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〈令和5年度東都大学野球春季2部リーグ戦=5月16日 等々力 専大4―0東洋大〉
▲3安打完封の西舘昂汰。テンポよく東洋大打線を打ち取った。
今季初完封でエースの意地を見せた。専大はすでに2部優勝を決めた宿敵・東洋大と対戦。エース・西舘昂汰(経済4・筑陽学園)が相手打線をわずか3安打に封じ、見事今季初完封勝利を挙げた。打線も西里颯(経済3・興南)が2本の適時打などで4点を奪い、エースを力強く援護。投打が噛み合い、立正大戦に続き3連勝となった。
1球1球に魂を込め、ここまで味わった悔しさや苦しさをすべてぶつけた。初回、いきなり無死2、3塁のピンチを背負う。しかし、「監督さんからインコースをインコースを、と練習から言われていた」と、齋藤正直監督の助言通り内角攻めで真っ向勝負。3番宮下選手を三振、4番水谷選手を浅い中飛に打ち取る。最後は5番花田選手から空振り三振を奪い、無失点で切り抜けた。5回にも2死1、2塁のピンチを背負ったが、宮下選手を見逃し三振に斬った。「東洋大打線もベースを埋めるぐらい(打席の内側まで)詰めてきていたが、ある程度インコースに突っ込めたので、幅が広がった」と最後まで内角をえぐり続け、魂でねじ伏せた。
▲捕手の加藤大悟と果敢に内角を攻め、まともに捉えさせなかった。
この日は11球団のスカウトが集結。西舘は「みんな(東洋大エースの)細野投手が投げると思って来ていたと思う」と謙遜するが、「注目される選手に対する試合では僕も注目される可能性がある。力のあるチームを抑えると自信にもなるし、進路もよくなってくる」と気合いを入れてマウンドに上がった。この日は細野投手は先発せず、西舘の独壇場となった。「今季まだ完封がなくて、完封したいと思っていたので、自信になりましたしいい経験になりました」。ドラフト上位候補に一気に名乗りを上げた右腕は、胸を張って話した。
▲スカウト陣も高評価。西舘も試合後の会見でプロへの思いを口にした。
西舘の魂の投球に、打線も触発された。4回、1死から外山優希(経営4・開星)が10球粘った末に右安を放つ。2死1、2塁からこの日久々にスタメン起用された西里が「強気で、気持ちだけで打った」と2球目のスライダーを捉えると、打球は左翼線に落ち先制の適時二塁打となった。不振と守備のミスが続き出場機会を失いかけたが、「1年生が出ていたので、見返してやろう」とレギュラー奪回に向けアピールに成功した。
▲先制の口火を切った外山。11球目を捉え一二塁間を破った。
▲先制二塁打の西里。「これまで結果を出せていなかった」と執念で打った。
6回には1死満塁から西里が2本目の適時打を放つと、さらに満塁から押し出し死球と加藤大悟(経営1・専大松戸)の初打点となる犠飛が生まれ、一挙3点を追加した。不振が続いた打線がリーグ戦終盤にようやくお目覚め。本来の力強さを取り戻した。
▲この日の西里は2安打2打点。レギュラー奪回へ猛アピールした。
▲4点目の犠飛を放った加藤はこれでリーグ戦初打点。試合後、「バッティングは慣れてきました」と笑った。
齋藤正直監督も「やっと西舘らしさを出させるために打線が援護し始めたかな。もうシーズン終わりじゃねえかって話ですけどね(笑)」と安心した様子を見せた。西舘については「点数を取った後の回でバッターを抑えられたというのは西舘にとっても大収穫だったんじゃないかな」と称えた。指揮官は勝ち点死守に向け、明日の登板の可能性も示唆。西舘も「勝ちにつながるなら投げたいので、いつでも投げます」と意欲を見せた。
文=野見山拓樹(文4)
写真=高橋尚之(経営4)河上明来海(文3)