News

最新ニュース


2025.05.02
陸上競技

【陸上競技部】日体大記録会1日目 「後半の粘り」に課題が残る

〈第320回日本体育大学長距離競技会 4月26日=日本体育大学陸上競技場〉


 第320回日本体育大学長距離競技会が4月26日、27日に行われた。初日の10000mに専大からは4名が出走。その中から自己記録を更新した選手は現れず、改善すべき点が明らかになった。

 長谷川淳監督は「前半は良いが、後半に全選手課題があって、もうちょっと上手く後半までやっていけると良いかなと思う。やはり後半の粘りがちょっと足りない」と課題を口にした。


▲8組には平松、田口、和田の3人が出走した




後半のレース展開が課題の平松 「ある程度は克服できる課題」


▲レースの前半は良いペースで集団に食らいついていたが、後半に失速してしまった


 8組に出走し28分台を目標タイムに定めていた平松龍青(経済3・中部大第一高)だったが、15着の29分46秒69でフィニッシュ。「5000mの失速と集団から離れて単独で押すレースになったのが課題だと思う。キツくなってから自分でペースを抑えてしまう癖があるので、勝ち切るレースをするためにも集団について粘る力をつけていかないといけないと思った」と後半に課題と収穫のあるレースになった。

 レースの中盤までは先頭集団に食らいついていたが、5000m地点付近で集団から遅れをとってしまった。「頭は冷静だったが身体がついてこなくて、無理に集団についたらその後、大失速すると思ったので自分のペースでいこうと思った」と単独走で先頭を追うレースを展開したが「でもそこが自分の弱さだと思う」と反省した。

 長谷川監督は「ちょうど中間まではかなり良い形で行っていたので平松も良い流れではあったが、やっぱり後半のところで集団から落ちてしまって一人になってしまったので、ちょっとそういうところはまだまだ。きついのはきついのだが、レースの流れをつかんで走るというか、つまり感覚をもう少し研ぎ澄ませていかないと練習をやっていても上手く記録会で走れないっていうようなことが起きると思う。今日の平松に関してはそんな感じの展開だった。練習は今回、かなり継続してきたのでちょっとレースの展開を読む力をつけないといけない」と指摘した。


 後半に悔いが残るレースとなったが「全日本予選までの残りの1か月である程度は克服できる課題かなとも思っている」と下を向かない。「強いて言えば10000mを走るのは2回目だったが、自己ベストから大きく下振れなかったこと」を良かった点として挙げた。


 今季から副主将に任命され「チームが勝つために何をしていくべきか考えることは多くなった」と考え方に変化があった。「その中でこれはやった方が良いと思った事を積極的に幹部やスタッフに提案するようになった」とチームを強化するための行動を起こしている。

 新副主将は日頃から“凡事徹底”を心がけている。それは他の部員にも伝えている。「普段の何気ないところがレースの結果に繋がると思っているので、そこを大切にしようと自分の学年には言っている。言うからには自分がしっかりしてないといけないのでそこは神経使ってやるようにしている」と自他ともに普段の行動を怠らないようにしている。


 3月に行われた青学大の合宿に平松も参加し「選手一人一人が陸上の知識と理解が深くて驚かされた」という。「体操や動きづくり、ストレッチの一つ一つの意味や目的を理解しているので、誰に聞いても細かく説明してくれてとても勉強になった」と有意義な時間を過ごした。箱根駅伝前回大会優勝校の練習から得た知識は「専大がシード権を取るために必要な要素であるとも思う」とチームの強化するヒントをつかんだ。


 新副主将は「先の話なので具体的な目標はまだないが、個人としてはまず、全日本予選で良い結果を出したい」と全日本大学駅伝予選会に向けて日々の練習に励む。さらに「まだ夏合宿で走れたことがないので夏合宿を乗り切って箱根駅伝予選会、本戦で他大学のエースと競り合いたい」と奮起する。


▲今季はチームとしても個人としても強化に挑む




帰国後、調整に苦戦した田口 CUCBでレベルの高さを経験


▲初海外遠征後の調整が困難だった


 4月6日にアメリカのワシントンD.C.で行われたCredit Union Cherry Blossom(以下、CUCB)の10マイルレースに参加した田口萩太(文2・東京高)は帰国後、調整が思うようにいかなかった。8組で出走し「結構厳しいレースになるかなっていうのは分かっていたので、それでもしっかり全日本(の出走メンバー入りすること)を目指すにあたって最低でも29分30秒くらいだとか、ベストに近いところには持ってこなきゃいけないなと思っていた。今は(全日本に向けて)上げていく途中段階というか、そういう時期ではあるので、ベストが出たらもちろんすごく良かったが、ベストに近いタイムは最低でも出さなきゃいけないと思った」と挑んだレースだったが、序盤から和田とともに集団から遅れてしまった。集団の後方から落ち着いたレース展開をしたものの、29分57秒10の23着で終えた。「海外の慣れない環境でやったっていうのもあって、そこから今日まで合わせるのが自分の中で結構苦労した。4月中もなかなか練習が踏めないっていう状態で臨んだので、練習通りのタイムが出てしまった」と悔いた。

 長谷川監督も「海外の試合に行ったりとかして、あんまり調子が上がってない中で迎えた試合になったので、ちょっと今日の前半のペースは少し早かったのかなっていうのはある。それなりに一番後ろで落ち着いて走ったが、後半も上げていく…。あの展開しか今日はなかったのかなと思う。彼は今できる力は出せたのかなと思う」と万全な状態ではなかったことを明かした。


 CUCBの10マイルレースに出走したきっかけは、アシックスから専大へ1枠招待されたことだった。関東インカレのハーフマラソンでの出場を目指していた田口が練習の一環として、その枠で参加することを決めた。

 しかし、初めての海外遠征で多くのアクシデントに見舞われた。ワシントンD.C.へ向かう途中にダラスを経由するはずが、乗り換えをする時にトラブルが発生し、ダラスで一日過ごすことになってしまった。それにより、試合前の夕食や睡眠時間が十分に確保できず、スケジュール通りの行動ができなかったため「苦しいレースになった」と苦笑した。

 それでも、37着の49分55秒をマークし、19歳以下の参加者の中で1着と世代トップの成績を残した。

 CUCBに出走し「すごくレベルの高いで大会で、会場の雰囲気とか、当たり前のレベルだとかがやっぱり高いなっていうのを感じた」と回想する。レースには実業団のヤクルト陸上競技部に所属している吉川洋次さんと帯同し「(一緒に)過ごす時間が長かったので、レース以外でも私生活のところでも過ごして、学べるところはすごくたくさんあった」と貴重な経験を積むことができた。


 昨年、箱根駅伝予選会、本選での出走した経験をした新2年生は「全日本が控えているところで、去年は(箱根駅伝)予選会、本戦は出るだけになってしまったので、他大の選手と“戦える”選手になるんじゃなくて、他大の選手を“圧倒できる”ような力をつけたい」と今季はエース級の選手になることを誓う。


▲海外での経験を自身の成長に繋げる




ジンクスに苦しんだ和田 同高の後輩に「こんな姿を見せられない」


▲レース後「もう全然ダメで…」と放った言葉には悔しさが籠っていた


 8組で走った和田晴之(経営3・三浦学苑高)は「もう全然ダメで…。調整もめちゃめちゃ上手くいったかというとそうでもなくて…。練習からあんまり上手には来てない中でどうレースを走るかというところで、今日は本当にダメな日に当たってしまったというか、良い時もあれば悪い時もあると思うが、そのうちの悪い日だった」と苦しんだ。序盤から先頭集団との距離が離れてしまい「理想は自己ベストタイくらいの29分10秒台出せればまあいいかな(と思う)くらいで、最低限29分半くらいではきたいなと思っていたが、ついてこず…」34着の30分34秒24と自己記録から1分以上大幅に遅れをとった。

 長谷川監督は「和田も練習自体はできていたが、今日は消極的な走りで最初から後ろだったし、なかなか得るものがない内容だった。そこは練習どうこうというより、(まだ本人と話しができていないのでわからないが)メンタル的に準備しきれていなかった感じ」と失速の原因を推測した。

 しかし、和田自身は納得できる調整ができていなかった。「自分の中では1週間前にめちゃめちゃ調子が良いと、試合当日は悪いという個人的なジンクスがある。だから自分の中では上手くいってなかった」とジンクスにとらわれてしまった。「周回遅れを食らうのも人生で2回目とかで、めちゃめちゃ久しぶりで…。もう周回遅れになりたくないなと思ったので、もう一回、スイッチを入れて頑張らなきゃいけない」と自身を奮い起こす。


 今年2月は1週間おきに丸亀国際ハーフマラソン、神奈川駅伝、青梅マラソンと様々な大会に出走し、多くの経験を積んだ。中でも丸亀国際ハーフマラソンでは1時間3分16秒と好走し「丸亀で同級生と比べたらまだまだだが、自分の中ではやっと土台の63分前半をつかめたというのは、とても自分の中で大きかった。そこから1ヶ月に3本レースを揃えられたというのは、個人的にも一番大きく成長できた」と大きな進歩を感じていた矢先、折れてはなかったものの大腿骨を痛めた。「怪我して2、3週間休んでしまって、また1か月間、練習して今日だったって考えると3本揃えてから離脱がなければもうちょっと上手く走れた」とこの離脱が痛手となった。それでも「継続っていう面では課題が見つかった反面、3本揃えられたっていうのは今後において良い経験だった」と更なる成長の材料となった。


 今季からは同じ三浦学園高等学校出身の三上陸空(経営1・三浦学苑高)、向田泰誠(経営1・三浦学苑高)、米持佑樹(文1・三浦学苑高)の3選手が入部した。同高の後輩に対し「こんな姿を見せられないので、もうちょっとたくましいというか、大きい背中を見せなきゃいけないので、頑張らないといけない」と憧れの存在になれるよう奮闘する。


 前半期は5月24日に行われる全日本大学駅伝予選会に重点を置いている新3年生。1年生の頃からエントリーメンバー入りを果たしているが、2年間で出走は叶わなかった。「今日はこういう状態なので、出られるかどうかエントリーすら微妙だが、ここから上手く練習を積んでいきたい。1年目から一応エントリーはしてもらって、2年連続出走はなしなので、今年こそは3度目の正直というか、しっかりエントリーしてもらって出走できるように頑張りたい」と3年目で戦地に立つことを目指す。


▲丸亀国際ハーフマラソン、神奈川駅伝、青梅マラソンでの経験と離脱の課題から得るものがあった




水津もレース後半に失速も 「改善の余地はある」


▲中間地点付近まで自己記録更新を狙える位置にいたが、後半は厳しいレース展開になった


 水津智哉(経済2・今治北高)も「あまり調子が良くなかったので、最低限自己ベストの29分30とか40で走れたらと思ったが、30分かかった。全然ダメだった」と7組で20着の30分04秒93でフィニッシュ。長谷川監督の28分台の選手が出てくる組なのであまり序盤からスピードを出し過ぎない方が良いという助言通りに集団の後方につき、5000m地点を14分47秒で通過。しかし、その後は集団から外れてしまいペースを落としてしまった。

 長谷川監督は「もう一回行ければ29分20、30秒くらい出たと思うが、そこら辺もできていなかったので、チームとしても課題」と後半のレース展開の改善に期待する。

 レースの後半は失速したが「動きは悪くなかったが、なんかもうついていけないなっていう…。でも別に悪い感覚じゃなかった。そこまで悪い感覚じゃなかったので、改善の余地はある」と収穫があった様子だった。


 2、3月は水津も神奈川ハーフマラソン、宮古島駅伝、立川シティーハーフマラソンに出走し、多くの経験をした。そこではレベルの高いランナーの走りを体感できた。「色んなレースに出たので、速い人は何をしているかとか、そういうことを結構学べたと思う。できるところから一個ずつやっていこうかなっていう感じ」と自身の成長に繋げる。


 2年目の今季は「箱根駅伝に出たい」という思いが強い。夢の舞台で出走するためにも「気持ちは一つ。気持ちで練習する」と精神力で自身を鍛え上げる。

▲2、3月に出場したレースから学ぶことが多かった




まもなく始まる関東インカレ ハーフマラソンが重要な種目

 5月8日から4日間にかけて行われる関東インカレについて長谷川監督は「全体的に2部の全日本大学駅伝を控えている大学さんはメンバーをあまり出していないので、いつものインカレの位置づけがちょっと変わってきちゃっている」としながらも「うちはうちでB標準だが標準を切っている選手がいて、チャンスをつかんだ選手たちだと思うので、そういう舞台で一つ決勝に行くとか入賞するとか、そういったところで新しいステージに上がれるチャンスが巡ってくると思うので、出る選手たちに期待したい」と出場する選手にエールを送った。

 特に、ハーフマラソンには佐藤陸(文3・東京高)、佐藤恵伍(文2・自由が丘高)、中西慶士郎(経営2・比叡山高)の実力がある3名がエントリーし、「2部では70名がエントリーしていて、そういったところでどれくらい戦えるのかっていうのはチーム力だと思う」と重視している。

 昨年も具志堅一斗(経営3・コザ高)が1時間05分06秒の13着と健闘した。それもあって、昨年の春先は「専大、今年は良いんじゃないか」と評価する声があったという。「昨年の結果は間違いなく超えていってもらいたいし、入賞者が出て欲しい」と更なる好成績に期待を寄せた。


 今季は『All for ONE 新しい景色へ』をスローガンに掲げ「春先はいつもなかなか出鼻が挫かれて良くないので、やっぱり全日本、箱根の前の関東インカレにある程度、戦力を出して戦いたい思いが強い。現状、今回は結果が良くないが期間があるので整えて、春先にしっかり作りたい」と春先のチーム強化に取り組む。

 昨季は箱根駅伝予選会を2位通過と飛躍した。今季も予選を突破するために「去年は暑い中で通った(箱根駅伝)予選会だったと思うので、今年は暑くても寒くても間違いなく通れるようなチーム作りをしていくことが大事だと思う。誰かのためにというよりは一人一人が集中して力をつけていくのが全体の力をつけるのに繋がるので、選手たちにも意識してやっていってもらえたらと思う」と個々のレベルアップに期待した。




▽長谷川監督 一問一答


──今回のレースを振り返って

「前半が良いんですけど、後半に全選手課題があって…。もうちょっと上手く後半までやっていけると良いかなと思うんですけど、やはり後半の粘りがちょっと足りないですね」


──7組に出走した水津について

「(5000m地点を)14分47秒で通過したので、もう一回行ければ29分20、30秒くらい出たと思うんですけど、そこら辺もできていなかったですので、チームとしても課題ですよね」


──8組に出走した平松について

「ちょうど中間まではかなり良い形で行っていたので平松も良い流れではあったんですけど、やっぱり後半のところで集団から落ちてしまって一人になってしまったので、ちょっとそういうところはまだまだ。きついのはきついのですけど…レースの流れをつかんで走るというか、つまり感覚もう少し研ぎ澄ませていかないと練習をやっていても上手く記録会で走れないっていうようなことが起きると思うので、今日の平松に関してはそんな感じの展開でしたね。練習は今回、かなり継続してきたのでちょっとレースの展開を読む力をつけないとですね」


──同組に出走した田口について

「田口は海外の試合に行ったりとかして、あんまり調子が上がってない中で迎えた試合になったので、ちょっと今日の前半のペースでいうと少し早かったのかなっていうのはあります。それなりに一番後ろで落ち着いて走ったんですけど、後半も上げていく…。あの展開しか今日はなかったのかなと思うので。まあ、彼は今できる力は出せたのかなと思います」


──同組に出走した和田について

「和田も練習自体はできていたのですけど、今日は消極的な走りで最初から後ろでしたし、なかなか得るものがない内容でしたね。そこは練習どうこうというより、まだ本人と話しができていないのでわからないですけれど、メンタル的に準備しきれていなかった感じですね」


──チームのスローガンが『All for ONE 新しい景色へ』に決まり、新入生も加わった。今季はチームとしてどのような力をつけていきたいか

「スローガンを決めた当初は、春先はいつもなかなか出鼻が挫かれて良くないので、やっぱり全日本、箱根の前の関東インカレにある程度、戦力を出して戦いたい思いが強い。現状、今回は結果が良くないですけども、期間があるので整えて、春先にしっかり作りたいです。去年は暑い中で通った(箱根駅伝)予選会だったと思うので、今年は暑くても寒くても間違いなく通れるようなチーム作りをしていくことが大事だと思います。誰かのためにというよりは一人一人が集中して力をつけていくのが全体の力をつけるのに繋がるので、選手たちにも意識してやっていってもらえたらと思います」


──5月8日から関東インカレが始まる

「全体的に2部の全日本大学駅伝を控えている大学さんはメンバーをあまり出していないので、いつものインカレの位置づけがちょっと変わってきちゃっているのかなと思うのですけど、うちはうちでB標準ですけど標準を切っている選手がいて、チャンスをつかんだ選手たちだと思うので、そういう舞台で一つ決勝に行くとか入賞するとか、そういったところで新しいステージに上がれるチャンスが巡ってくると思うので、出る選手たちに期待したいなと思います。特にハーフマラソンはしっかり走る3人を並べているので、あそこが(箱根駅伝)予選会とかを見た時の重要な種目だと思っています。2部では70名がエントリーしていますし、そういったところでどれくらい戦えるのかっていうのはチーム力だと思うので、昨年もそこで具志堅とかしっかり走ったのがあって、(昨年の)春先は『専大、今年は良いんじゃないか』っていう声もありました。昨年の結果は間違いなく超えていってもらいたいと思いますし、入賞者が出て欲しいなと思います」




文・写真=門前咲良(文3)