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今年で創部100周年を迎える野球部の春季リーグ戦がまもなく開幕。悲願の1部昇格に向けて、チームの命運を握る男たちの声をお届けする。第3回目は肥沼竣(商4・加藤学園)。齋藤正直監督は肥沼、常田唯斗(文4・飯山)、平田健眞(経営4・専大松戸)、奥村開(経済4・福井商)の4人を今季の投手陣の軸に挙げている。(※インタビューは春季キャンプ中(2月)に行いました)
肥沼峻 エースへのこだわり▲過去3年間は悔しさがあった右腕。エースの座を担う覚悟は十分だ
〇主戦を担う自覚
「自分がエースになってチームを勝たせたい」。肥沼峻は並々ならぬ想いで新シーズンを迎えようとしている。
1年次は故障で出番が無かったが、2年春にデビューを果たすとリリーフや第二先発を任され6試合に登板。規定投球回に到達しなかったものの3勝を挙げ大器の片りんを見せた。その後更なる飛躍に期待がかかったが、秋季リーグは開幕直前にコロナウイルス疾患、3年春は再びケガで離脱と登板が叶わず。昨秋にようやく復帰を果たし、主に2戦目の先発としてリーグ終盤に安定した投球を見せた。それでも、長身右腕はこの3年間に唇を噛んだ。「これまで1シーズン通して投げられていない。誰かの次くらいの存在で、1番になれないのがすごく悔しかった」。象徴的なポーカーフェイスとは裏腹に、胸中は熱い想いで満たされている。
インタビュー中、何度も“エース”という言葉を出した肥沼。「エースになりたい、エースは(チームで)一番謙虚じゃないとだめ。普段の行動から意識してやらないといけない」と覚悟をにじませる。その意識から「練習に取り組む姿勢や量」にこだわっており、自任するアピールポイントでもある。それでも、「もっともっとやっていかないといけないなって思う」と驕らない。意識に伴った行動から、チームの主戦を担う自覚は十分据えている。
▲今季は年間を通しての登板をテーマに掲げる
〇憧れの舞台へ抱く想い
エースの座を獲得するために一直線な右腕は「ずっとプロに行きたいと思っている」と進路について明かした。小学生時代に憧れを持った夢は高校3年時をきっかけに実感が湧いたという。自身と同じ静岡県の高田琢登(現・横浜DeNAベイスターズ)や同じ東海地区の高橋宏斗(現・中日ドラゴンズ)、そして小学生時代同チームだった山村崇嘉 (現・埼玉西武ライオンズ)がプロの世界へ。「身近な人がプロに行っているのを見てなんか悔しいなと。負けたくないって思った」と心に火がついた。さらに、菊地吏玖(令5経営卒・現千葉ロッテマリーンズ)や西舘昂汰(令6・経済卒・現東京ヤクルトスワローズ)といった同じグラウンドで汗を流した先輩がドラフト1位で大舞台へ羽ばたき、「うらやましいな」とより刺激された。
▲幼いころから憧れる夢への想いを口にした
〇アピール欲もチームを第一に
自らの夢を叶えるためにも、この春の結果が明暗を分けることは重々に理解している。「自分は実績がない分、インパクトのある結果が必要。まずはリーグ戦で結果を出すようにしないと」。具体的な数字は防御率0.00を掲げ、「点を取られないように。(プロへは)目標を果たせればいけるのではないか」と明かした。先輩2人はいずれも4年春シーズン、0に近い防御率と圧倒的な数字を残してアピールに成功しており、 “2部リーグで制圧”がカギになる。ただ、あくまでもチームに重点を置き、「もちろんエースになるつもりで。まずは1部昇格を目指して、そして全国制覇する気で戦っていきたい」と誓った。
▲自身の夢もチームの目標も達成するべく、腕を振る
泣いても笑っても最後の1年。これまでの悔しさをマウンドでぶつけ、肥沼竣は“エース”としてチームを導く。
文=河上明来海(文4)
写真=高橋尚之さん(令6・経営卒)、河上