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<令和6年度東都大学野球春季リーグ戦=4月20日 駒沢球場 専大8-2東農大>
打線の目覚めで重苦しい空気を吹き飛ばした。開幕戦勝利もその後連敗で勝ち点獲得とはならずに迎えた第二節の東農大戦。2回に寺井雄人(経営3・桐光学園高)の左越二塁打と中野拳志郎(文3・小浜高)の右前適時打で2点を先制すると、終盤にも相手投手を攻め込み8得点の猛攻。投げては先発・肥沼竣(商4・加藤学園高)が6回を無失点に抑える好投で快勝した。
序盤から常に主導権を握った。2回、2死1塁で迎えるは7番・寺井。「リーグ戦は一年ぶりだったので、思い切り行こうと思っていた」と燃える男は、外角のボールに逆らわずレフトへ大飛球を描いた。相手左翼手がもたつく間に一塁走者が生還し、1点を先制。寺井にとって昨年4月以来の安打は、貴重な先制点に繋がる二塁打となった。
▲送球の間に寺井も3塁へ
続く8番・中野は第一節からの好調を見せつける右前適時打を放ち、2点目を追加。最終回にも安打を放ちこの試合2安打、今季ここまで13打数6安打と大当たりで、不動の正捕手に君臨する日も近い。
▲好リードも光った
そして、鮮烈な印象を残したのがルーキーの山田太成(経済1・大阪桐蔭高)。高校時代は持ち味の巧打と走力を武器に上位打線を打ち、名門校を牽引した。第一節二戦目に途中出場でリーグ戦初戦を迎えると、二打席目に初安打を放ち、翌第三戦ではいきなり2番で初スタメン、安打も放った。
この試合では9番レフトでスタメン出場すると、コンパクトな打撃で4安打。最終打席はセーフティバントも決め、山田の持ち味を如何なく見せつけた。「調子は良いと思うが、そこに左右されるとそこ(調子)にしか意識がいかない」「得意なコースとかはあまりない。来た球を打つというのを決めて打っている」と天才肌を感じさせるコメントも。
▲「コンパクトな打撃」が持ち味
そして第二打席では9球粘っての四球も選んでおり、この試合5出塁。齋藤正直監督は「4安打もそうだが、(第2打席)2ストライクから5球粘った。足が速いので出すとうるさい。そこは狙い通りいきました」と饒舌に話した。
▲走力も魅力
期待の新人は明日に向けて「今日は大差で勝っていい気分になっている。(気分が)上がったままだと明日悪く入ってしまうので、一個気持ちを落としてしっかり明日に望んでいきたい」と、グラウンド外でもルーキーらしからぬ落ち着きと「平常心」を覗かせた。
投手陣は鬼門の立ち上がりを乗り越えた。ここまで全ての試合で序盤3回までに先制を許すか、先制点を奪うも同点に追いつかれる展開が続いた。先発・肥沼は初回と2回に一本ずつ安打を許すも後続を危なげなく抑え、3回は10球でテンポ良く三者凡退に討ち取る。以降は流れに乗って6回までわずか69球、4安打無四球無失点と、見事なピッチングを披露。
▲尻上がりに調子を上げた
試合後、「テンポ良く」「リズム良く」と何度も口にした肥沼はこの試合、四死球を一つも与えなかった。
第一節の拓大戦をチームで振り返り、四球の多さが課題に上がった。主将・小柴滉樹(経営4・佼成学園高)も「反省点がしっかり修正できたゲームだった。リーグ戦では四球が致命的。(四球が)ゼロでいけたのは大きかった」と手応えを感じている。
▲主将・小柴自身も3安打で肥沼を援護
一方で、新たな課題も見えてきた。「全体的にボールが高く、フライアウトが多かった。一つ間違えれば、というところでいい時の肥沼ではなかった」と語るのは指揮官。「いい時ばかりではない。『エース』は抑えなきゃいけないのでね」。調子が良くなくても試合を作り、投げ抜くことはエースの宿命。先代のエースたちの姿を一歩ずつ追いかける。
▲今季より背番号「18」を背負う
「とにかく明日勝って2タテしないと厳しい。勝ち切るということを意識して、この節をいい形で終わりたい」。明日に向けての意気込みを語る主将の言葉には、いつにも増して気迫がこもっていた。
今季ひとつ目の勝ち点を、何がなんでも連勝で掴み取る。
文=萩原健丸(経営3)
写真=増田美海(文4)