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<BIG8・2部入れ替え戦 12月16日=アミノバイタルフィールド>
終了のホイッスルが鳴る10秒前には決着が付いていた。0対10で無残にも、成蹊大に負けを喫した。無得点の末での敗戦。その道中は実に息苦しいものだった。
ゲームが動いたのは第2Qの中盤。フィールドの中央で攻撃権を奪われてからのことだった。自陣44yd付近で阻まれるパスインターセプト。#8谷口偉大(商2・堀越)の放ったボールが#10 坂本幸輝人選手(成蹊大4年)に盗まれた。ここから流れを持っていかれた。#8坂下翔吾選手(成蹊大3年)の強烈なランプレーが専大の重壁をぶち抜き(1stD)、#15
石綿将丸選手(成蹊大3年)のキラーパスにフィールドの中央を切り裂かれた。ゴール付近でのパス成功は専大にとって痛恨のピンチ。この山場を凌ぐことはできず、ゴールライン上でTDを許してしまった。敵陣10yd前後から再開した直後だった。次は#15石綿選手の軽快なランプレーにディフェンス陣(専大)が欺かれ、そのまま右サイドに放たれたロングパスを#16 山口基樹選手(成蹊大3年)にダイブされた。紙一重のタイミングで飛び付いた#22 長嶋秀羽(文2・埼玉栄)の奮闘は届かず。6点の代償は、最後まで重くのしかかった。TFPもキッチリ決められ、合計7点のビハインドで前半を終える。
ハーフタイムに入ると指揮官が、怒号を上げた。「相手を舐めすぎているよ。お前ら。もっとやれよ!1人ひとり戦えよ!!」。唸りあがる声と熱量。ベンチは一斉に奮い立った。
▲ぶつかり合う選手たち
後半は度重なるミスが目立った。第3Qオフェンスではペナルティや連携が噛み合わず、先のない第4Qでは3点を与えてしまう。#47に決められたFGは空中で弧を描き、素直にゴールへ直行した。敵の大きな追加点に、専大勢は表情を曇らせた。(0対10)
この悲惨な展開に、巡り巡った最後のオフェンスが訪れる。慎重に好機を狙うGREENMACHINE。着実にゴールを目指していたその時、#8谷口が放ったパスは#3大山遼馬(商3・千葉日本大学第一)へと繋がるはずだった。よみがえる第2Qのインターセプト。またもや、#10にボールを奪われた。フィールドの中央で阻まれた同様の展開は、まさに悪夢のよう。すると成蹊大メンバーが、終了間際に自陣で手を繋ぎはじめた。10秒前のカウントダウン。笛が合図する前に、結果を受け止めざるをえなかった。ゆっくりと重たい足元をベンチへ引きずる選手たち。どこか悶々とした空気が専修サイドを漂った。
▲カウントダウンをはじめる成蹊大を見つめるGREENMACHINE
▲試合後には今シーズンの感謝を述べた。
屈辱な2部への降格。主将と指揮官は、このうえなく責任を感じていた。「自分たちの準備不足が原因です。後輩たちに申し訳ないです」とキャプテンの#6平賀正朗(経済4・横須賀学院)は悔やんだ。今期を締めくくる入れ替え戦は、4年生のラストゲームだった。「来年はレギュラーだった部員が多く残るので強い代になると思います。またTOP8を目指せるチームを作ってほしい」と期待のメッセージを添えた。渡辺卓志監督は「得点を見れば一目瞭然、オフェンスが0点で終えたことが一番の敗因。フィジカル以上にメンタル面が必要だと知らされた試合だった」と反省点を率直に振り返った。「この敗戦がなぜ起きたのか話し合うことが必要」。「口で言ったことと、心の奥底で思っていることが一致した時に、最高のチームができるのかもしれない」。実は今シーズンをもって指揮官も退任する。「最高のチームを目指してほしい」とメンバーに望みを託した。
GREENMACHINEは、再びBIG8の舞台に返り咲くことはできるのか。逆境で迎える来シーズンは、升川新監督を筆頭に始動する予定となっている。
文・写真=小山明香(文2)