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2023.02.10
自動車

【自動車部】新人戦迫る 自動車部の新たな船出

2月11日、自動車部にとって新たな幕開けとなる大会がやってくる。静岡県の富士スピードウェイジムカーナ場で開催される関東学生ジムカーナ新人戦だ。コロナ渦で一時は1年もの活動休止期間もあった中、活動を再開させ部として形になり始めた。主務であり、選手としても活躍する田村拓人(経済2・秀明八千代)は言う、「優勝を狙える」と。

▲取材に答える田村


自動車部は部員数14名で、火曜日と土曜日の週2日で活動している。土曜日は午前9時から午後18時と、長い時間自動車と向き合っている。その車のほとんどはOBが残していったものであり、一部には現在活動している部員の所有車もある。


日々の主な活動は車の整備。ボディーの磨きやバッテリーのチェックといった基本的な車の整備はもちろん、大会へ向けた車の改造もする。軽自動車で5時間を走り続け、時間内に何周できるかを競う軽耐久レース。競技は未舗装路で行われるため泥の付着はもちろん、他車と激しく接触し合う局面もあり、車体がダメージを受けることも少なくない。それに備え車内のあちこちにロールバーと呼ばれる鉄の棒を張り巡らせ、車体がつぶれないようにする。また車体をできるだけ軽くするべく、車内のマットや助手席、後部座席まで外す。こうした改造も日々の活動の一部である。

▲OBが40~60万円で購入したSUZUKIのALTO 

軽耐久レース用の車で、中にはロールバーが張り巡らされている


専大自動車部が今まで出場してきた競技は、先ほど紹介した軽耐久レースに加え、ジムカーナ、ダートトライアル、フィギュアの4つ。他大学の自動車部をみてもこれほど多くの競技に出場しているところは少なく、各競技が中途半端になってしまい結果もなかなかついてこなかった。それを踏まえ、専大自動車部は今年からジムカーナとフィギュアに注力していくことを決めた。「結果を残したい」と話す田村。本気でタイトルを取りに行くという部の強い姿勢を示した。



▲タイヤ交換をしている井筒拓実(文1・東京学館新潟)


コロナ渦において、2020年の流行し始めた時期から2021年の新学期までの約1年間、自動車部は活動を休止することとなった。技術や活動の継承がうまくいかず、「他大学では速いやつが正義みたいな価値観がある中、自分たちにはそういったものはあまりなく、まだ少しお遊びの部分があった」と田村が話すよう、部としての方向性も曖昧になっていた。しかしそういった厳しい中でも、部は着々と活動を続けてきた。大会への積極的な参加はもちろん、部内でも新入部員を迎え、以前は主将がワンマンで運営していたことも、主務や渉外といった役職をしっかりと分業し、より効率的に活動することができてきた。田村は、「これから僕らが試合でさらに成績を残していければ、より体育会らしい部になっていくと思う」と、より部として成長していくことを望んだ。また、自動車文化についても田村は熱い思いを持つ。「電気自動車や水素自動車が出てきて、内燃機関というものが終わりつつあろうとしている。今時自動車で競技するなんていうことは、お金の問題もあるしそもそも人気がない。それでもローテクなもので走る自動車文化、日本の十八番であり、まだまだ得意分野であると思う。こういった名車(下の写真、Honda シビック EG6)が生まれ、それを後世の車好きの人たちに受け継ぐ、またジムカーナという面白い競技を後世に残していくことが、僕らの数少ない使命のうちの1つだと思う」。

▲Honda シビック EG6 

主にEGと呼ばれ、カエル号と呼ばれることもある

元々、プロが出場する全日本ジムカーナ選手権で使用されていたものを専大が譲り受けた

元々排気量1.6リッターのエンジンであったが、より排気量が大きいHonda インテグラ の

1.8リッターエンジンにのせ替えられている 自動車競技界において定番の改造だ


そんな変革期を迎えている自動車部が望む今年最初の大会が、今月11日に静岡県の富士スピードウェイジムカーナ場で開催される関東学生ジムカーナ新人戦だ。今大会の競技であるジムカーナとは、サッカーコート1面ほどの場所で2回にわたって行われるタイムアタックレース。当日にコースが発表され、選手は走行する前の数十分間でそのコースを覚えなければならない。記憶力が試されるのはもちろん、運転のテクニックや焦らず走行するための精神力も必要となってくる。そんな過酷なレースだが、田村は自信を語る。「優勝を狙えると思う。新人戦はルール、レギュレーションがかなり複雑。車やタイヤが自由に選べるので、車の相性やタイヤの選定によって、優勝はそこまで夢物語ではない。表彰台に乗って、大学の方に良い結果を報告したい」と、優勝を目標に持ち、専大の部活動としてしっかりとした結果を残す意思を示した。また新人エースとして期待される高橋歩(法1・厚木西)は、「本番は2本しか走れないというところで、ミスなく走る集中力がカギになってくる」と、試合について冷静に分析する中、「他大学からも数多く力のある選手が出場するが、たくさん練習してきたという自負はある。目標は優勝。それ以外ない」と、力強いコメントも残した。

▲カメラ目線をくれた土屋龍之介(経営2・専大付属)


専大自動車部にとって新たな船出となり、今後の活動に勢いをつけるためにも重要な大会。選手は優勝しか見ていない。そんな部が総力をかけて挑む戦いに目が離せない。


文=北原倖多(文1) 写真=鶴本あい(法2) 藤本珠莉(商2)