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<秋季リーグBIG8・2部入替戦=12月21日 アミノバイタルフィールド 14専大-帝京大16>
最短での1部昇格ならず、主将の嶋影「悔いは残っています」
わずか2点差だった。BIG8昇格の夢は惜敗に終わる。両者譲らぬ接戦は、帝京大に軍配が上がった。
前半は優位に立っていた。第1Qに先制のフィールドゴールを許したが、1stダウン獲得まで残り12yd地点から#17佐藤颯眞(人間3・川崎市立橘高)のタッチダウンが飛び出す。敵の追走もあったが、エンドゾーンへ投じられたロングパスを透かさず掴んで逆転した。
▲佐藤のダッチダウンは、会心だった。
続けてビッグプレーも炸裂した。再びオフェンスに戻るとリターン直後、5yd前進してからは一瞬だった。#10谷口偉大(商3・堀越高)からパスを受けた#26武田天(商1・駒場学園高)が独走状態に。みるみるうちに駆け抜けて、タッチダウンラン。武田は喜びのあまり、Hゴール前で万歳をしながら走り回る。この他にも、すべてのトライフォーポイントを獲得していた。
▲武田の快走は、チームを一段と盛り上げた。
だが第2Qは相手も黙ってはいない。専大自慢のブロックで敵の猛攻を防ぐも、徐々に前進される。二度のフィールドゴールを与え、追加点を奪われた。
ゆっくりと敵の影が迫ってくる。
後半に突入すると、勝負の明暗が分かれた。帝京大の反撃を受ける。これが67ydのタッチダウンランだった。第3Q開始から少しして、左サイドの隙を突かれたのだ。痛恨にもロングランを許した。それから決められたトライフォーポイントは、決勝点となった。
GREENMACHINEの奮闘は、あと一歩届かず。4年生の引退とともに、悔し涙がこぼれた。
▲整列直後のメンバーの様子は静まり返っていた。
昨シーズンの冬から主将としてチームを引っ張ってきた#44嶋影晟仁朗(法4・浦和学院高)の声は震えている。「とにかく不甲斐ない」と何度も唇を噛んだ。「ディフェンスが16点取られるのは、あってはいけない。うちのチームはディフェンスが止めてロースコアで勝つチーム。ひとりひとりの役割がしっかり守り切れなかった」と敗因に向き合う嶋影。最後まで厳しい目線で試合を振り返った。
今年の代は期待されてきた分、現状とのギャップは大きかった。「自分たちの代は勝てるだろうと1年生の時からずっと思っていた。輝かしい終わり方をするイメージでやってきたので、すごく落胆している」と大きく肩を落とす。
嶋影自身にはプレイヤーとして苦しい時期もあった。「3月の調子良い時に怪我をしてしまった」。その時からチーム作りの強化に励んできた。しかし「2部に慣れてチームが気づかないうちに弱体化していた」。
もう後輩たちには同じ思いをしてもらいたくはない。「しっかり払拭して取り組んでもらいたい」と冷静な顔つきだった。最後にひとつ間を挟んでから「悔いは残っています。とても」と言ってフィールドを去った。
▲この日で引退した4年生は、後輩たちにBIG8昇格を託す。右端が嶋影主将。右から2番目が後藤副主将。
昨年から副キャプテンを務めてきた#2後藤僚汰(法4・舞岡高)も心残りを口にした。「去年は4年生と一緒にチームをまとめるところで、先輩に任せてしまった部分があった。その分、この一年間では気持ちを入れ替えて取り組んできたが、自分の気の甘さがあった」。だからこそ次の代には一段と気持ちがこもる。「一つに懸ける思いを、もっと来年は高めてくれれば、絶対勝てる」と励ましの言葉を残した。
微々たる力の差は、大きな壁となって立ちはだかっている。それでも来シーズンには、BIG8へと返り咲くことのみを目指す。GREENMACHINEの挑戦は、次の秋までお預けだ。
文=小山明香(文3)
写真=竹田一爽(文3)