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2024.11.18
陸上競技

【陸上競技部】予選会後初のハーフマラソン 新入生は及第点もチームとして課題

〈第37回2024上尾シティハーフマラソン 11月17日 =上尾運動公園陸上競技場~上尾市内折り返し〉


 予選会突破からおよそ1ヶ月、上尾市で行われた上尾シティハーフマラソンに8名が出走。1年生4名が初ハーフにて及第点の結果をマークしたほか、主将の千代島宗汰(文4・鳥栖工高)が1年8か月ぶりに公のレースに出走を果たすも出走者の全体的なタイムに課題が残る結果となった。

▲序盤の3キロ辺り。上尾市内を3人の専大ランナーが駆ける



「主将として絶対最後まで走り切る」  キャプテン千代島が2年半ぶりの公式レース

▲公式のレースが2年半ぶりとなった主将の千代島


 長い時を経て返ってきた主将が、苦しくも意地で21キロを走り切った。千代島宗汰(文4・鳥栖工高)が2023年3月に行われた日本学生ハーフ以来の公式レースに出走。自己記録には遠く及ばなかったものの、悲鳴を上げる身体と闘いながら完走を果たした。「今まで走ったハーフで一番苦しくて痛くて長いレースで…。2倍くらいあるんじゃないかなって感じ…」と苦笑いをしながら2年半ぶりの21キロを振り返った。

夏合宿の辺りから長い故障からの復活を遂げて練習を再開させていた主将だが、今レース数日前の練習で再び脚を痛めた。「1番大きなポイント練習で肉離れと疲労骨折をしてしまって。さらに他のところを痛めて3日前に3000mで刺激を入れたんですけど、もう歩けなくなってしまって…」。今日の朝まで棄権するつもりだったと言うが、首脳陣からの声かけや仲間の存在が出走を後押しした。「監督やコーチから『走りで感動を与える、結果だけが全てではない』って教えてもらったので。やっぱりそこは主将として、見に来てくれる人のためにも、脚を引きずってでも、どんなに遅くても、絶対に途中棄権はしないと誓った」と確固たる覚悟をもって臨み、走り抜いた。

▲かなり苦しいレースになったが必ず走り切るという揺るぎない覚悟があった


 身体は追い込まれている状態になっているのが現実だが、主将は箱根路へのメンバー争いに鼻息を荒くしている。今レースは「ほぼ2年間レースに出てない分、チャレンジャーっていう意味でも、ハーフの実績を取り戻すって意味でもタイムをしっかり出す」というのが本来の狙いだった。身体の状態からして“完走”が目標になってしまっていたが「タイムを追いたかったっていうのは正直ある」と悔しさも忘れていない。メンバー決定まで残り1か月、本番まで1か月半とリミットは日に日に近づくが、千代島の想いがぶれることはない。「1パーセントでも自分に希望があるのであれば、やっぱりそこは全力で掴み取らないとなって思っているので。厳しいからといって諦めるのではなく、厳しいからこそ立ち向かっていく姿勢っていうのが、やっぱり主将としての役目なのかなと思っているので、そこはもう貪欲にまだまだ狙っていきたい」。最後の最後まで諦めない強い気持ちを胸に、主将としての覚悟を露わにした。

▲箱根路に向けて気持ちは一瞬も切らさない


中西が堂々のチーム2番手  力走披露も悔しさ

▲チーム2着だったルーキーの中西


 中西慶士郎(経営1・比叡山高)は初のハーフマラソンながら、チーム2番手の65分6秒でフィニッシュ。堂々の結果となったが「タイム的に納得がいってなくて悔しさの方が大きいです」と淡々と振り返った。具体的な目標として63分台や64分台1ケタを狙っていたといい、「今日の状態的にもそれくらいは出せるんじゃないかと思っていたので」と悔しさを露わにした。悔やまれるのは前半部分で「初めの5キロくらいで、突っ込みたかった。そこで貯金ができれば、最後に垂れなかったと思う」と話した。初の21キロに対してポイントは”前半の入りと中盤の粘り”と学び、今後に活かしていく。

ただ今回の記録でダンカンマイナ(商1・専大熊本高)を除いて同級生トップのハーフタイムをマークした中西。入学時からライバル視する佐藤恵伍(文1・自由ヶ丘高)などに勝ったことには「学年トップになったのは正直嬉しかった」と安堵した。トラック種目よりもロードレースを得意とする1年生は「景色が変わるし、応援もあって力になる。それに長い距離だと1キロ3分前後のペースで押していけて、余裕をもっていきやすい」と強みを分析する。

▲ロードは得意と話し、今後さらに経験を積む

 夏合宿の大半をAチームで過ごし、ハイレベルな環境にもまれつつも勝負していける自信を身に着けた上半期。入学当時の”4年間賭けて箱根に出られる選手になる”という目標を改め、翌月に迫った本選のエントリーメンバー入りを狙っている。「今日の結果では全然アピールになってない」。今月末に行われる日体大記録会に標準を定め「専大の選手に勝って、10000mで29分台1ケタや28分台をしっかり出していかないと」と気持ちを込めた。

 



水津智哉(経済1・今治北高)、初ハーフマラソンで成長の手応え

▲初のハーフマラソンに出場した水津

 1年の水津にとって初めてのハーフマラソンに挑戦し、自身の成長を実感する大会となった。今回のレースは、11月とは思えぬ暑さの厳しい条件下で行われ、65分9秒でゴールした。水津は冷静に自己の走りを振り返り、今後への課題と可能性を見出した。

 「タイム的には予想以上でしたが、まだまだ満足できるレベルではない」と水津は語る。特に10〜15キロの区間でラップタイムが最も遅くなったことを反省点として挙げ、この部分を改善すれば63分台も見えてくると手応えを感じている。

 夏合宿では、ハーフマラソンに似た練習を重ねる中で、これまで13〜14キロ地点で失速していた課題を克服できたことが大きな収穫だったという。

 レース後半は気温が高く苦しい展開となった。「後半から汗の量が増え、給水が取れなかったので非常に厳しかった」と振り返る。挑戦する姿勢を崩さず、最後まで粘り強く走り抜いた。

▲苦しい展開中の中、懸命に走る

 今後は箱根駅伝メンバー入りに向け「法政大の先輩と同じ区間で走れるようになりたい」と目標を掲げている。1年生ランナーの成長と可能性を感じさせる今回の初ハーフマラソンは、水津にとって大きなステップとなった。彼のこれからの活躍に期待が高まる。



佐藤恵伍(文1・自由ヶ丘高)、課題が浮き彫りとなった自身初のハーフマラソン

  

▲好調なスタートを切った佐藤

 箱根駅伝本選メンバー選出をかけ闘志を燃やす佐藤も出走した。63分台のゴールを目指した佐藤であったが、目標及ばず65分38秒の127着でレースを終えた。

 初めてのハーフマラソンに挑んだ佐藤はレースを振り返り、「あまり甘いもんじゃない」と悔しさを滲ませた。「比較的アップダウンの少ないコースで走りやすいコースだった。後半に少し日が出てきたが暑さには抵抗があまりないので、天候関係なく自分の実力不足が出たレースであった」と明かしハーフマラソンの厳しさを突きつけられた。

 レース展開に対して佐藤は、「レース序盤はいいペースで走れていたが後半の10キロで大失速してしまった」と課題を明らかにした。「そこ(後半の走り)をどうしていくかで本選メンバーに入れるかどうかが変わってくるので、あまり時間はないがしっかり仕上げていきたい」と落ち着いた口調で語りながらも、その瞳には燃えるような闘志が宿っていた。

 1年生ながら箱根駅伝予選会エントリーメンバーに選出された佐藤だが、予選会のメンバーに外れた同級生よりもタイムが劣っていたことに責任を感じ、「勝たなければいけない部分でも勝ちきれていないというのはメンタルの部分でも弱さが出た」と無念さを噛みしめた。今回のレースで課題を明確にした1年生は、箱根駅伝本選メンバー選出のために練習に励む。



犬塚知宏(文3・美濃加茂高)がチームトップでゴール

▲半年ぶりの公式レース出場となった犬塚

 チームトップの64分53秒でゴールした犬塚はレースを振り返り、「10キロ通過をいつもは30分半で入るところを29分台で通過しチャレンジしたレースとなった。15〜20キロのところで暑さもあり坂道でだれてしまった。中盤だれないように気をつけて練習をしてきたがやはり中盤以降がうまくいかず今回のような結果になってしまった。チーム1番手ではあるが、過信せず他の誰にも負けないように今後も精進していきたい」と語った。

 5月に行われた関東学生陸上競技対校選手権大会(以下関東インカレ)以来のレースとなった犬塚。半年のブランクの要因を「関東インカレの時に疲労骨折をしながら走り、無理した結果夏休みまで走れていなかった。夏休み直前に練習を再開し、そこからどんどん上げてはいたが夏合宿を終えたところでまた骨折してしまった」と半年で2度の疲労骨折があったことを明かした。1ヶ月の練習で自己ベストに迫る走りを見せ「怪我明けの割にはうまく走れた」と手応えを見せた。「1年生の時も半年怪我して2年生の時も半年怪我していて。3年生でも半年怪我しているのでここからは絶対怪我しないぞっていう思いで頑張っていきたい」と自らを奮い立たせた。




メンバー選考に向け「なんともいえない状況になった」 長谷川淳監督・レース後談話

レース後、長谷川淳監督は「1年生は初ハーフってことで、感覚もわからない中でタイム的にもこの暑さで言えば、80%ぐらい出せたのかな」とルーキーたちの走りを及第点と評価しつつ、 2年生以上のメンバーについては「箱根のメンバー入りを狙っている中では1年生にもやられているし、ちょっともったいなかったなと思う」と物足りなさを明かした。12月半ばに本選エントリーを控えるなか、今回の上尾ハーフと月末の記録会が選考におけるポイントとなっていた。「基本的には予選会メンバー中心の16名にはなると思うが、 今回ここから2つのレースでその16人のとこに飛び込んでくる選手を出したいなと思っていたが、ちょっと今日の内容だけだとなんとも言えない状況になった」と表情を曇らせた。レース前に選手たちには63分台を目安にするとは言っていたというが、結果的にトップでフィニッシュした犬塚知宏(文3・美濃加茂高)でさえ64分台となり、「この(暑さと)日差しを考えれば63分台はかなり難しくなったかもしれないが、64分台ないし64分半くらいでみんなが来てくれればよかったかなと思う」と奮起を促した。




文=河上 明来海(文4)、冨田心暖(ネット2)、中島胡春(ネット2)  

写真=河上、冨田、中島