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<令和6年度東都大学野球春季リーグ戦=5月10日 等々力球場 専大2-0立正大>
先発デビューを果たした右腕が早くも2勝目を挙げた。この日を任されたのは、開幕に公式戦初登板したばかりの平田健眞(経営4・専大松戸)。途中、危なげな場面もあったがバックの攻守に支えられた。気迫の籠ったピッチングで勝負どころも踏ん張り、最終回は昨日完封を飾った肥沼竣(商4・加藤学園高)に託した。
投手の奮闘にバッターもしっかり応える。3回裏2死2塁に2番・谷頭太斗(経営2・日本航空石川)から右適時打が飛び出す。これに、塁上にいた8番・宮崎優斗(経営4・佐賀商)はホームをめがけ激走。決死のヘッドスライディングで見事に生還した。それから6回にも中野拳志郎(文3・小浜)の犠飛で1点を追加。星取表にやっとの思いで、5勝目にして「1」の文字を刻んだ。
▲今季初先発を果たした平田。
初回からよく腕が振れていた。先頭を三振に打ち取ったことが、それを物語っている。複数回で安打を許すこともあったが非常に落ち着いていた。「ランナーを出しても動揺しなかったのは、良かったです。監督さんにいつもオープン戦とかでランナーを出すと口酸っぱく言われるので」。「そこに全然、平常心で行けたのは良かったです」と不安感はなかったようだ。8回無失点でマウンドを降りただけある。持ち球もすべて抛ることができた。「フォーク、カーブ、スライダー、チェンジアップが1球です」。打者を前にマウンドを有効的に使った。
▲マウンドでは時折、吠える場面も。
コントロールは良い方かと聞かれ「全くです」ときっぱり言い切る背番号17。「今日はたまたまです」と謙遜する。4回表0死1塁に投じたフォークで死球を与えてしまったものの内容は上々。去年までは「コントロールが悪かったので、投げてみなきゃわからない感じだった」。「良いときは良いけれど、悪いときはしっちゃかめっちゃかみたいな。それがフォームを変えてから良くなりました」と試行錯誤の上、今に至る。「元々セットポジションだったが、西舘(昂汰、令和6・経済卒・現東京ヤクルトスワローズ)さんに色々と指導してもらった」と、大先輩のアドバイスは大きな鍵となっていた。
▲ピンチを切り抜け、仲間とハイタッチ。
「やっぱり4年生としての責任感。だから今日も第2戦を背負って、肥沼が昨日投げたからなにクソっていう気持ちもあったと思うんですよ」と口を開いたのは齋藤正直監督だ。隣で腰かけていた平田も「肥沼には負けたくなかったです」と食い気味に言う。右腕は、らしく闘志をむき出しにした。それから指揮官に「ピッチャーキャプテン」の称号をもらうと「まだまだ、これから進化できると思う」と期待の一言を添えられた。
開幕当初から肥沼、平田、常田唯人(文3・飯山)、奥村開(経済4・福井商)の4本柱で闘うことを誓っていた専大。2本の柱が一歩ずつ頭角をあらわし始めた。
[宮崎優斗]
――ここぞの場面のヘッドスライディング。迷いはなかったか?
「2死1塁だったので、頭から帰ろうとしか思っていなかった」。
――久しぶりに出たヒットの感想は?
「ずっと打てていなくて悩んでいたんですけど、ホッとしました」。
――この日まで練習の中で意識していたことは?
「ウェイトトレーニングをやるようにして、体の使い方を意識してきた」。
▲泥だらけのユニフォームとともに、笑顔が輝いていた。
[谷頭太斗]
――試合を振り返ってみて
「なんとかチームに貢献するっていうことと、仕事をするってことを意識して打席に入りました」。
――1安打1打点の感想は?
「今までスタメンで出たときも代打で出たときもチームに貢献できなかったので、今日は本当に打とうと思って打席に入った」。
「初球から振った結果、良い当たりではなかったけれど落ちてくれて本当に良かったです」。
――普段のバッティングから意識していることは?
「特別意識していることはないけれど、実践を想定したりしています。思いのままに振っている感じです」。
▲先制の1打にこぎつけた谷頭。
文=小山明香(文3)
写真=山口由結(文4)