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昨年10月に開催された全日本学生柔道体重別団体優勝大会(以下 全日本団体大会)を終え、主将の織茂峻伍(経営3・木更津総合)率いる新柔道部の活動が始まった。しかし、始まって数か月は部内で活動の方向性がうまく共有されず歯がゆい期間が続く。そんな中、選手間で何回もミーティングを開き、各々が自分の意見をチームに伝えるようになった。それが繰り返されるうちに部としての方向性も定まり、お互いの仲も深まっていった。
「大きく成長した1年だった」と昨年を振り返る織茂。東京学生柔道体重別選手権大会(以下 東京学生大会)にて90キロ級で優勝、全日本学生柔道体重別選手権大会(以下 全日本選手権)にて90キロ級でベスト8と、輝かしい成績を残した。「結果の面でも成長があったが、それまでの過程、一流の選手になるためにはどうすればよいのかを自分自身考えるようになった」と、織茂にとってより自身と向き合う年となった。
▲今年度の主将 織茂峻伍
藤田純監督体制として5年目を迎えた昨年。実業団体の選手も出場し、国内ビックタイトルの1つにも挙げられる講道館杯では、織茂を含む2選手が初戦突破を成し遂げるという、藤田監督体制初となる快挙を成し遂げた。「専大は柔道の強豪大学として認知され始めている。追いかける立場にあったチームが、今は追われる立場になりつつある。今までやってきたことは間違っていなかった」。専大柔道部は大学柔道界においてより存在感を増した。
しかし昨年10月に開催された全日本団体大会の後について、「僕が引っ張るかたちで取り組んできたが、そのやり方は失敗に終わった」と織茂は振り返る。主将は監督に頼らず、選手が主導していくチームを理想において活動してきた。しかし今までの柔道部は監督を中心に回っていたこともあり、急な路線変更に戸惑う部員も多く、部として方向性が定まらず、まとまりに欠ける時期が続いた。そんな中、部を一つにするきっかけとなったのがミーティングであった。選手だけでのミーティングを開き、改めて部の方向性を話し合う機会が設けられた。そしてミーティングの回数を重ねていくと、織茂だけではなく同学年、さらには下級生までもが自分の意見をチームに伝えるようになっていった。時には部員間で意見が食い違い、スムーズに事が進まないこともあった。しかし、それでも彼らは各々の考えを口に出し続け、結果として部の仲が深まり、織茂の考えに賛同する部員も増えていった。「今は自分の役目として、全員が意見を言える環境を作っていくこと、その意見を引き出すことの2つを徹底している。全員でチームを作り上げていくことを意識してやっている」と話す織茂。部として、また一つ成長する機会となった。
▲マネージャーは織茂の印象について
「部の引っ張り方が強引な時もあるが、しっかりと意見を聞く」と話した
選手一人ひとりの部に対する意識が高まっていく様に対し、監督は感銘を受けていた。「やらされる柔道は楽しくないし身につかない。今はみんなが当事者意識を持って考えてくれている。すごく雰囲気が良いし、俺がいなくても大丈夫」。部に絶大な信頼を寄せる姿勢がうかがえた。
▲藤田純監督 「マジで今年自信ある」
2月2日~11日の10日間にかけ、織茂はフランス遠征に参加していた。昨年の成績が評価され全日本学生柔道連盟から招集されたのだ。フランスの小学生から高校生が所属するクラブチームでの合同練習を通じて、「日本人柔道家がいかにリスペクトされているかを感じた。(フランスの人々は)日本人のたたずまいや優しさといった、武道として柔道を見ている人が多かった。人として成長する大切さを改めて痛感した」と、肌で感じたものを伝えた。日本の有望な選手が集まる活動に招集され貴重な経験を積んだ織茂に対し、監督は改めて期待を寄せる。「(織茂が)目指すところは日本一。優勝を目指して頑張ってもらいたい」。
▲4月から入部する高校生(右)は
「ひたすら練習する。試合時間も長くきつい」と、専大柔道部の印象を語った
コロナ禍において近年は、大会への参加はもちろん、他大学との合同稽古もできずにいた。しかし最近はそういった規制も緩み始め、活動範囲が広がりつつある。監督は「他大学や実業団など、いろんなところに行きたい。また柔道以外のところでも交流してみたい」と、様々な経験を学生に積んでもらうことを望んだ。「近年は全日本団体でベスト16まではいけている。優勝することは絶対無理。だが、ベスト8を目指せるところにはいる」と、部として目指すことのできるところに焦点を合わせた。
▲バレンタインデーで、部員全員にチョコを渡すマネージャー2人
織茂は「確実に勝つことが今年の抱負。実力をつけるためには一試合一試合勝利を積み重ねることが重要」と自身の目指す姿勢を話す。「チームとしては勝つだけではなく、それまでの過程を大事にしていきたい。ただ全日本団体でベスト8にいくことを目指すのではなく、いかにしていくか、そのプロセスを大切にしてやっていきたい」。目標である全日本団体大会ベスト8にいくための道筋に重点を置いた。
そんな柔道部の今年最初の大きな大会、Winter Challenge Tournamentが2月17日~19日の3日間にかけて開催される。大会としては35回目を迎え、毎年全国から数多くの強者が天理大学に集結する。今年は専大から13名が出場する。幕開けともなる大きな大会での結果は、今後の柔道部の活動にも大きな影響を与えるだろう。66キロ級に出場する志村洸太(商2・つくば秀英)は「今年最初の試合。しっかりと成績を残し、良いスタートを切れるように頑張りたい」、90キロ級に出場する野村晟也(経営1・加藤学園)は「まだ先はあるので、思い切った柔道、投げにいく柔道をしたい」と、それぞれが大会に対する思いを語った。
▲野村晟也
「同じ階級なので、打倒織茂さんで日々練習している」
▲背後から写真に写る志村洸太(左奥) 昨年は自身初となる全日本選手権にも出場した
「講道館杯に出場することを目標に頑張りたい」
文=北原倖多(文1)
写真=小池佳欧(文1)