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2025.01.03
陸上競技

【陸上競技部】歯車かみ合わず往路20位 第101回箱根駅伝

<第101回東京箱根間往復大学駅伝競走・往路=2025年1月2日 東京・大手町~神奈川・芦ノ湖 5区間 107.5キロ>

 2年ぶり72回目の箱根駅伝出場となった専大は、往路に箱根予選会で専大勢トップスリーとなった主軸3人を投入し、勝負に出た。1区の新井友裕(文3・浦和実業高)はレース序盤こそ順調に進めたものの、六郷橋付近で失速して19位で襷リレー。続く花の2区はケニア人ルーキーのダンカンマイナ(商1・専大熊本高)が4人を抜き、15位に押し上げた。3区は当日変更で上山詩樹(経済2・敦賀気比高)を起用して15位を維持するが、以降は4区の手塚太一(経営3・那須拓陽高)、5区の田口萩太(文1・東京高)が波に乗り切れずに苦しい展開に。歯車が上手くかみ合わず、最終的には総合20位でフィニッシュした。

▲3区で区間12位と奮闘した上山


 1区はエントリーメンバーで唯一の箱根駅伝経験者、新井が起用された。午前8時、21人が一斉にスタートすると、最初のカーブは新井がトップに躍り出た。その後は、中大の吉居駿恭選手を先頭にレースが展開。新井は第2集団に付けていたが、「あと3、4人が付いていたら(前へ)行こうかなと思った。自信がなくて不安になり、後ろの方に自主的に下がってしまった」と振り返った。終盤の六郷橋付近で神大の選手とともに集団から遅れを取る形となり、結果的に19位で襷をつないだ。3年生エースは「自分が1桁には行きたいなと思っていたので、期待されていた分あまり良い結果と言えなかった」と語った。

 長谷川淳監督は「(新井は)逆に体が軽すぎたのか、普段あんまりやらないような出入りのある動きをしたりとかで、足を使ってしまっていた」と失速の原因を分析した。

▲スタート付近で先頭に躍り出た新井


 花の2区を任されたのは、エースのマイナ。1年生ながら5000mとハーフマラソンの専大記録を持つケニア人ランナーは19位で襷を受け取ると、序盤は耐えるレースに。それでも、15km付近で前方の大学を捉えて順位を1つ上げ、そこからさらに3人を抜き去って戸塚中継所に15位で襷をつないだ。区間13位の力走を見せたマイナは、1時間07分29をマークして第83回大会で座間紅弥さん(平20・商卒)が記録した専大記録を更新した。

 単独走が長くなったマイナに対して長谷川監督は、「1人で走っちゃうと自分が良いのか悪いのかもわからないので、彼の潜在能力を引き出せないポジションを走らせてしまった」と話し、マイナも「難しいレースだった」と初めての箱根駅伝で本領発揮とはならなかった。

▲5km付近のマイナ

▲長谷川監督は「日本人集団の速い選手たちのところにいれば、マイナはそれが当たり前だと思って付いていくので」と1区の出遅れを悔やんだ


 3区は箱根予選会で力走を見せた和田晴之(経営2・三浦学苑高)がエントリーされていたが、当日変更で上山が出走。「前半突っ込んで後半粘るレースを心掛けた」と言うように7.6km地点では他大学の選手と並走し、13位に浮上する。18.1km地点の湘南大橋では、順大と大東大と集団を形成するが、最終的には15番手での襷リレーとなった。上山は自身の走りを「良いレースができた反面、課題もたくさんあった。結局、耐えただけであってゲームチェンジができず、後半区間の選手に苦しい走りを強いてしまった」と悔やんだが、区間12位の走りで3区の専大記録を塗り替えた。

▲藤沢橋付近で並走する上山

 「肺気胸になってしまった」という上山は箱根予選会以降、記録会などには出場していなかったが、本選出場に向けて調整を続けてきた。「メンタル的にきつい時期だった」と振り返り、「同期、スタッフの方々、家族に支えられて本選に出られた。感謝しかないし、もう少し良い走りをして恩返ししたかった」と話した。

 意地の走りを見せ、平塚中継所でシード権の10位帝京大と約1分差で襷をつないだ上山を「100点ではないが、70点というか、良いシチュエーションでは来てくれた」と指揮官は評価した。

▲前方の順大、大東大を追った湘南大橋付近


 4区は第99回大会でエントリーメンバーに名を連ねていた手塚が大西裕翔(文2・京都外大西高)に代わって初出場を果たした。長谷川監督が『耐える区間』としてキーポイントに挙げていた区間だったが、手塚の調子が上向かずに8.9km地点で順位を3つ落として18位と苦しい展開。終盤は少し持ち直し17位とのタイム差を縮めたが、順位は動かずに小田原中継所を迎えた。

 手塚は「日体大と東洋大が後ろから来ていて抜かされていく中で、付いていけないというところの焦りでずるずる行ってしまった」と振り返り、「楽しんで走ろうと思っていたが、自分にとっては結構苦しい、辞めたくなるような1時間だった」と心境を吐露した。

▲「箱根駅伝初出場というプレッシャーなのか緊張なのか、全然体が動いてないなって思っていた」(長谷川監督)


 5区は山登り候補だった福田達也(経営3・市立橘高)の起用が見込まれていたが、当日変更で5区出走を本来予定していなかった田口が、調子の良さを買われて走ることに。「体の調子自体は悪くなかったが、想像以上にきつかった」と標高差約800mのコースに手を焼いた。

 18位で襷を託された小田原中継所時点では、20位の神大とは1分30秒の差があった。しかし、「5km(の時点)で登り切れるのかというくらいきつくなっちゃって」と話すようにタイムをみるみるうちに縮められて11.7kmの小涌園前では20位に転落した。そこからは苦しい単独走に終始したが、諦めることなく、必死に食らいついて襷を芦ノ湖まで届けた。ゴール後は倒れ込み、1区を走った新井らに抱えられて初めての箱根路を終えた。

▲必死に坂へと食らいついた田口


 3日の復路は専大を含めてトップの青学大と10分以上差がついた7チームが8時10分からの一斉スタートとなる。

 長谷川監督は往路を振り返り、「1区の出遅れが2区に響いた。3区はしっかり上山がある程度戻して走ってくれたが、4区は上手くいかず、1年生の田口に負担が来てしまった」と話した。復路に向けては「一斉スタートは6チーム(OP参加含めず)あるので、そこでたたき合いで勝ち切って、専大記録の近くまで行ってほしい」と出走メンバーに期待を寄せた。

▲運営管理車から選手を見つめる長谷川監督

▲「ペースを押していく選手がいる」と話す6区と9区を復路のポイントに挙げた


 箱根予選会を望外の2位で通過し、18年ぶりのシード権獲得を狙ったが、またしても本選では苦戦を強いられた専大。第97回から第99回大会までの3大会はいずれも総合20位に終わっただけに、3日の復路は1つでも順位を上げて底力を見せたいところだ。仲間が待つフィニッシュ地点の東京・大手町を目指し、えんじと深緑の襷をつないでいく。



〈第101回東京箱根間往復大学駅伝競走・往路結果〉

1区 新井友裕     1時間03分32秒 区間19位

2区 ダンカンマイナ  1時間07分29秒 区間13位  *専大記録

3区 上山詩樹     1時間03分10秒 区間12位  *専大記録

4区 手塚太一     1時間04分51秒 区間19位

5区 田口萩太     1時間17分48秒 区間20位


総合20位 5時間36分50秒



文=竹田一爽(文3)

写真=河上明来海(文4)、北原倖多(文3)、髙野葵葉(文3)、竹田、山中美琴(文2)、君嶋悠樹(経済1)、米山初佳(文1)