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〈第90回全日本大学総合卓球選手権大会 10月28日〜10月31日 =埼玉県所沢市民体育館〉
4年生にとってラストの個人戦となる第90回全日本大学総合卓球選手権大会が所沢市民体育館で開催された。女子主将の出澤杏佳(文4・大成女子高)は、シングルスで2年連続での優勝、首藤成美(文1・希望が丘高)とペアを組んだダブルスでは3位入賞を果たした。また、男子主将の野田颯太(文4・育英高)が単複ともにベスト8に輝き、自己記録を更新した。
出澤がシングルス2連覇 ダブルスでは3位に輝く
▲3位に輝いた出澤(右)、首藤(左)ペア
ルーキー首藤とのダブルスでは3位に輝いた出澤。6月に行われた関東学生卓球選手権大会(以下関東大会)で優勝を果たした2人は追われる立場で今大会に出場した。セットを取られることはあってもその後すぐに修正し、関東大会から止まらぬ勢いで準決勝に進出。しかし迎えた準決勝では2セット先取するもその後3セット取り返され、逆転負けを喫した。出澤は「2対0から挽回されてしまい、悔しい負け方をしてしまった」と悔しさを滲ませた。ダブルスの試合の後にシングルスを控えているため、「ダブルスで負けたことは悔しいが反省はして、気持ち的には引きずらないようして臨めた」と気持ちを切り替えたことを語った。
▲シングルス2連覇を果たした出澤
「大学最後の試合となるのでしっかり気持ちを入れて戦えた」と振り返り、大会3日目に行われたシングルス3、4回戦は、危なげなく勝ち進んだ。
「準決勝では、ダブルスの優勝者である木塚(陽菜)選手(神戸松蔭女子大)で勢いがあり率直に強かった。相手の勢いに飲まれそうになったが、自分自身を鼓舞して乗り越えた」と相手のプレーを賞賛した。
準決勝の勝利で、さらに勢いをつけた出澤は、昨年の決勝と同じ筑波大の青井さくら選手と対戦。この試合に勝てば優勝という張り詰めた状況でも冷静さを失わず4―2で勝利した。決勝を振り返り「相手は実力の高い選手であるので、(準決勝)同様挑戦者の気持ちで臨むことができた。決勝では相手を見ながら回転などの戦術を冷静に組み立てることができた。競った時に急がず冷静にゆっくりプレーできた」と勝因を明かした。
大会を振り返りエースは、「大会直前は技術面でやるべきことが明確になっておらず優勝するのは難しいと思っていた。しかし、優勝するというよりは一戦一戦チャレンジしようという挑戦者の気持ちで挑めた」と優勝の要因を語った。「精神面でも不安な部分が多い中、最後まで声をかけてくださった監督・コーチ陣やチームメイトには感謝している」といつでも謙虚な出澤は、最後の個人インカレも優勝し有終の美を飾った。
野田が単複ともにベスト8 自身最高記録を更新
▲野田(左)、木塚(右)ペアはベスト8入りを果たした
木塚陽斗(文1・明豊高)とペアを組んだダブルスでは、優勝ペアにフルセットまで持ち込むも、惜敗した4年生キャプテン。試合後、野田は「僕が最後まで引っ張ってあげられず、木塚には申し訳ない気持ちでいっぱいだが、1年間だけの短い間でも組んでくれたことは感謝しているし、なんとかランクに入れたことは嬉しく思う」と木塚を労った。
▲フルセットの激戦を制した野田
ラストイヤーの主将は、「自分の中では100パーセントの動きや実力が全部出せたかというと、全然そういうような感じがなく、思うようにいかなかった」とシングルスの3、4回戦を振り返った。どちらが勝ってもおかしくないシーソーゲームの試合展開であったが、そこを勝ちきれた要因として「守備でも点数を取れるようになったり、色々な戦術の切り替えができるようになったり、調子の悪い中で勝てるように練習してきた」と積み重ねた努力を証明した。
秋季リーグ後、ドイツで1ヶ月試合や練習を行ってきた野田。「ドイツでは良いプレーができていた」と武者修行で得た自信を滲ませた。成果を感じてはいたものの、海外選手と日本選手とのプレースタイルの違いやボールの違いに苦しめられた今大会であったことを明かした。
優勝を目指して練習を重ねた4年生であったが、準々決勝で日本大の伊藤礼博選手に敗戦し、ベスト8で大会に幕を閉じた。結果に対し「悔しい気持ちでいっぱいであるが、人生で初めて全国大会のシングルスでベスト8という結果を大学最後の4年目に残せたことは成長」と悔しさ残る大会であったが、その中で得た成果も語った。
野田は大会を総括し、「冷静に対応して勝ちきれたということは大きく自分の成長を感じた。悔しいが、とても次につながるいい経験ができた大会だったので、また次の大会に向けてコンディションを整えて万全な調子で臨みたいと」と今後の卓球人生を見据えた。
文=中島胡春(ネット2)、写真=君嶋悠樹(経済1)、田畑杏樹(文1)