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2025.01.05
陸上競技

【陸上競技部】第101回箱根駅伝 長谷川監督一問一答

〈第101回東京箱根間往復大学駅伝競走=1月2日、1月3日〉


72回目の出場となった箱根駅伝では、往路20位、復路16位で総合17位の成績を残した。創部101年目と新たな1世紀の1年目を迎えた専大。3大会連続の最下位から脱出し、次大会以降への希望が見えた。長谷川淳監督の一問一答は次の通り。

▲新たな1世紀最初の箱根路では襷を繋ぎきり総合17位で終えた。3大会連続最下位から抜け出し、次大会以降への期待が高まる。




〇往路について(1月2日取材)

──往路を振り返って

「1区の出遅れが2区に響いたのと、3区はしっかり上山がある程度戻して走ってくれたのですけど…。4区ですか。上手くいかなかったなっていうので、1年生の田口(=田口萩太、文1・東京高)に負担が来てしまったのかなっていうのはありますね」


──各選手の走りというのはどうだったか。

「各選手、調子自体はすごく良くて、事前のコンディショニングも上手くいってたのですけど、新井(=新井友裕、文3・浦和実業高)に関しては逆に体が軽すぎたのか、普段あまりやらないような出入りのある動きをして足を使ってしまっていて、最後のたたきのところでシード権のラインの集団と44秒っていう差がついてしまって、少しの差なのですけど、結局マイナ(ダンカン・マイナ、商1・専大熊本玉名高)が単独で追うシチュエーションになってしまいました。マイナ本人も『難しいレースでした』って言ってたので、前の日本人集団の速い選手たちのところにいれば、マイナにはそれが当たり前だと思ってついて行くので落ちなかったと思います。1人で走っちゃうと変数がわからないし、自分が良いのか悪いのかもわからないので、そういったところで彼の潜在能力を引き出せないポジションで走らせちゃいました。ただ、最低限のところでは来てくれたんで、上山(=上山詩樹、経済2・敦賀気比高)もしっかり走れたのはあったんですけど…」


──1区から3区までを新井、マイナ、上山の3本柱で勝負しに行ったように見えたが、4区を走った手塚太一(経営3・那須拓陽高)が一番の変わりどころだった。

「4区は耐えると区間だと思ってたんですけど。ただ、本当に一番調子が良かったぐらいの仕上がりだったんですね。我々も自信を持ってはいたんですけれど、箱根駅伝初出場っていうプレッシャーなのか緊張なのかが全然体を動かしていないというか、いつもより足の返しの細くて動いてないなって思っていました。それまではシード権内で1分差まできていたので、少し残念でした」


──そうなってしまった要因は。

「コンディション的なところの悪さはなかったのですが、初めての(箱根駅伝だったため)固くなった部分というか、不安な要素が全くなかったので動かないのかなというのはありましたね」


──手塚が順位をキープまたは上げたまま1年生の田口に繋ぎたかった。

「10位前後っていう想定で青写真を描いてたんですけど、結局そこで下がってしまったんで田口も最初追いつかなきゃっていうチーム事情で突っ込んで入っちゃったんで、それが逆に後半きつくなっちゃいましたね」


──箱根駅伝では勢いを大切にしたいと言う話があったが、3区までは保てた。

「1区、2区はちょっと失敗したのですけど3区の上山でちょっとは戻せたんで、100点ではないですけど、70点というか、良いシチュエーションでは来てくれたので一応(区間)12位っていうところで来てくれたので、周りに選手もいてすごく次の走者は走りやすいシチュエーションに渡してくれたので、もう少し大事にしていきたかったなと思います」


──復路に向けて巻き返しを図っていきたい。

「復路一斉スタートは6チームあるので、しっかりそこで叩き合いで勝ち切って専大記録っていうところの近くまでいってほしいと思います。(6区は)59分30秒台ぐらいはいけると思っているので、そこで少しでもシード権争いというか、見た目では後ろなのですけど、その10番前後っていうところをしっかり走ってもらいたいですね」


──特にポイントとなるのは。

「うちの強みで言うと、やっぱ6区と9区のロング区間ですかね。この辺でペースを押していく選手がいるので、そこら辺で少しでも縮めてくれればいいかなというのと、もう17分弱(前に)、先頭経過しているので、しっかり襷渡しはしたいと思うのですけれど…。戸塚と鶴見はかなりポイントになってくるのかなと思うので、復路の選手たちには大変な思いをさせるんですけど、ぜひミスなく繋いでほしいです」

 

──往路で本来、考えていたトップまでの差は。

「今回は8分差くらいだと思っていたのですよ。実際はスタートでいけるかなとは思っていました。ただ、かなり超えてきてしまったんで、少しかかったなっていう印象ですね」


──予選会では10位ギリギリで通過した順天堂大学が、往路では13位と良い成績を残した。これから専大も箱根駅伝で結果を出すには。

「個の力がまだまだ足りないなっていうのはありますね。集団で一緒に走る予選会とかは強いのですけど、 やっぱり1人になって自分の中でペース配分なり、体力なり、レースプランなり、研究して積極的に走っていく。前半から突っ込んで走っていくような走りとかはまだ練習でもそこまでやれてないです。正直。年間通じて箱根駅伝っていう種目の走り方も、やっぱりそこも予選会(を想定して練習をしていたこと)と一緒で、 本大会の走り方っていうのも体現していかないと、再現するのが難しいなと思いますね」


──復路に向けて。

「本当に切り替えて、少しでも前の順位でゴールできるようにしたいですね」




〇復路について(1月3日取材)

──6区に関して。

「本当に丹(=丹柊太郎、人間科学2・松山商業高)がまず勇気のある走りをしてくれて非常に後ろの選手たちに勇気を与えてくれたと思うので、単独走になる選手もたくさんいたのですけど、ほんとにしっかり走ってくれたなと思います」


──続いて7区はどうだったか。

「具志堅(=具志堅一斗、経営2・コザ高)も丹が前の走者が見える位置で来てくれたので、そういったところで非常に走りやすさもあり後半もしっかり自分のペースに戻して走ってくれたので、すごいいい走りだったと思います」


──8区に関してはどうだったか。

「犬塚(=犬塚知宏、文3・美濃加茂高)は東洋大の子が結構いいペース来ていたので出ましたね。それがちょっと早いのか遅いのかっていうところで本人も悩んだと思うのですけど、本人も最初からちょっと抑えていって後半上げる走りをしますって言っていたので、それを信じてこちらも見ていたのですが、遊行寺は本当に力強く登ってくれて想定通りの後半上げるスタイルで走ってくれたのですけど、遊行寺が終わった後の3キロぐらいあったんですかね。ここがちょっとだいぶ力を使ってしまって伸びなかったので、区間12位が見えていたのですけれど、最後で15位まで落ちてしまったので、そこは課題だったかなとは思います」


──9区は最初で最後の箱根駅伝となった4年生の大田和(=大田和一斗、文4・東農大二高)が出走した。

「大田和は本当に故障が多くて、本来この箱根もちょっといい状態では迎えてないはずなのですけど、本当に最後の最後までコンディショニングをしてくれて出てくれたので、4年間の思いが詰まった23キロだったんじゃないかとは思いますね。本当に。ちょうど神大の選手がいてくれたのでいい形であげていって、想定したタイムは1時間9分ちょっとだったんですけど、10分36秒ってことで今のコンディションで言えば、100点の走りをしてくれたんじゃないかなとは思いますね」


──最後10区で走った藁科(=藁科健斗、経営3・横浜高)はどうだったか。

「関東学生連合さんと神大さんを引き離して単独走で23キロ長かったと思うのですけど、非常にいいペースを刻んでくれてそこでも区間14位で。区間10位とも1分差くらいなので、今の彼もコンディション的には非常にいい走りをしてくれたと思います」




〇全体を通して(1月3日取材)

──2日間を振り返って。

「往路の流れというのは非常に大事だなとは思いましたね。具体的に言うと、やっぱ1区がもう少し流れてくれれば、マイナがもう少しいい位置で走れたんじゃないかなっていうのはあります。3区の上山は非常に頑張ってくれて、シード権ラインと1分差というところまで来てくれましたけれども、やっぱり4区がちょっと遅れてしまいました。調子自体悪くなかったんですけど初出場というところで、硬さも出たのかなというので、次回大会出るときにはもう少し本来の力が発揮できればいいですね」


──総合17位となったが、往路の巻き返しという面ではどう感じたのか。

「片鱗は見れましたけどまだまだスピードというところに関して言えば、足りていないなって率直に思うので、次大会までに予選会からなんですけど、本戦を見据えた取り組みっていうのをもう少し増やしていかないといけないと思いました。去年に関しては予選会を突破するっていうことだけを思って取り組んできたので、それを達成できただけで年間の目標を達成率で言えば100点ですけど、予選会終わってから本選までの準備期間の短さをやっぱり感じていて、特殊区間の準備ですとか、単独走の準備っていうところは課題があると思います。個々の能力の引き上げっていうのは、伸びてるんですけれどもっと、もっと、早いスピードで伸ばしてかないと間に合わないというか、勝負ができなかったと思います」


──総合17位という結果に対しては前向きなのか。

「目標は達成してないので悔しい結果なんですけど、そういう復路で希望が見えました。過去3年間よりは戦えた部分もあったので、そこはちょっとポジティブに自分たちの中で表現しています。次も1分、各区間で伸ばせればその先が見えてくるので、そこは具体的なタイム目標として捉えていきたいですね」


──数多くの区間のタイムや総合タイムが専大記録となったが。

「タイムは今の時代ですし過去と比較できないんで、まず出て当然、むしろ他の区間も出ないといけなかったと思いますけど、本当に来年は全区間専大記録出していきたいと思いますね」


──特殊区間の5区の起用は福田(=福田達也、経営3、市立橘高)のままでいきたかった。

「正直、福田は12月入る前ぐらいから足がちょっと悪くて直前の2週間ぐらいからだいぶ上がってきてたのですけど、やっぱり2週間、10日前ぐらいですかね、足がようやく良くなったのが。その選手を駅伝本場でバンって使うっていうのは、ちょっと危険のリスクもあったんで、調子は良かったですし、適性もあるんですけど、使わなかったっていう形ですね。こちらとしては、使おうとすれば使えたとは思うんですけど、彼のキャリアというか、次の1年間も考えた時にこちらとしても怖いですし、チームとしても、そこのリスクはちょっとあったので、田口がかなり万全な調整をしてたので、初めての箱根駅伝で単独走っていうので、シチュエーション的には厳しくて練習は本当にできてたんですけど、ちょっと想定よりは、うまく走れなかったなっていう印象です」


──2年ぶりに車に乗って見てきた光景や指揮をとってみて感じたことは。

「車に乗って初めて3つぐらい抜いたり抜かれたりはあったので、そこは楽しかったです。楽しかったですし、なんか箱根駅伝をやってる感じはやっぱりありました。選手たちも本当に予選会見てた時よりも1人で単独で箱根駅伝を走っているのを車から見てて、嬉しかったですね。率直に。なんかこういう晴れ舞台に立たせてあげられたことに対しては非常に嬉しかったです」


──本選前の記者会見では選手に対し楽しんで走ってもらいたいという話があったが、目標のシード権獲得には及ばなかったものの、復路での巻き返しがありゴールした後は選手たちの笑顔が見られた。それを見てどう感じたか。

「なかなか複雑な質問ですね。楽しかったんだろうなと思いましたね。シードは目標にしてたけれど、結果的に20番が続いて順位が上がったので、『良かった良かった』っていう安心感というか。走った選手たちは結構手応え、特に復路を走った選手は手応えあったと思うので、楽しかったと思うんですよね。ただ、私としては楽しそうにしてるの見ててよかったって思う反面、そこでそういう楽しみをしていたらいけないんじゃないかなっていう思いもやっぱりあって、『安心した、良かった』っていう意見が結構多かったので、そこは自分の中では、結果をシビアにこう求めなくちゃいけない姿勢っていうのは、忘れないようにしておかないといけないし、選手にも持ってもらいたいなと思いましたね。今日は終わってすぐなのでそういう話はしてないんですけど、新チームが動いた時にやっぱりそういったところは本当に真剣に求めないと、反省が行動に移らなくなってしまう。もう良かったで終わんないようにしたいなと思います」


──来年以降、駅伝に出場してシード権を獲得するために必要なことは。

「フィジカル的なところと、その思いという気持ちのところ、どっちもだと思っています。フィジカル的なところで言うと、個人個人が具体的にもっとこう上げるにはっていうところを考えて、トレーナーさんとかと本当に年間かけて取り組む。それを皆とやる。練習もそうですけど、そういうウェイトとかフィジカル系のトレーニングがまだまだ足りてないところは選手自身も感じたと思います。そういうのは、切れ目なくというか予選会とか本選までやり続けるっていうそこがもうフィジカル的な課題です。あとはその気持ちの面で、箱根駅伝の当日ってところに関しては、準備期間が足りなかったと思うので、本当に5区なら5区でタイムを出すためにはどうしたら良いのかみたいな思いを持ち続けて、練習をやるとか、後は日頃の練習への姿勢、向き合い方とかなんかそういったところがもう1段階上げてかないと、これまでの1年間通りにやってる人より多分30秒ぐらい前進するかもしれないですけど、シードってところを戻すとまだまだそういったところの、本当に本気で持ってかないとなかなか、行動に移していかないと変わんないと思います」


──今回の大会に出るのに1年間区切りがついた。来年に向けてた取り組みが始まるが。

「新体制を発表したので、キャプテン、主務も新しくなるので、新しいチームとして新しいカラーを出していきたいですし、より良いものになるようにちょっとずつはそういう他の経験しているチームとしてメンバーもそうですけど、マネージャーもなってきてるので意識は上がっているので、それをより良いものにやっぱりしていかないといけないですね」


──来季に向けた意気込みは。

「この間、1月1日にも全体にも言ったのですけど、まず春先、インカレがあるので、インカレの標準記録を突破する、3人ずつ長距離種目突破するっていうのと、1種目で入賞者を出すっていうこと。6月の全日本大学駅伝の選考を突破っていうところですね。後は、予選会はまだ選手の目標聞いてないんですけど、私としては3位以内の順位っていうのはマストにしていきたいなと思っています。それを踏まえての本戦ですよね。本戦はやっぱシードってところを見て、1年間取り組まないとっていうのがいいなと思います」




取材=河上明来海(文4)、君嶋悠樹(経済1)、門前咲良(文2)