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〈東都大学野球2部春季リーグ戦=5月18日 等々力 専大4―5☓ 東洋大〉
▲敗戦後、肩を落とすナイン。中央奥は好投したが報われなかった先発の西舘
1勝1敗で迎えた東洋大との3回戦は、今季4回目のサヨナラ負けを喫して勝ち点2獲得を逃した。8回まで4点リードしていたが、守備のミスが響いて9回に同点とされると延長10回に力尽きまさかの敗戦。中1日で先発したエースの西舘昂汰(経済4・筑陽学園)が7回無失点と好投したが、勝ちに恵まれなかった。
背番号18は気温が31℃の中、マウンドで腕を振り続けた。一昨日は109球を投げて完封勝ち。中1日での登板となり、「疲労がきてるのは当たり前だったが、勝たないといけない一心だった」と1球ずつ声をあげる気迫の投球で7回まで0を並べた。「身体のコンディションが良くなくて張り感があったが、逆にそれが良かった。色んな球種に力がなくて試せた」と変化球中心にカウントを稼ぎ、140キロ後半の直球で差し込んだ。東洋打線をテンポよく打たせて取り、7回を84球、被安打3、四球1と全く寄せ付けなかった。
▲疲労はある中でも最速151キロをたたき出しタフさを見せつけた
▲「投げっぷりが自分の良さ。その良さで勝負するという意味でも声を出している」と気迫を全面に出す投球を振り返った
エースの好投に打線も応え、2回に先制すると3回に3点を追加。試合の主導権は完全に専大が握っていた。
だが、西舘が降板した4点リードの8回裏、事態は一転した。今季多くの敗戦の起因となる“失策”が悪夢を引き起こした。
▲8回、悔しい表情でベンチに引き上げる山本。自らの悪送球で出した走者が失点に絡んだ
2番手のマウンドには須藤綺梨(経営2・延岡学園)。「西舘さんが良い投球をしていたのでそれを繋ぎたかった」といい、最初の打者を三ゴロに打ち取る。だが、続く1番・橋本選手の打球を処理した遊撃の山本和輝(経営1・静岡)が1塁へ悪送球。打者は一気に2塁へ進塁した。2死としたが、3番の宮下選手に8球粘られた末にあとわずかで本塁打かという特大の左越え適時三塁打を浴び1点を返される。続く4番・水谷選手には際どいコースをつくも四球で歩かせると、東洋大は代打・船曳選手を起用。先に追い込んだのは須藤だったが、4球目のやや内に入ったスライダーをひろわれて打球は中前へ。1点止まりかと思われたが、外野からの送球を捕り損ねている間に2走が生還し一気に2点。結果的に3点を失った須藤は「調子は良かったが、若干昨日の疲労があったかも。けど(味方の失策含め)言い訳にならない」と唇を噛んだ。
▲須藤はリーグ戦初失点を喫し、悔しさを滲ませた
そしてリードはわずか1点で最終回へ。あと3人でゲームセットとなる中、松下瑛亮(経済4・宮崎学園)が登板。先頭を斬って1死を取るが、7番馬込選手に投安、代打・西川選手には右中間を割る二塁打を浴び2、3塁のピンチ。一打同点もしくはサヨナラの局面を迎え、9番佐久間選手の初球。投じた直球は低めに大きく外れワイルドピッチに。思わぬミスで試合を振り出しに戻された。後続はなんとか斬り、試合は今季4回目の延長戦へ突入。
▲松下の暴投の場面。リードは1点だったが、土壇場で追いつかれた
守備のミスは攻撃にも連鎖した。延長10回、無死1,2塁から始まるタイブレークで専大は先攻。犠打で送って1死2,3塁とすると、打席には代打・西里颯(経済3・興南)。一昨日の試合では2本の適時打を放っており期待がかかったが、直球に詰まらされ浅い中飛に倒れた。すると2走の満田柊蔵(経済4・佼成学園)が外野からの送球間に飛び出しており、2塁憤死。結果としてダブルプレーにされ、自陣の攻撃はあっという間に終わった。
▲西里の中飛は結果的にダブルプレーに
▲満田はしばらく2塁ベースから動けなかった
これで一気に流れを手渡すことになった10回の裏。マウンドには石井夢沙士(経済2・秋田)が上がる。先頭の2番・里選手の犠打は投前へ強い当たりとなり3塁封殺かと思われたが、高めに抜ける悪送球となった。無死満塁と絶体絶命のピンチを背負うと、勝負がついた。3番・宮下選手に2球目の直球を左前に弾き返されサヨナラ打を浴びた。
▲石井の送球が高めに逸れ無死満塁となった
▲10回裏、石井が無死満塁で左前サヨナラ打を打たれる
4点リードで残りアウト6つという状況から、3イニングで5点を返されるまさかの敗戦となった。小林寛弥主将(経営4・坂井)は「終盤のミス全ては確認・準備不足だった。1点を返されて焦っていたところがある」と徐々に詰められる展開を振り返った。
試合後、齋藤正直監督は「やっぱりエラーですよね。もう今シーズンのチームを象徴していますよね」ときっぱり。今季、失策0で終えた試合はたった1試合。指揮官の言葉に尽きていた。
1回戦を取ったものの、宿敵に逆転負けで勝ち点を献上し、完全優勝を許した。最終戦は25日に控える国士大戦。最下位は免れているが、秋に繋げるためにチーム全員で勝利を掴みにいく。
文=河上明来海(文3)
写真=増田美海(文3)