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2023.09.08
柔道

【柔道部】世界の選手へ 鎌倉啓太郎インタビュー


▲鎌倉啓太郎


「前期は大変だった。課題は頑張れたが、テストが難しかった」。鎌倉啓太郎(経営1・習志野)は、新しい環境で過ごした4か月間を素直に振り返った。高校時代は全国高校柔道選手権大会にて81キロ級で優勝。今年6月、チェコで行われた自身初の国際大会では、各国の選手から次々と一本を取り、見事優勝を果たした。そんな専柔期待のルーキーに迫る。


チェコジュニアで優勝した時の率直な気持ちは「安堵感」。目標でもある世界ジュニアへの出場権を獲得する為には、ここでの優勝が絶対条件だった。持ち前のスピードと粘り強さでトーナメントを勝ち進み、準決勝では約8分にわたる死闘を制し決勝に進出。最後はジョージアのルカ選手を内股で一本、10秒で決め見事チャンピオンに輝いた。「本当に良かった。安心した」と、安堵感を露わにした。


▲チェコでの2週間の滞在で食事や環境にも苦労したという
それでも見事に優勝して見せた(写真提供:鎌倉選手)

▲強化指定選手でもある鎌倉

日本を背負う活躍が期待される(写真提供:鎌倉選手)


今では国際大会で優勝する彼にも、もちろん‘‘柔道を始めた時”がある。彼が柔道に出会ったのは、年長の時。小さい時に水泳をやっていたが、別のスポーツに挑戦したいということで、たまたま足を踏み入れたのが柔道場だった。「柔道でいっか」。そこのクラブの柔道の先生、母親に強く勧められたことで柔道を習うことを決意した。そのまま小学校でも柔道を続け、中学では部活に入部し全国大会への出場を果たした。しかしこれといった結果はついてこず、「(柔道は)中学生くらいまでは辞めたかった」と、当時の本心を述べた。


そんな中、ついに高校で努力が実を結ぶ。入学した当初の体重は55㎏で、高校初めての大会は60キロ級で出場するが、一回戦で敗退してしまう。その後監督に「81、90キロ級に出場しないと使わない」と宣告された。そこから一日におにぎりを20個食べるといった、体重を増やす生活が始まる。次第に体重は増え、無事に81キロ級で大会に出場することが出来た。そして同僚の怪我もあり出場した選手権、自身も大会1か月前に左足小指が脱臼し、大会2週間前に稽古に復帰。痛みを抱えながらの練習となり、大会は絶望的であった。しかし、いざ大会が始まると破竹の勢いを見せ、全て一本勝ちで決勝まで勝ち上がった。最後の相手は全中王者で、前年の選手権では高校1年生ながら3位に輝いた長谷川環選手(日体大)。両者譲らない展開で延長までもつれる試合となったが、最後は技ありで見事優勝を果たし、自身初の全日本制覇を成し遂げた。「すごく自信になった。(高校時代は)しんどかったけど、良い経験だった」と、当時を笑顔で振り返った。


▲藤田監督には高校2年生の冬合宿で初めて声をかけられた
「(藤田監督は)とにかく熱い。メンタル的なところは勉強になっている」

▲高校OBで専柔コーチの關さんには、習志野時代に自身のプレースタイルを見出してくれた

「当時は(關さんに)良くしてもらっていた。雑草のような、本当に環境のせいにしない。尊敬している」


「迷ったらしんどいことをやる」。鎌倉が大学に入って大切にしている姿勢だ。「サボることは簡単で、特に大学は周りもあまり注意しない。だけどそこで止めたら後悔するし、逆にやればその分自信になる。少しでも折れたらだめ」と、自身との向き合い方について鎌倉は話す。専大では6月に行われた全日本学生柔道優勝大会に出場。2回戦で清和大を破り、3回戦で日大と対戦した。先鋒で伊藤好誠選手と相見え奮闘するも時間いっぱいで引き分け。チームは2―3で悔しい敗戦となった。「自分が取らなければいけない場面だった。しかし練習でやっていたこと、最大限の力は出せたと思う」と大会を振り返った。そして9月9日、10日には世界ジュニアへの切符を懸けた全日本ジュニア柔道体重別選手権大会が開催される。「今シーズン1番の勝負の試合だと思っている。ここ勝てば何か広がると思う。ここに賭けたい」と、今年の大一番へ向け意気込みを話した。


▲「出来ること、最大の準備はしている」


文=小池佳欧(文2)、北原倖多(文2)

写真=鶴本あい(法3)