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〈第65回全日本学生ローラースケート選手権大会=10月22日、水辺のスポーツガーデン〉
ローラースケートの靴を履いて行われるのが特徴のホッケー競技であるローラーホッケー。前後半それぞれ25分制で行われ、展開が目まぐるしく変わるすさまじいスピード感が魅力の競技だ。
そんなローラーホッケーのインカレとして行われている、全日本学生ローラースケート選手権大会の準決勝が22日、江戸川区の水辺のスポーツガーデンで行われた。前日の東洋大戦に逆転勝利し、このまま決勝に駒を進めたい女子チームは國學院大と対決。先制を許すもキャプテンの南澤奈穂(文4・向上)の同点シュートを皮切りに猛反撃を見せ、5-1で勝利した。その一方で、今回の準決勝が初戦となった男子チームはライバルの立教大と対決。前半に2点を失う苦しい展開となったが、後半に井料敢大(商3・修徳)と木田悠斗(経営3・獨協)のシュートが入り試合を振り出しに戻した。しかしその後延長戦でも互いに得点が入らず、勝負の行方はキャプテン同士のフリーシュート対決にまでもつれ込んだが、相手にシュートを決められてしまいそのまま敗戦。女子は決勝、男子は3位決定戦へそれぞれ進むこととなった。
▲うずくまる主将と死闘を制した立大の選手たち
この日、まず登場したのは女子チーム。序盤からシュートはするものの得点に結びつかない状況が続いた。しかし、前半12分が過ぎたところで相手のドリブルに追いつくことが出来素そのまま相手にシュートされ先制点を許してしまう。このまま流れが國學院大に傾くかと思われたが、前半が終盤に差し掛かってきたところで、相手のGKから跳ね返ってきたパック(ボールのこと)をキャプテンの南澤が押し込み同点に追いついた。「最初に(相手に)決められて焦っていた。自分が決めて流れを変えなきゃという気持ちでやったので、入った時はすごく安心した」と安堵した表情を見せた。
▲同点シュートを決めた南澤
後半は専大の攻撃が止まらず、相手に一切流れを渡さなかった。市村唄菜(経済3・横浜氷取沢)が後半5分に勝ち越し点となるシュートを決めると、そのあとも得点を重ね1人で3打点と大暴れした。「この大会には打点賞があって、絶対にそれを獲りたくて。綺麗なシュートは入らなかったが気持ちで決めきれた」と、自身の攻撃を振り返るとともに打点賞に懸ける思いについても話した。
▲得点が入り、喜ぶ市村
また、新井ゆりあ(文2・富士森)の、試合では初となる打点も生まれた。市村からのパスをもらい、そのままゴールへパックを突き飛ばした。「合わせの練習を結構やってきたので、報われた感じがした。とにかくうれしい」と満面の笑みで初打点を振り返った。
▲シュートを決めた新井(左)
序盤は追いかける展開だったものの、終わってみれば5―1と圧勝。現チームでは初めてとなるインカレ決勝進出を果たした。
4年生にとっては最後となる今大会。チームを引っ張るキャプテン南澤とGKとしてチームを支えてきた龍前葵(文4・栄北)が今大会で引退を迎える。龍前は今回の試合でも相手との1対1のフリーシュート(PKのようなプレー)を止めるなど、絶対的な守護神として活躍した。一緒に戦ってきた後輩に関して、龍前は「やっぱり今後輩たちがいるおかげで試合に出られているので、すごく感謝している。みんなと最後まで出ることが出来てうれしい」と感謝の意を述べた。龍前の引退後にGKを引き継ぐ小川瑞葵(経営2・鹿沼東)は、龍前について「いないと困ってしまう。みんなが抜かれて危機的状況になっても1人で守ってくださるので。引退してほしくない」と先輩への思いを話した。全員が口をそろえて「絶対優勝」と意気込んでいる決勝は、来週28日に行われる。
▲シュートを止める龍前。「(シュートを)止めるときに怖いという感覚はない。もはや気持ちがない」と話す
▲試合終了後、新井の初打点を喜びあう女子チーム
この日最後の試合に登場したのは男子チーム。今まで決勝で当たることの多かった立大と準決勝で戦うこととなった。
前半は立大のペースに押される形となってしまった。何度もシュートを仕掛けるも相手に阻まれ攻撃の糸口がつかめない中、試合開始から15分が経ったところで相手に隙を突かれ先制点を許した。その後もう1点を決められ前半終了で0―2となり、苦しい立ち上がりとなった。
しかし、もともと後半からの強さが武器の専大は、試合終盤に反撃を見せる。試合終了まで残り5分ほどとなったところで、序盤から積極的なドリブルを見せていた井料が左端から一気に攻め込みシュートを決め1点を返した。「前半の時点で失点してしまったのは痛かったが、切り替えて点を取りに行こうと話していたので、とりあえず一点返せたのはほっとしたし良かった」と当時の状況について振り返った。
▲1点目を入れた井料
そしてその井料のシュートから約3分後、途中出場していた木田が近距離からシュートを決め、土壇場で試合を振り出しに戻した。「途中交代で入った身としては、自分が決めてとりあえず同点にしないといけないという責任があった」。得点を決めた後には雄叫びをあげながら全身で喜びをあらわにしていた木田。これには理由があった。「立教の方は人数が多くて、僕たちの応援の数は少なくて。盛り上げていかないといけないキャラなので、周りをどんどん明るくして、何とか空気を変えようかなって」。立大は部員数が多く、コート外の観客も他大学より圧倒的な人数を誇っていた。そんな中決まったムードメーカーの木田によるシュートは、大いに専大関係者を盛り上げた。
▲喜びを爆発させる木田
しかし、なかなかそこから互いに点数を重ねることが出来なかった。勝負は前後半だけでは決まらず、延長戦にまでもつれ込むも、そこでも両校ともに得点することが出来ず1対1のフリーシュートの対決で勝敗が決まることとなる。ここで決まると思いきや、両校のGKが意地を見せ全選手のシュートを抑え、ついにキャプテン同士のフリーシュート対決となった。ここでもなかなかシュートが決まらなかったものの、立大のキャプテンが約5分経過したところでゴールを決めてしまう。ここで決めるしかなくなったキャプテンの浅見怜(商3・東京成徳)だったが、ゴールを揺らすことはできず敗戦。転倒やファウル、さらに足のつりなど多数の負傷者を出し文字通り死闘となった試合を制することはできなかった。
今回の試合を振り返って浅見は、「点を取られた後でも、みんながちゃんと勝つことの意識をもって最後の1秒まで足を使って前から攻めて、相手にプレッシャーを与えることが出来た」と今回の収穫について話すも、「最後はちゃんとキーパーが止めてくれていたので。それに答えられなかった自分の責任」と声を詰まらせながら語った。
男女でのアベック優勝を目指していたものの、今回叶えることが出来なくなってしまった専大。女子は嬉しさを、男子は悔しさを胸に次戦に挑む。
文・写真=山口由結(文3)