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〈令和6年度春季・関東学生卓球リーグ戦 5月25日 代々木第2体育館 専大4-1早大〉
大混戦を勝ち抜いて、悲願のリーグ制覇を成し遂げた。専大は25日、最終戦で早大に4-1で勝利したのち、他大学の勝敗状況によって優勝が決定。2020年春季以来、5シーズンぶりに強豪ひしめく関東の頂点に立った。
▲試合終了直後。早大に2年ぶりに勝利し、笑顔のメンバー
2年間・4度の対戦で黒星を付けられ続けてきた難敵を破り、1位を手繰り寄せた。前日にライバル校の明大を下し、優勝の可能性を残して最終戦で早大と激突。先手を取られて出鼻をくじかれたが、それ以降は付け入る隙を与えず4-1で制し、長らく続いていた連敗をようやくストップ。勝利の舞台裏にはエース兼主将と大物ルーキーの存在が大きかった。
▲勝利に貢献した木塚(左)と野田
まずは1年生ながら全試合に抜擢されている木塚陽斗(文1・明豊高)。1-1で迎えた3番手に登場すると同じく早大の1年生櫻井選手と相見える。勢いのあるフォアハンドを次々と打ち込み、あっという間に2セットを奪取。次セットはフルゲームの末に惜しくも落としたが、「色々な打球が打てる」という強みで相手を翻弄し、最終セットを勝ち切った。これでルーキーながら全試合に出場してわずか1敗で初のリーグ戦を終えた木塚。先月出場した新人戦では優勝を果たしていた中、「まさか全部勝てるとは思ってなかった。とにかく相手に向かっていくだけ、“当たって砕けろ“っていう感じだった」と怖いもの知らずのメンタルが功を奏した。勝利を重ねる中で自信を深めたといい、「エースや格上とやれるのが楽しい。試合は注目の的になるのでうれしい」と堂々ぶりに振り返った。優勝に大きく貢献した大物ルーキーは「みんなから安心してもらえるようになりたい。団体戦で出たらしっかり1本勝てるように」と7月のインカレでの優勝を次なる照準とした。入学から間もなくチームの中心役となった新人は今後ものびのびと成長を続ける。 ▲初のリーグ戦でチームに大きく貢献したルーキー・木塚。怖いもの知らずのメンタルで次々に強者を倒した
続く複合には主将の野田颯太(文4・育英高)と木塚が出場。今季の後半戦から出番を重ねた2人は互いに攻撃型の戦型であり、2戦2勝を挙げていた。対して早大は昨年の全日本学生王者の徳田幹太選手と濱田尚人選手ペア。「練習では全然勝ててなかったけど、ここ直近で調子を上げていったという感じ」(木塚)と息が合ってきた中で迎えた。試合は全てのセットが拮抗し、一進一退の攻防が繰り広げられる熱戦となった。第1セットをフルゲームで落とすもつづく2セットを僅差で奪取。第4セットは勝負を急いだ焦りからかややミスが目立ち8-11で落とした。両者譲らぬ一戦はフルセットにもつれ込み、迎えた最終セット。息がピタリとあった専大コンビは早々から得点を重ね、相手がたまらず取ったタイムアウトでも流れを切らさずに5点に封じ込めた。「両者ともに決められる」という攻撃型の戦術が光り、強敵ペアを下した。
▲主将とルーキペアは昨年の学生日本一ペアに勝利。チームの勝ちに王手をかけた
これで3-1と勝利まであと1つ。難敵打破を賭け、5番手にはエース兼主将の野田がコートに上がった。相手は同じくエースの徳田幹太選手。「昨日、監督に5番をやらせてくれって言っていた。徳田がくるだろうからそこは自分が倒したいと」と昨秋対戦して敗れていた2年生エースとのリベンジマッチに臨んだ。全試合の複合と同じく互いに力の差はなく、緊迫した展開となった。負けられないという強い覚悟を胸に、気持ちを全面に出して戦ったサウスポー。2セットをいずれもデュースの末に勝ち切り、ストレート勝ちに王手をかけた。
▲自ら申し出て5番手に出場した野田。気迫を全面に出し、勢いそのままに2セットを早々と奪った
圧巻な戦いぶりだったのが第3セットだ。ポイント2-2から6連続で奪われ2-8、その後は4-10と一気に窮地に立たされた。だが、「(点差は)あまり意識してなくて。何とか点を取って、(こっちは)簡単に取られないように粘ろうと思った」と焦ることなく、落ち着いていた。さらに、ボールを高く上げるサーブを低く早く打つものに変更するという戦術面での工夫を活かすと、一気に得点を量産。驚異の追い上げで10-10と試合を振り出しに戻して見せた。最後は「甘さが見えたので、一気に畳みかけよう」と勢いで押し切り、結果12-10で見事に制した。勝負ありかという局面から、驚愕の8連続でポイントを奪い、リベンジを遂げたエース兼主将。最後は雄叫びを上げ、喜びを全身で表現した。
▲4-10という窮地から6点を奪いデュースに持ち込んだ瞬間。まさに驚異の追い上げだった。▲勝利が決まった瞬間。ベンチも総立ちで喜んだ
その後、前日に下した明大が日大に勝利したことで専大の優勝が決まった。エース兼主将は「率直にうれしい。自力で優勝とはならなかったけど、2年間勝てなかった早稲田に勝てた。昨日の明治、今日の早稲田に勝って自分たちのやれることは全部やったので、そういう面でも本当に良かった」と顔をほころばせた。
▲野田主将は入学してから初めてのリーグ制覇。下級生の時から出場を重ね、誰よりも勝利に貪欲だった
苦しめられてきた相手に2年越しに勝利をおさめ、さらに頂点の栄冠を掴んだ男子卓球部。総力戦で戦い抜いた成果が見事に実を結んだ。
*次章に続く*
文・写真=河上 明来海(文4)