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<令和6年度東都大学野球春季リーグ戦=5月9日 等々力球場 専大2-0立正大>
いつにも増してボールは一段と走っていた。エース肥沼竣(商4・加藤学園高)が接戦を耐え抜いた末に、見事な完封を手にした。この日22歳の誕生日を迎えた右腕は、自ら勝利を祝して見せた。
4回表2死2塁から8番・宮崎優斗(経済4・佐賀商)が打ち上げた内野安打で先制するも、試合は1対0と均衡していた。すると8回、待望の追加点がチームを後押しする。ここで副将の4番・西里颯(経済4・興南)が1号ソロをお見舞いした。これが大きな援護点となり、専大が2対0でゲームを制した。
▲各イニングで力強くキャッチャーミッドに投げ込んだ。
エースは珍しく一言目から「調子が良かった」と話す。前回課題に挙げていた後半戦も「一本で立つ意識をもっていた」と投球スタイルをキープしていた。完封にこだわり過ぎることもなく「一つずつ行こうと思った」と冷静にイニングを重ねた。また戦況を振り返る表情は、いくらか明るいもので「今日は得点がロースコアだったので、得点してもらえたのは心の支えになった」と副キャプテンから贈られた最高のプレゼントに喜びを覗かせた。
▲最後は3人でピシャリと抑えた背番号18。
▲1死のことだった。スタンドに入るまでしっかりと見届けた西里。
そこで今季初本塁打をマークした西里はというと、笑みを浮かべ安堵していた。「当たりは良かったけれど、入るか不安だった」。左翼のホームランポール付近に放った一発は、どうやらスタンドに入るまで確信的ではなかったようだ。肥沼の力投は4番の心を奮い立たせていた。「0でずっと粘ってくれて、それまで自分はチャンスで出られず援護できていなかった」。「ホームランを狙っていたわけではないが自分が起点となれるように、真っ直ぐの一つに絞って振ろうと思った」と投手の踏ん張りに大いに応えた。
▲ホームに帰還してから勢いよく吠えた。
国士舘大戦の三塁打から一気に調子を上げた副キャプテン。やはり好調の要因には右手が大いに関わっていると言う。「それで自分の癖を修正しているので、そこがいい方向に向いているのかなと思っている」。さらに開幕当初と比較して「初めの頃よりは良くなってきていると思うので、今続けている意識だったりを継続してこの調子をもっと上げていけるように、また練習していきたい」とホームランを糧にした。
2回戦を翌日に控え「早い段階で打てるように、またこうしたバッティングができるようにしっかり準備していきたい」と、見据えるは連勝だ。待ちかねる勝ち点にますます期待がかかる。
文・写真=小山明香(文3)