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2025.01.04
陸上競技

【陸上競技部】 意地の巻き返しで復路16位  第101回箱根駅伝

<第101回東京箱根間往復大学駅伝競走・復路 =2025年1月3日 神奈川・芦ノ湖~東京・大手町 5区間  109.6キロ>


  専大が20位に終わった往路から意地の巻き返しをみせ、復路16位・5時間32分03でフィニッシュした。全区間で15番手以内をマークし、着実に順位を押し上げた。

   芦ノ湖で一斉スタートなった復路は先陣を切った6区の丹柊太郎(人間科学2・松山商業高)が区間14位と勢い付けると、7区の具志堅一斗(経営2・コザ高)も区間13位の力走を披露し、19位に浮上。続く8区で犬塚知宏(文3・美濃加茂高)が18位の大東大に15秒差まで詰め寄ると、大田和一斗(文4・東農大二高)が出走した9区の15キロ付近で18位になった。さらに最終の10区でアンカーを担った藁科健斗(経営3・横浜高)が1つ順位を押し上げ、結果的に総合17位・11時間8分53秒で深緑とえんじ色の襷のリレーを終えた。

 ▲10区のフィニッシュ地点。アンカーの藁科健斗 駅伝主将(経営3・横浜高)が往復217.1キロの襷リレーを締めくくった


 厳しい現実を突きつけられた往路の悔しさを、復路のランナーたちの力走で晴らしてみせた。

 山下りの6区を任された丹は「(往路終了後、)終わったことは仕方ないので、自分が仕切り直してしっかり復路で勢いをつけて、最下位はなんとか脱却したいなと思っていた」と意気込んで出走。芦の湯までの上りをポイントと定めていた5キロ地点では区間3位と圧巻の通過タイムを記録したが、得意としていた下りで「腰とかお腹に来てしまってぐらぐらしてしまった」とやや失速した。終盤、無酸素状態になりながらも必死に食らいついて大東文化大と並走を続け、区間14位の59分36でフィニッシュ。「15番以内に抑えられたので、初めてにしては良かった」と安堵の表情を浮かべた。指揮を執った長谷川淳監督も「勇気ある走りを見せてくれた。前の走者が見えるところで襷を繋いでくれたのが良かった」と高く評価した。

 ▲6区の丹は一斉スタートとなった芦ノ湖から1時間切りで駆け下った


 丹の力走に続きたい7区では当日変更で具志堅が出走。「6区の丹がどこかの大学と一緒にくるだろうと思っていて実際そうなった。監督にも『前後に人がいたらしっかりその選手と一緒に走って前にいこう』と言われていた」と大東大、関東学生連合の2選手を追う形でスタートした。5キロまでは余裕を維持していたが、「正直、後半まで持つか全然自信はなかった」と振り返る。それでも突っ込んでペースを落とさずに走り抜け、「昨夏やってきた距離を踏むっていうのが生き(たと思っている。)きつくなってからもしっかり粘れて、監督がいう『突っ込んで耐える』っていうのはある程度できたかなと思う」と胸を張った。中盤で耐えた2年生は、後半でスパートをかけて残り2キロ付近で神奈川大を抜くこと、同時に小田原中継所で2分32秒差あった19位の日大を上回ることに成功。「チームで駅伝をしているっていう中では自分の仕事を1つできたのかなと思う」と充実感溢れる表情で振り返った。結果的に1時間4分26・区間13位で平塚中継所に飛び込み、チームに大きく貢献する走りを披露した。

 入学から着実に力を伸ばしている島人ランナーは「箱根駅伝で沖縄県のランナーっていうのを(メディアなどに)取り上げられるくらいしっかりとタイムを出していけたら」と沖縄代表として意気込んだ。

 ▲最後の2キロで神奈川大(奥)を抜き去った具志堅。19位に押し上げる走りでチームに大きく貢献した



 順位を1つアップさせた中で、8区は犬塚が箱根デビュー。出走メンバーが決まる直前の合宿ではチーム屈指の状態の良さをキープしていた。

 首脳陣と話し合い、「最初は突っ込まずに、あえて抑えて後半の坂からしっかりと上げていく」というプランを企ててスタート。3キロ付近で関東学生連合に抜かれたが、「その時、彼(連合の選手)は区間1,2番くらいの走りだと監督から言われたので、自分のペースでいこうと思った」と焦らない。その後も単独走ながら良好なペースを維持し、「最初抑えてイーブンで行けたのはすごく良かったと思っている」と振り返った。結果的に区間15位・1時間6分15で戸塚中継所へ襷リレー。「本当に出し切ったレースだったと思う」と充実感を露わにするも、自己採点は60点と辛めで「最後の坂というところがかなりきつくて、順位もタイムもうまく追えなかった」と反省も忘れなかった。ロード種目に長ける3年生は来季に最終学年を迎え、「チャレンジできるのであれば雪辱を果たしたい」と語った。

 ▲単独走が長く続いたが、しっかり自分のペースで走り区間15位。18位との差を大きく縮めた

 ▲15キロの給水係は部のOB・中山敦貴さん(令和5・経営卒)が担当。犬塚が依頼したという



 犬塚の粘りの走りで18位との差を15秒に縮めた専大。最初で最後の箱根路となる大田和は最長距離となる9区に出走した。下り坂が続く5キロまでは「プラン通りで良いリズムを掴めた」と話すも、10キロの権太坂の登りからペースダウンに。後ろから来た神奈川大に追いつかれたが、「良いリズムをもらった」とそこから約10キロまで並走を続けた。すると横浜駅前の14.5キロ地点で18位の大東文化大を上回るタイムをマークし浮上。ラスト3キロで神奈川大に離されたが必死に脚を運び、区間15番手・1時間10分36の専大記録でフィニッシュした。4年生は「(点数は)30点くらいかなと…。最後だとしても、結果にこだわって走っていた。区間10番以内で69分台を目指していたので、届かなかったってところでやっぱり悔しさが大きいかな」とストイックな性格は変わらず、厳しく振り返った。

 それでも待ち焦がれた夢の舞台を「格別だった」と回想。「神奈川大の選手と並走してた時も、足音が聞こえないぐらいの歓声に包まれて。きつかったけど、幸せな70分だった」と率直に語った。故障を繰り返すも必死にもがき続けた4年間に終止符を打った大田和。実は今回も左足を疲労骨折したままでの出走となり、監督も「今のコンディションで言えば100点の走りをしてくれた」と労いの言葉を贈った。

▲出走10人の中で唯一、4年生として走った大田和。最初で最後の憧れの舞台で競技人生を終えた

 

 往復およそ200キロの箱根駅伝を締めくくる10区には藁科駅伝主将が出走。「とりあえず前にいる神奈川大と関東学生連合に追いつこうと思っていた。一気に詰めるんじゃなくて、自分のペースで行こうと思っていた」と単独走になるもイーブンペースで押していくと、4キロ付近で神奈川大に追いつき並走。ペースでは藁科が上回っており、引っ張る形になった。「タイムよりもとにかく前を追う意識だった」と吹き付けるビル風に立ち向かい、腕を振り続けた。すると鶴見中継所では2分41秒差あった17位と差がみるみる近づく展開に。ついにフィニッシュまで残り約3キロのポイントで17位に押し上げ、そのまま大きく崩すことなくゴールテープを切ってみせた。区間14位の1時間11分10・専大記録を25秒も更新する走りを披露し、「きつかったけど、楽しかった」と率直に話した。

 ▲2分41秒もの差があった17位を越すタイムで走り切った藁科。「とにかく応援がずっと絶え間なくてすごかった」と大舞台に胸を躍らせて走っていた


 昨年の予選会で敗退を喫し、テレビで100回大会を観戦。「自分、何やってんだろうな…」と悔しさが溢れていた舞台に今回は自らが出走を果たし、「とにかく応援がすごくて23キロ絶え間なかった。きついところで『専修頑張れ』とかの声があったので、また頑張ろうとパワーをもらえた。本当に夢の中を走っているような感じだった」と感慨深く語った。昨夏の合宿から駅伝主将を担った3年生が最終区間で見事に順位を上げ、チームを引っ張った。

▲10キロ地点の給水係は主将の千代島宗汰(文4・鳥栖工高)(右)が担当。主将どうしのやり取りは忘れられないひとときとなり、千代島からは『大手町で待ってるから』と声をかけられた。


 結果的に復路では16位、総合17番目で72回目の箱根路を走り切った専大。長谷川監督は復路単体を「(巻き返しで)片りんは見れましたけど、まだまだスピードというところに関して言えば足りていないなって率直に思う」と振り返り、更なるレベルアップを誓った。続けて総合17位に対しては「(シード権獲得の)目標は達成してないので悔しい結果」と捉えつつ、「復路で希望が見えたというか、過去3年間よりは戦えた部分もあったので。次大会で1分さらにそれ以上、各区間で伸ばせればその先が見えてくるので、そこは具体的なタイム目標としていきたい」と手ごたえのある様子も見せた。

 ▲復路レース後に行われた報告会での長谷川監督


 往路では3大会連続最下位と悔しい結果に終わったが、翌日の復路で気持ちを入れ替え5人のランナーが力走。3つの順位アップと見事に巻き返しを果たし、来季へ希望の光を灯すこととなった。



〈第101回東京箱根間往復大学駅伝競走・復路結果〉

6区 丹柊太郎   59分36秒    区間14位

7区 具志堅一斗 1時間4分26秒   区間13位

8区 犬塚知宏  1時間6分15秒  区間15位 *専大記録

9区 大田和一斗 1時間10分36秒  区間15位 *専大記録

10区 藁科健斗  1時間11分10秒  区間14位 *専大記録


復路16位・5時間32分03秒 *専大記録

総合17位・11時間8分53秒 *専大記録




文=河上明来海(文4)

写真=河上、竹田一爽(文3)、北原倖多(文3)、髙野葵葉(文3)、山中美琴(文2)、君嶋悠樹(経済1)、米山初佳(文1)


*総合結果の記事は別に掲載予定。