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〈第320回日本体育大学長距離競技会4月27日=日本体育大学陸上競技場〉
4月27日に日本体育大学長距離競技会の2日目が行われた。専大からは新入生10名を含む、計14名が5000mに出走。8組に出走した斉藤圭裕(ネット情報1・専大松戸高)が自己新記録の15分14秒90でフィニッシュした。しかし、全日本予選で主軸を担うことが期待される藁科健斗(経営4・横浜高)や福田達也(経営4・市立橘高)、注目株のルーキー・村澤大雅(経営1・青森山田高)といった他の選手たちは課題が残る結果となった。
〇2年振りの5000m 予想した範囲内のレースに
12組に出走した福田達也(経営4・市立橘高)は31人中8着でフィニッシュ。記録は14分32秒71だった。福田はトラックレースが2024年5月25日に行われた世田谷記録会、5000mが2023年4月8日振りのレースだった
レース序盤は後方からのスタート。2000mからは2位集団の後方について全体13番手の位置で走った。しかし、3000m以降離されてしまい単独走を強いられるが、自分のペースで走り続け前方の集団との差を縮めた。勢いそのままラストスパートで順位を上げ、2年振りとなった5000mのレースを終えた。「復帰してまだ2週間くらいで体力や状態も上がりきってないところだったんですけど、1つずつポイント練習の位置づけでやって、今のその状態通りというか、予想した範囲内でしっかり走れたのは良かったと思います」と完全なコンディションではなかったなかで予想範囲内でのレースができたと振り返る。
また2年振りのレースについて「心の中に少し余裕を持ちながら10000mの通過のイメージをしました。全日本予選もこの先あるので、先のことを見据えて、5000mを走りながらちょっと余裕を持って走ることは意識しました」と先の目標を見据えていたことを明かした。
▲安定した走りを展開した福田
今年度が大学陸上のラストイヤーとなる福田。最終年に向けて「去年箱根駅伝は直前で故障してしまい、僕が走る予定ではあったんですけど悔しい思いをしました。今年度は最後の年になるので、一つ一つのレースを大切に、そして怪我しないことを第一にしっかり走り続けることが大事かなと思います」と話した。「まず全日本予選が最初にあって、その後秋にはまた予選会があるので、しっかり最後一つ一つ全力出し切りたい。箱根はしっかりリベンジというか、まずは出走して、区間上位で走る。また走ってチームを勢い付けられたらいいかなと思っています。」と様々な目標と大きな駅伝大会の具体的目標を語った。
〇藁科健斗新主将 高速レースに苦戦し、次戦に向けての課題が明確化
18組に今年度陸上競技部の主将の藁科健斗(経営4・横浜高)が出走。組内31人中26着でフィニッシュタイムは14分30秒48だった。
藁科はスタートから集団の後方に付いて序盤のレースを進めた。そのままの勢いでレースを進め、1600m地点からは集団の前方へと位置を変えて走った。しかし3000m付近では集団の後方に付き、他大学の選手と並走して最後まで競り合うレースとなった。
レース後は「良かったところはなかったですね。今日は13分台を狙っていたので、あのくらいの最初の入りというところは予想はしていた。1000mから2000mまでは行けたのですが、そこからズルズル行ってしまいました。まだまだ13分台を出せる状態ではなかったです」と自分のレースを厳しく振り返った。スピードを課題に挙げ、「トラック競技がメインになってきているので、そういった練習は増えてきてはいるんですけど、そこへの対応やスピードの余裕度というところがまだない。全日本予選までは1ヶ月しかないが、スピードがないと戦えないと思っているので、スピード面の強化が課題」と分析した。
▲3000m付近の藁科
迫り来る全日本予選に向けては、「チームとして7位以内を目標にしている。それに貢献するために、個人では組内一桁だったり、5番以内というところを目指してやっていこうと思っています」と意気込んだ。
〇期待のルーキー・村澤 関東インカレに照準合わせる
18組には、唯一、関東インカレにエントリーしているルーキーの村澤大雅(経営1・青森山田高)が出走。組内30番手の15分00秒77でフィニッシュした。
村澤は序盤、集団の後方を位置取りし順調なレース展開を繰り広げたが、徐々に集団から離されていき、1200m地点から単独走に近い状況となった。耐えながら走ったものの、4000m付近では息が上がるようになり、苦しそうな表情を見せた。本人は「前半は余裕をもっていたが、2000mから3000mの後半部分で足が動かなくて。軸もブレブレになってしまった」と後半から悔しい走りになったことを分析する。
5月8日に行われる関東インカレの1500mで出場予定の村澤は「関カレ(=関東インカレ)に向けて1500mの練習をしていて、長い距離を最近できていなかったので3000mまでの入りはいい感じにいけたが、そこから粘ることができなかったのであんまりよいレースとは言えなかった」と、あくまでも練習ではインカレに照準を合わせていたことを明らかにした。
▲早いレース展開に苦しむ村澤
入学してから1か月がたったルーキーは「高校生の時より大学の方が自由が増えて、気持ちが緩んでるところとか、大学生からレポートとか課題で結構大変な日々で陸上っていうより日常生活の方がきついかな」と競技と学業の両立に苦戦している。
4年間の目標を「箱根駅伝でチームがシード権獲得に向けて区間上位を目指して走ること」と定めた。目標への第一歩として、関東インカレでは決勝出場を目指す。
▽長谷川淳監督 一問一答
──今日の日体大記録会を振り返って
「前半の組は良い組に入れて本来の力を出せれば組の上位で走れるかなと思ったが、少し日が出ていたのもあり1年生はなかなか全体的に厳しかった。後ろの組に関しては持ちタイムからしたら早い組に入ったので、今後大学陸上界で上を目指すのに必要なスピードを体感するという意味でも気持ち早い組に入れてあげたが、本人たちは3000mまでしかくっつけなかったりとか、一番力の差を感じたと思うのでそこに関しては今後、今日の試合の経験を生かしてもっと向上心を持ってやってもらいたいなという風には思った」
──新入生が多く出た大会だったが
「新入生は学校が始まって毎日授業がたくさんあって、忙しい中で、慣れない環境で、まだそこまで練習自体も進んでいないのでコンディション的には高校の一番いい時と比べてもあまり良くない、6割くらいまでだったと思う。そういった中でもこのような試合を経験したっていうのは秋には繋がると思う。このレベルに行かなきゃいけないんだっていう、選手たちも思ったと思うので夏合宿もそうですけど、秋の記録会では10000m中心にはなるんですけど、自分たちが箱根駅伝とかで戦うためには、こういう水準でやらなきゃいけないんだよねっていうのを思って取り組んでいってもらいたい」
──18組に出走した村澤は唯一関東インカレに出るメンバーだが
「村澤に関しては早いペースの練習というか1500mの相対的なスピードは速いので、そういった意味でも3000mぐらいまでしっかりいいペースでいければよい練習になるかなと思って出したが、前半で思っていたよりもきつくなってしまっていた。次は1500mなので切り替えてインカレに向けていい形で持っていけるようにしたい」
──同じく18組で出走した藁科については
「藁科も2週間くらい前から調子が上がっていなかったので5日間くらいレストの中で落として今回を迎えたので体の軽さはあったと思うが、少し練習の流れが上手くいっていなかった。今回どう出るかなと思ったが、あまり良くないときがあって休んで調子自体は上がっていたが、もう少し再現性のある練習をしないといけなかった」
──12組で出走した福田については、久しぶりのトラックレースだったが
「福田も7月ぶりくらいのレースで今回も3週間くらいしか練習をやっていない中では、後半までまとめる走りができていたので、その辺は流石というか4年間やってきている選手の走りを見せてくれたと思う。ここから福田も上がってくると思うので全日本の選考会とかをしっかり目指してもらいたい」
──新入生に対してどのような期待を抱いているか
「101周年の時に入ってきた選手なので力もあるし、ここからまだまだこれからだと思うのでしっかり練習を積んでシードとかを当たり前にとれるような世代になってもらいたい。この秋、(箱根駅伝)予選会とか正月の本選にも数名、上位の選手と争うような選手が出てきてくれるといいなとは思う」
文=大竹瑞希(文3)、倉林光琉(法2) 写真=門前咲良(文3)、倉林