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〈夏季強化合宿・2次=8月26日 黒姫高原〉
▲2次合宿で調整を進めている選抜メンバーたち
例年3回にわたって行われる夏季合宿は2次合宿に突入した。8月22日から長野県の黒姫高原を拠点に日々メニューを消化している。昨年10月に途絶えた4年連続の箱根駅伝出場。あの日味わった悔しさを忘れず、陸上競技部は最重要となる夏合宿の鍛錬に励んでいる。予選会に向かっていくチームの現状と今後の展望について、指揮を執る長谷川淳監督に密着インタビューを行った。
▲現在のチーム状況、予選会に向かっていく意気込みを話した長谷川淳監督
・前半戦を振り返って
チームは今季、予選会に照準を合わせて長い距離を踏むことに注力しており、新年から強度のある練習メニューを増量。3月の日本学生ハーフでは昨大会よりは手応えのある結果となり、5月の関東インカレでは2年生2人がハーフマラソンの部で強豪大学相手に健闘を見せるなど、少しずつ実を結ぶようになっていた。しかし本格的に本戦出場を狙った7月の全日本大学駅伝予選会では目標からほど遠い結果に。トラック種目とはいえチームに危機感を募らせる結果となった。そこから1か月で現在の夏合宿に入り、「出た(走った)選手たちは“自分がチームの中心・主力なのだ”っていう意識があるように見える。そこは練習にかなりプラスに働いている」と選手間で刺激し合う雰囲気が形成されたという。加えて、新年早々から取り組んできたハードワークの効果も実感しており、「(負担のかかりやすい練習が多い夏合宿で)例年だと負傷者が6,7人ほど出るが今年は少ない。脚へのダメージを少なく出来ているのかな」とロングランに耐えられる選手が増えた手応えを語った。
▲前半戦を振り返って監督が一目置いたのが具志堅一斗(経営2・コザ)。写真の関東インカレでは健闘する走りを見せ、その後も確実に練習を継続。今夏も高い意識で距離を積む姿が目立つ
・例年から変化した今合宿
今夏は昨年といくつかスタイルを変更して臨んでいると指揮官は語った。1つ目は新年から取り組んできた長距離への対策。距離を踏むメニューの本数を増やしたほか、本番に近い実践的な練習を取り入れて長い距離での後半に耐えられる持久力を養うことに重きを置いた。加えて1つは合宿のメンバー選抜。今年は2次の段階から例年より人数を絞り込み、水準を上げた。「今年は練習の強度やレベルを上げているので、それをできるメンバーにしたかった。(絞ったことで)“自分たちは選ばれている、(下位には)落ちられない”というような雰囲気がでてきているので、緊張感はプラスに働いているのかなと思う」と意図を明かした。メンバー内の雰囲気も練習に大きく作用する要素。より高い水準を設け、選ばれし者たちに絞り込んだ。
また、昨年同様にメンバーに下級生が多いのも特徴。特に1年生ルーキーたちがチームに刺激を与えている。ハイレベルな練習にもしっかりとついており、チーム内の上位層で力を発揮している。「例年なかなかない状況。ポジティブな要素だと思う」と上級生を突き上げる存在に手応えをにじませている。
▲今年の夏も下級生が多くメンバーに入り、特に1年生が力を発揮。写真は左から水津智哉(経済1・今治北高)、佐藤恵伍、文1・自由ヶ丘高) 、和田晴之(経営2・三浦学苑高)、中西慶士郎(経営1・比叡山)
・昨年感じたレベル差を埋めるための高水準
昨年の予選会は想像をはるかに上回る高速レースとなり、他大学と差を痛感。強い危機感を持ってより高いレベルを求めて今夏に臨んでいる専大。「去年はこの合宿でも気温の良い時間を選んで走ったりできる練習をやったりとある種守りに入った練習が多かった。やっぱり今年はタイムも順位も上げないといけないので、選手は大変だろうけど課している」と率直に今年に賭ける覚悟を明かした。当然ながらその自覚は選手たちからもうかがえると言い、「あっち(神奈川県)でやっている時よりも1次、2次とかなり良くなってきているな、競技に向き合う選手が増えてきているなという感じがするので良いと思う」と指揮官もうなずく。
▲ハードワークの練習にも選手たちは強い意識をもって臨んでいる
・最短で箱根路復帰へ
昨年悔しさを味わった予選会まで50日を切り、チームは3次合宿に入る。本番に向けて監督は「うちの主力たちは非常に力があるので、その選手たちが全員しっかり揃ってスタートラインに立つこと。あとは3次合宿で試合をイメージする、後半あげる練習をしっかり抑えていくこと。そこが非常に重要」と大切になるポイントを挙げた。さらに、本番までのキーピングも最重要課題。昨大会は体調や脚の状態が優れないまま数名が出走し、結果に響いた。当時を「合宿が終わって抵抗力が落ちて(体調を)崩した」と振り返った。全員が最高の状態で本番を迎えるべく、選手、スタッフ全員が意識して本番に備える。
そして、今大会の本戦出場枠は従来の10校。「他校も力はあるので自滅しないようにしないと。もちろん(他校の)分析はするが気にしていてもしょうがない。まずはしっかり自分たちのチームを仕上げるってことにフォーカスしてやりたいと思う。自分たちの力でしっかり通過を掴みたい」と重ねてきた練習の成果を出し切る意気だ。
▲自分たちの力で箱根路切符を掴み取りにいく
加えて、強度を上げた練習を重ねてきた今シーズンの成果をきっちり結果に出すことも重要視し、「2020年に(7年ぶりに予選会突破)通った時も今のようなかなりきつい・ハイレベルの練習をやっていた。けど、それがやれているのか(予選会)を通るところにきているのかわからない、不安が多いという選手がいる。だから今やっている練習の成果を本番に出して通過して、 “自分たちがやっていたことはすごい良かったな”っていう自信を持って次のステップにいかせたい」と強い想いを口にした。
▲(上)昨年の予選会後、肩を落とす選手たち。(提供=相川直輝さん)
▲あの悔しさを晴らす日まで残り50日。メンバー全員が万全の状態でスタートラインに立つ。
練習の水準を上げ、レベルも雰囲気も高い位置で調整を続けている専大陸上競技部。最短で箱根路へ返り咲くべく、最後の鍛錬に励む。
文=河上 明来海(文4) 写真=竹田一爽(文3)