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<令和7年度東都大学野球春季リーグ戦=5月15日 大田スタジアム 専大13-5拓大>
二部優勝・入替戦出場へ向け、敗戦でその可能性が消滅する拓大との第2戦。専大は平野大地(経営2・専大松戸高)がリーグ戦初先発を果たすも、初回に制球を乱し拓大に先制を許す。前日、無得点に終わり奮起したい打線は4回、3番・松永知大(経済4・創成館高)がライト線へ二塁打を放ち送球の間に3塁を陥れると、4番起用のルーキー和田琉汰(文1・静岡高) がレフトへ適時打を放って同点に。直後に勝ち越されるも5回裏には谷頭太斗(経営3・日本航空石川高)の適時二塁打が飛び出しすぐさま追いつくと、6回裏には満塁のチャンスで途中出場の宮崎元哉(経営3・明豊高)が左中間を割る走者一掃の3点適時二塁打で勝ち越しに成功。これまで3連敗中だった鬼門の第2戦だが、13得点で今季初勝利。混戦が続く二部リーグで、優勝へ望みを繋いだ。
▲4番に座った和田
▲勝ち越しの一打を放つ宮崎
◎高3夏以来の先発登板・平野大地「神宮の地を踏みたい」
2023年7月25日、千葉県大会準決勝の先発から660日。平野大地がまっさらのマウンドに帰ってきた。4月8日、第1節の駒大2戦目で大学初登板を果たした後、ベンチ入りする試合もありながら、登板機会が訪れなかった平野。先発のマウンドに上がることは、この日の朝に告げられたという。「先発が高3の夏振りで、思い出しながらのところもあった。自分的には先発をしたい気持ちもあったので、今日投げられたことをプラスに捉えたい」と初回に1点を失った悔しさを滲ませながらも、前を向いた。
▲久々の先発マウンド
受ける捕手の中野拳志郎(文4・小浜高)は「明らかに初先発で緊張していたところがあった」と不安もあったが、予定された2イニングの中で「どんどん行こうという感じで。1失点で粘ってくれて良かった」と空三振を奪ったスライダーや縦変化の落ちる球、時折緩いカーブも折り混ぜながらリードした。
▲1回表、相手4番に四球を出したところで齋藤正直監督と中野がマウンドへ
初回には自己最速タイとなる152キロを計測したが平野自身は「もう少し行けそうな気もしている。いい感覚を掴みたい」とまだまだ成長途上。2年目を迎えた大学野球について聞くと「神宮でプレーするために大学に来ているところもある。神宮の地を踏みたい」と力強く宣言した。「高校の時にマリン(ZOZOマリンスタジアム)とハマスタ(横浜スタジアム)で投げたんですけど、神宮はあと1勝足らずに行けなかったので(2022年秋)。やり残した気持ちがある」と、高校時代を回想。プロで活躍する同級生の姿にも刺激を受けているようで、「(千葉ロッテ)マリーンズが地元で、木村(優人・霞ケ浦高卒)、早坂(響・幕張総合高卒)、寺地(隆成・明徳義塾高卒)の3人が活躍しているのを見ているので。早く近づいて、自分もいずれその舞台でプレーできるように頑張りたい」と、ライバルたちの名前を挙げて意気込んだ。
▲マリーンズ・早坂投手とは高校時代に千葉県大会で投げ合った
最終盤へ向けて「明日取れると優勝に一気に近づく。任されたところでしっかり投げていきたい」とコメント。ポテンシャル抜群、投手陣の秘密兵器は意気込んでいる。
◎13得点の打線 久々スタメン起用の工藤が2安打
中盤はシーソーゲームの様相を呈した。4回裏、専大が追いついた直後に拓大が1点を加えると、5回裏にすぐさま同点に。その同点となる適時二塁打を放った谷頭は「1点負けていたので、自分で返そうと積極的に打ちました」と左中間を割るライナーで試合の流れを引き寄せた。今季は1番・3番・4番と打順は流動的。第1戦では4番に座るも、この試合では1番に入り「先頭バッターとしてチャンスメイクするのは結構好きです」とリードオフマンとしての心境を語った。
▲6回裏には犠飛も放ちこの試合2打点
6回裏には「エースの長島に『小さく構えるな』と指導してもらったのが今日も生きた」と好調が続く主将・中野の中前打と、工藤翔斗(経営3・大阪桐蔭高)の右前打などで満塁のチャンスを作った。
2年前の秋季リーグ以来のスタメンとなった工藤は「久しぶりだったんですけど、常に投手の球を想定しながら、準備はできていた。練習と同じ気持ちで入ることを意識していた」と2安打を放ち起用に応えた。捕手登録の工藤だが、正捕手には主将の中野が攻守で大黒柱となっている。「中野さんがいて、捕手というところよりもバッティングで貢献できればと思っているので。残り試合を勝ち切れるように、バットでチームに貢献していきます」と、下級生の頃から期待され続けた打撃を今こそ開花させる。
▲3打席目はバットを折りながらもライト前へ
その満塁の走者を全て返す3点適時二塁打を放ったのは途中出場の宮崎。「シーソーゲームだったので、自分が打破してやろうという気持ちでいきました」と振り抜いた打球で勝ち越しに成功。「ベンチが大盛り上がりしてくれたので、めちゃくちゃ嬉しかったです」と一打で文字通り試合の空気を打破し、主導権を専大に引き寄せた。
▲ベンチへ向けて人差し指を掲げた
主将の中野は「今日負けたら優勝はないので、勝てて良かった。ここからまたいつも通り厳しい戦いになってくると思うので、全員で”総力結集”して勝っていきます」と総括。今季も東都二部は大混戦を極める。一戦必勝、負ければ終わりの戦いを、全員で勝ち進む。
*コメント*
【松永知大(経済4・創成館高)】
ーーー試合を終えて今の気持ちは
「序盤はちょっと苦しかったですけど、後半、後輩たちがいっぱい打ってくれたので。その流れに乗れたかなと思います」
ーーー今日は2安打。まず4回のライト線への二塁打について
「相手のウイニングショットで決めに来たと思うんですけど、それを打てたのは相当ダメージを与えられたかなと思います」
ーーー打ったボールは
「フォークだと思います」
ーーー8回にもライトへ適時打。今の打撃の状態は
「考えすぎた時は絶対打てなくなる。シンプルに自分の好きな球を狙った時にいい打撃ができると思うので、とにかく今はシンプルっていうのを意識しています」
ーーー今季も考えすぎてしまった試合はあったか
「毎年序盤に考えすぎちゃって、最初が全然打てないという課題があったので。今年は徐々にまた今(調子を)上げられているかなっていう感じです」
ーーー最終盤への意気込みを
「もう負けられないので、一戦一戦死に物狂いで勝っていきたいと思います」
文=萩原健丸(経営4)
写真提供=高橋尚之さん(令6卒・経営)