浩斗(法3・専大松戸高)、村上の連続安打で2死一、二塁とした。続く宮尾が相手の失策で出塁し、その間に二塁走者の狩野が生還。1点を追加し反撃の狼煙を上げた。
▲狩野の好走塁で追い上げた
そして、8回には濱田、清水友惺(商1・専大松戸高)が連続安打で出塁すると、途中から守備で入った高橋秀昌(法4・専大松戸高)が犠打を決めた。1死二、三塁と一打逆転の好機で前の試合(対中大・3回戦)で決勝打を放った田中雄揮(経済2・星稜高)が打席に入った。レフトの頭上を越える2点適時三塁打で一気に勝利を引き寄せた。なおも1死三塁の好機が続き、代打・小圷海里(法4・広陵高)が決勝点となる犠飛で点差を2点に広げた。逆転劇を演じ、栄冠を飾った。
▲2試合連続の適時打を放った田中
▲小圷の犠飛
試合後、チームを率いた高井祐人監督は「優勝から遠ざかっていたから、こういう結果に結びつけられたのは本当に良かった。ここまで4年生がチームを引っ張ってくれたので、彼らの力は大きかった」と喜びを露わにした。
▲選手たちで監督を胴上げ
〇就任1年目でのリーグ戦V達成 「ほっとした」
「ほっとしたのが一番大きいですね」と優勝を決めて、話したのは今年から監督に就任した高井監督。昨年度まではコーチとして前任の海老原康彦監督のもとでチームを支えていた。この試合に臨むにあたって「前日の夜からずっとソワソワしていた。プレーするのは選手たちで自分はただ見守る事しかできないのに」と心の中で緊張感を漂わせていた。そして、試合前には選手たちに「いつも通りに点を取ってアウトを取るといった自分たちの野球をやるだけ。どこかしらで思わぬミスは絶対に出てくるからポジティブに受け止めて試合に挑もう」という話をしたという。
▲「めちゃくちゃ緊張した。生きた心地がしなかったです」と笑いながら話した
今シーズンは混戦を極めていた。その中でターニングポイントとなったのは全日本を制した中大から勝ち点を獲得した時であった。「あそこ(対中大・3回戦)で負けたら優勝を逃していた。関東大会の3位決定戦と春のリーグ戦の3戦目でも負けて、この秋にリベンジしたいという気持ちはすごく強かった。決して見劣りするようなチームではないけど、日本一の相手に自分たちがどこまでやれるのかというのは気になっていた」とリベンジに燃えていた。
そして迎えた3戦目。竹村の完封、井上隼(経済1・國學院栃木高)と田中の適時打で雪辱を果たした。「中大さんを倒すことが1つの目標であり、優勝するには避けて通れない道である。ここで倒していくことが来年の全日本選手権を目指すにあたってつながるということを選手たちに話していたから、勝ち切ることができてよかった」と安堵の表情を浮かべた。
▲中大との3回戦では竹村、井上、田中らの活躍で優勝に向けて一気に前進した
今シーズンは全5節のうち4節が3回戦まで縺れ込んだ。「連敗をしなかったことが一番大きかったと思う。どの試合でも一度負けても、連勝で巻き返すことができたし、そこがこのチームの粘り強さだと思っている」と全体を振り返り、優勝できた要因を語った。
そして、今後の目標は2年連続での全日本選手権出場。「リーグ戦も大事だけど、全日本の重要さは他大学の中でもかなり大きい気がする。また0からのスタートだから、勝てるチームにしていきたい」と先を見据えた。野球以外の面でも「日頃から保護者の方や大学の関係者などいろんな人が応援をしてくださっているから、いい結果が残せた時も『おかげさまで』という気持ちを忘れないようにしたい。周りがあってのこのチームだから、そこにアンテナを向けて感謝を持てるチームを目指したい」と日頃から部員に伝えることを継続し、活動していくことを掲げた。
▲集合写真
〇2戦連続の適時打で優勝に貢献
2戦連続、田中は一振りで試合を決めた。1点を追う8回に1死二、三塁の好機でこの試合でまだ安打が出ていなかった田中に打席が回った。「自分が決めてやる」と強い気持ちで臨んだ打席ではフルカウントから直球を捉え、レフトを越える2点適時三塁打を放った。「前の試合(対中大・3回戦)と一緒で全く当たっていなかった。最初はバントのサインが出ていたけど、自分を信じてくれて、打てのサインに変わった」と首脳陣の期待の応える結果となった。
実は一度、シーズンが始まったころに打撃フォームを変えたという。「一度変えたけど、自分の思うような打撃ができなくて元のフォームに変えた。そこから調子を取り戻すことができた」と試行錯誤を重ねて、大事な場面で結果を残した。
▲ベンチに向かって喜びを表した
来年から上級生となる田中は「今までは先輩の力が大きくて、おんぶに抱っこの状態であった。来年からは自分たちが上の学年になるので、後輩たちに背中で見せられるように頑張らないといけない」と先輩としての自覚が芽生えた。
コメント
【竹村】
――――無死満塁からの登板となったが、どのような気持ちだったか
「すごく痺れる展開だったけど、いつも通り平常心を持って投げました」
▲今秋、48奪三振でリーグトップに輝いた
――――ラストシーズンで優勝できたことについて
「最後に優勝という形で学生野球を終えることができてすごく嬉しいです」
―――― 一番うれしかった試合は
「今日が一番嬉しかったけど、中大との3回戦で完封できたことは嬉しかったなと思います」
――――学生野球を振り返って
「(2部との)入替戦もあったりして、大変な時期もあった。最後の年に全国大会に行けたり、リーグ戦で優勝できたりしてすごい良かったと思います」
▲全国大会での投球
【濱田】
――――今日の試合、緊張したか
「優勝が懸かっているというのが少しちらついたので少し緊張しました」
――――8回の打席にどのような気持ちで臨んだか
「勝ちたいという気持ちと、4年生の気持ちが出塁してやるという気持ちが結果に繋がったと思います」
▲8回に流れを作った
――――どのような先輩になっていきたいか
「プレーだけでなく、声でも良い雰囲気をチームに持ってこれるような存在になりたいです」
――――今後に向けての意気込み
「頼りになる4年生の先輩方が抜けるので、自分がチームを引っ張っていけるような存在になっていけたらと思います」
文・写真=知地泰雅(文3)