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〈関東大学リーグ戦1部入替戦=12月11日 熊谷 専大25-39大東大〉
▲大東大に敗れ1部復帰は叶わず 悔しいラストゲームとなった
1部の壁は高く立ちはだかった。リーグ戦を2位で終え1部復帰への挑戦権を得た専大は、1部7位の大東大との入替戦に臨んだ。前半は何度もチャンスを作るも得点には結び付けられず、ピンチでは相手に押し切られ、6-17で折り返す。後半になって攻撃のテンポが上がった専大は3トライを奪い反撃に出たが、守備陣が相手を抑えることができなかった。敗れた専大は2部残留が決定。目標の1年での1部復帰は叶わなかった。
前半は決定力で差をつけられた。開始直後、スクラムから右サイドに展開し、パスを受けたWTB飯塚稜介(文3・桐蔭学園)がショートキックでインゴールまでボールを転がす。しかしここはグラウンディングできず、先制とはならなかった。トライを許さなかった大東大は前半4分、SO落選手がキックで転がしたボールをLOヴニランギ選手が拾いそのままトライ。専大は早くも追う展開に回った。
▲開始直後からチャンスを演出したWTB飯塚だったが、惜しくも得点には至らない
専大はじわじわと点差を詰めた。CTB髙居海靖(経済3・御所実業)のキックが敵陣22mライン奥まで転がると、ボールを拾った選手にWTB飯塚が猛然とチャージしペナルティを誘う。その後一度陣地を回復されるが、再び敵陣まで攻め込みペナルティを得る。専大はショットを選択し、FB古里がPGを決め3-7。さらに前半24分に再びペナルティキックを獲得するとここでもショットを選択。FB古里が2本目のPGを決め6-7。なかなか決めきれない展開が続いたが、なんとか1点差まで迫った。
▲FB古里が2本のPGを決め、一時1点差に迫った
しかしここから大東大の攻撃が猛威を振るう。前半28分、オフサイドで与えたペナルティキックでゴールライン手前まで迫られる。ラインアウトから狭いサイドを突破されそのままトライ。ゴールも決まり6-14と痛い追加点を許す。さらに37分には大東大ボールのスクラムで専大がコラプシングと取られると、相手CTBペニエリ選手のPGが決まりさらに3点を追加。専大は前半終了間際に敵陣深い位置で攻撃を続けるがトライを取り切れず、6-17で前半を終えた。
▲前半28分の失点シーン ショートサイドを突かれトライを許した
▲コラプシングを取られた専大 直後に大東大のPGが決まり点差が広がった
後半に巻き返すプランもあえなく打ち砕かれた。後半3分、相手の転がしたキックがそのまま大東大側に入り、守備陣が戻り切る前にHO西村選手にインゴールへ運ばれた。さらに15分にも西村選手のトライが生まれ、6-29と点差が大きく広がった。
それでも専大は諦めず攻め続けた。後半19分、専大は敵陣22mライン奥のラインアウトからモールでゴールラインに迫ると、LO川畑松太(経営4・東京)が押し込んでトライ。これで11-29。その4分後の23分、自陣深い位置での専大ボールスクラムから途中出場のSH宮坂航生(経済3・中部大春日丘)が自らキャリー。そのまま宮坂とWTB飯塚でボールを繋ぎ、最後は飯塚がインゴールまで走り切った。途中出場の23番新野翼(経済2・石見智翠館)のゴールも決まり18-29。持ち前の攻撃力の高さがようやく発揮された。
▲後半19分にラインアウトからLO川畑のトライが生まれた
▲23分の飯塚のトライ SH宮坂(1枚目)と2人で繋ぎインゴールへ運んだ
しかし、大東大にプレッシャーをかけられつづけた専大守備陣には疲労の色が見え始めていた。後半29分、自陣22mライン付近の大東大ボールラインアウトからモールで一気に押され、相手HO西村選手のこの日3本目のトライを奪われ、18-34。決定的な5点を失った。
▲流れを掴んだ専大だったが、大東大の強力なFW陣を止めることはできなかった
その後後半36分に1年生のWTB原小太郎(経営1・桐蔭学園)が、自陣での鮮やかなインターセプトから独走トライを見せたが反撃もそこまで。25-39。1部復帰の目標は、大学選手権を3度制した名門に打ち砕かれた。
▲自陣でインターセプトしたWTB原 スタメン起用に応えるトライとなった
▲ノーサイドの笛が鳴り、ピッチに崩れ落ちた専大フィフティーン 1部復帰は果たせなかった
「要所で先に取られる展開でいつもより苦しい展開になった。後半は先に点を取って相手を慌てさせたかったが、逆に先に取られてしまった」。村田亙監督は悔しさを滲ませながら試合を振り返った。「スクラムは頑張ってくれて、セットプレーでも耐えてくれた。BKも決定力を見せてくれたが、球際や接点で受けに回ったり勝負所で大東大に取られたりしてしまい、スコアが開いてしまった」と敗因を分析。それでもこの試合を含め、今季躍動した選手には3年生以下の選手も多い。「攻めて継続できれば取れるという強みは今後も変わらない。来季1部で十分戦える戦力は揃いつつあり、3年生以下にいい選手がたくさんいるので、そこを生かせるようにしたい」と期待を寄せる。「もう一度2部で切磋琢磨して、入替戦まで進んで勝利できるように突き詰めていきたい」。指揮官は来年の昇格を誓った。
「ミスの後の反応など、練習で突き詰めていけるようなところで上回られた。後輩たちに申し訳ない」と山口和明主将(経済4・桐蔭学園)は唇を噛んだ。昨年降格の屈辱を味わった山口の1部復帰に懸ける思いは人一倍強かったが、悔しさを晴らすことはできなかった。ただ、「昨年は後半に取られてしまう試合が多かったが、今年は後半から勢いに乗れるようになった。その気持ちの持ち方は4年生みんながこのチームに残せたと思う」とチームの成長を実感するシーズンでもあった。専大ラグビー部の復権は簡単なものではなかった。それでも実り多き秋を送り、チームは確実に成熟した。「簡単に言ってはいけないが、後輩たちにはもう一度この舞台に立ってもらって、借りを返してほしい」。来年こそこの舞台で笑えるように。1年間チームを背負い続けた山口の思いは、次のチームに託された。
▲専大復権へ、1部返り咲きの目標は来年果たす
文=野見山拓樹(文3)
写真=相川直輝(文3) 高橋尚之(経営3) 北原倖多(文1)