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<令和7年度東都大学野球秋季リーグ戦=10月3日 等々力球場 専大2-0拓大>
勝ち点“2”獲得を懸けて臨んだ拓大との2回戦。この試合の先発には岡本陸(経済4・専大松戸高)が登板。「野手が上手く攻撃につなげられるように意識して投げていた」と3回まで三者凡退の投球を続け、計5イニングを無失点の好投で中継ぎ陣にバトンを渡した。
打線は6回裏、谷頭太斗(経営3・日本航空石川高)が相手の失策で出塁すると、2死一塁で打席に回ったのは5番・渡辺維介(文2・松本国際高)。真ん中低めのチェンジアップを捉えセンターの頭上を越える適時二塁打で先制点を挙げた。さらに、続く6番・宮﨑元哉(経営3・明豊高)が右前適時打で1点を追加した。
8回からはこの日が19歳の誕生日である梅澤翔大(経営1・専大松戸高)が登板し、試合を締め括った。
▲先制のきっかけを作った谷頭
▲3番手に登板した玉木稜真(経営2・東海大星翔高)はリーグ戦初勝利を挙げた
〇試合を動かした2本のタイムリー
息詰まる投手戦が続く中で、戦況を大きく変えたのは渡辺と宮崎の一振りだった。渡辺は「初球は大きいのを狙おうと思っていたけど、追い込まれたから後ろにつなごうと意識した」とチームバッティングを心がけた。
▲「任されている以上は食らいついてやるしかない」と5番打者としての役割を果たす
この結果に普段はあまり渡辺に対して褒めることのない齋藤正直監督もベンチでガッツポーズを挙げたという。「監督がガッツポーズしたのを見て心の底から嬉しかった」とそれに応えるように二塁ベース上でガッツポーズを挙げ、喜びをかみしめた。
▲ベンチに向けてガッツポーズ
▲チームメイトで決めたポーズ
渡辺に続いて適時打を放ったのは宮﨑だった。「(サイドスローで)変化球を動かして打ち取るタイプだった」と変則左腕相手に序盤はゴロに打ち取られるなど苦しんでいたため試合中にチーム内で攻め方を話し合った。3打席目では2死二塁と追加点の好機を迎えると3ボール2ストライクからの6球目。「追い込まれていたからチェンジアップを頭に入れていた」と予想していた配球通りのチェンジアップをライト前に運び、二塁走者の渡辺が全力疾走で生還。追撃の適時打となった。
1戦目の本塁打に続き、2戦連続打点を挙げた宮﨑は「自分の中で感覚が良くて、球も結構見えている。練習の時から自分で試行錯誤してきたことが形にはまってきている」と練習の成果を発揮した。
▲打撃の調子を上げてきた宮崎
〇「我慢比べ」を制した無失点投球
今季から節の2戦目を任されている岡本はこの試合で勝ち星がつかなかったものの、3回まで拓大の先発・内山将投手の両投手が一人も出塁を許さない投手戦が繰り広げられた。「内山投手も結構良い投手だというのは分かっていたので、あまり点が入らないと思っていた。相手との我慢比べで、どちらか一方が崩れたらズルズルいってしまうと思っていたので、前半で絶対に崩れない」と強気な投球を続けていた。
5回無失点被安打1の好投で勝利に貢献をした岡本だが「個人的にはあまり調子が良くなかった」と話す。「投げていても今日は何か違うなと感じていた。重心が後ろに残って、広背筋の伸展が入ってしまったので投げるところで代償が出て、球が抜けてしまった。リリースの圧も弱く、変化球が全体的に浮いていたので、そこの部分が代償として出てしまった」と課題を明らかにした。しかし、その中でも「チームが勝つことを考えて試合の途中で修正して調子が悪いなりに上手くまとめられたと思う」と勝利に向けて最善を尽くした。
前回の登板(対国士大・2回戦)では初勝利を挙げたが「勝ち星とかは正直おまけだと思っている。チームが勝ち点を取ることしか考えていないので、次の節も今日で課題をしっかり改善するようにやっていきたいし、絶対に2戦目を落としたくない」と勝ち点獲得にこだわった。
▲「野手が守りやすくて攻撃につなぎやすいような投球」でいつもマウンドに向かっている
コメント
【大森駿太朗(経営3・専大松戸高)】
――――2死一、三塁からの代打は緊張したか
「緊張したけど、準備はできていました。次の打者が松永さん(=松永知大、経済4・創成館高)だったので、自分が打つというよりは後ろにつなぐ意識でした」
――――事前に監督から「行くぞ」と言われていたのか
「西川(=西川昇太、経営2・明豊高)のところに代打だったけど『そこに代打があるかもしれないからバットを振っておけ』と言われていたから気持ちの準備はできていました」
――――打席に向かう直前に監督から「バットを短く持て」との指示があったが
「練習中から『バットを短く持て』と言われていたので。バットを短く持ってコンパクトに後ろに繋ぐのが自分の役目だったので、そこはしっかり役目を果たそうと思った結果です」
▲昨春の拓大戦以来、リーグ戦2試合目の出場となった大森は四球を選び初出塁
――――自分の持ち味は何か
「守備が持ち味です。守備から打撃につなげていくスタイルなので、まずは守備から走塁の小技の部分をしっかり活かして後ろにつなぐのが、チームでの自分の役目だと思っています」
――――守備では一塁手・宮﨑(元)に対しての声が通っていたが
「二塁手はセンターラインなので周りを見ながらプレーをすることがすごく大事だと思うので、そういう意味では良い声が出せたと思います」
▲大森(左)と宮崎(右)
――――今後に向けての意気込み
「試合に出た際は自分が決めるという意識よりは後ろにつないでチームを鼓舞するのが自分の役割だと思うので、しっかり全うしていきたいです」
【梅澤】
――――誕生日での登板となったが特別な意識はあったか
「これからは勝つしかないので。誕生日だからといってそこはいつもと変わらずいきました」
――――マウンド上で笑顔だったが何かあったのか
「中野さん(=中野拳志郎、文4・小浜高)とか周りが声を掛けてくれるので、笑顔でいたっていうか助けられたと思います」
――――少ない点差での登板となったが、どのような気持ちで投げているか
「ランナーが一人出てもバッターで勝負していけば入っても1点という気持ちなので、ランナーが出たからやばいという思いはないです」
▲今季もクローザーを任されている
文・写真=知地泰雅(文3)