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4月28日、神宮球場にて東都大学春季リーグ対駒大の1回戦が行われた。専大はここまで負けなしの4連勝中。対する駒大は昨秋のリーグで優勝し、その勢いそのままに神宮大会を制した。今季はここまでエース今永の登板は無いものの、2年生左腕東野が台頭し投げた試合すべてを完投してきた。
専大大野亨輔(商4・星稜高)、駒大東野の両先発で始まったこの試合は2回、専大の4番濱田竜之祐(商4・鹿児島実高)がヒットで出塁すると5番渡辺和哉(経営4・文星芸大附高)が打席に入る。ここまでの4試合で5打点と勝負強さを発揮してきたが、「意識しすぎていた」というホームランは1本も出ていなかった。昨秋の入れ替え戦では3試合連続ホームランを放ち、昇格の立役者となっただけに周りの期待が大きかったのもあるだろう。
力みを抜いて立った第1打席、東野の初球を投じた。
振りぬいた瞬間、それと分かる打球が左中間スタンド中段で跳ねた。
待望の一発が渡辺に飛び出した。
専大が2点を先制する。
これで専大は5試合連続で先制点を奪ったことになる。流れがいい一つの要因でもあるだろう。(1試合は延長サヨナラ)
一方専大の先発大野はここまで2試合に先発。16回2/3を投げ、失点はわずかに1と抜群の安定感を誇る。力強い直球と新球カットボール、時折カーブを交えながら打者を打ち取るスタイルを確立した。この日も4回までピンチというピンチを作らせない。5回は2死からヒットと四球などで満塁となるが、相手打者をセカンドライナーに打ち取りピンチを切り抜ける。
しかし6回、大野が突如乱れ連続四球で無死１、２塁とピンチを迎える。
ここで齋藤正直監督が動き、高橋礼(商2・専大松戸高)にスイッチ。今季の高橋はリリーフで待機し、相手打線の火消し役としてここまで2勝をあげている。
送りバントで1死2、3塁とされると打者は6番岡田。
敦賀気比高出身の1年生はその打撃が買われて指名打者として出場している。
その岡田は高橋の3球目をとらえると、右中間へ同点のスリーベース。さらに8番奥井のスリーバントスクイズであっさり逆転された。日本代表候補に選ばれるだけあり、相手も研究してきたような攻撃だった。
今春初めてリードされる展開になった専大だが、それでも慌てなかった。
6回の攻撃、先頭の森山恵佑(商3・星稜高)がツーベースで出塁し、1死3塁としたところで相手のワイルドピッチ。森山が生還し、すかさず同点に追いつく。
それでも駒大は直後の7回、高橋を攻めて1死2塁の場面を作る。齋藤監督がマウンドへ行き高橋に声をかけたかと思うと、ここで投手交代。
これまで2戦目の先発を任されてきた堀田竜也(経営2・常葉菊川高)がマウンドへあがった。
堀田は今春リーグ初登板を果たすと、亜大戦では8回2/3を投げ1失点の快投を演じるなど、負けなしの専大を支えている。
しかし代わった直後の先頭打者に対し2ボールからレフト前タイムリーを浴び、再び突き放される。
それでも崩れずに次打者を併殺に打ち取り、最少失点に抑える。
堀田は9回まで毎回ランナーを許すも、点を与えることなく裏の攻撃へつなげた。
攻撃陣もまずは同点に追いつきたいところだったが、駒大も東野のあとを伊藤一、高橋由、白崎と小刻みな継投でつなぐ。
7回、8回と無得点に終わり迎えた9回、1死で7番福田晃規(商4・県岐阜商高)を迎えた。
ベンチの雰囲気はまだ落ちない。福田も応えるかのように、投手に立ち向かう。
そしてカウントは2ボール2ストライク。追い込まれてからの5球目だった。
強く振りぬくと打球は右中間へ。センターとライトが懸命に追うが、フェンスの手前で追いかけるのを諦めた。
「追い込まれていたが、ケースを想定しながら練習していたのでバットをひとつ短く持って対応できた」と言う福田の起死回生のホームランがチームを救った。
同点に追いつき、延長10回も堀田が続投。ランナーを出すも、無失点で裏の攻撃へ弾みをつけた。
迎えた10回裏、先頭の伊與田一起(経営3・明徳義塾高)の四球と濱田のヒットで1死１、２塁のチャンスの場面。
迎える打者は先制のツーランを放っている５番渡辺。
スタンドはこの日一番の盛り上がりを見せた。
サヨナラを意識するこの場面で渡辺はさすがに力が入る。
3球目を空振りし、1ボール2ストライク。ここで齋藤監督が渡辺を呼び寄せる。
「あの場面で監督からお前が決めて来いと言われた」(渡辺)
その言葉で十分だった。
ファールを挟んだ5球目、高めの真っすぐをとらえた打球は右中間を破り伊與田がホームイン。見事サヨナラ勝ちをおさめた。
これで開幕から負けなしの5連勝。
まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだが、チームに浮かれた雰囲気は一切ない。
とにかく目の前の一戦をこれからも戦うだけだ。
齋藤正直監督
先週試合がなかった分、序盤は選手の動きが硬かった。
中盤で逆転され、リードされる展開は初めてだったが後半に追いついて勝ち切れたことが大きい。
(サヨナラの場面で)渡辺が力んでいたので、「お前が決めてこい」と声をかけた。
渡辺もそうだが、福田のホームランも自分たちのスイングができていたので期待に応えてくれた。
渡辺和哉(経営4・文星芸大附高)
(サヨナラの場面)監督から「お前が決めてこい」と言われて、力みが取れた。
打った球は高めの真っすぐ。右方向に狙って打てたのがよかった。
今年は打のチームなので、どこからでも点が取れるのが強み。
逆転されてもチームの雰囲気は良かった。チームも自分自身の状態がいいので、
これを継続したい。
福田晃規(商4・県岐阜商高)
(同点ホームランについて)追い込まれていたが、ケースを想定しながら練習していたのでバットをひとつ短く持って対応できた。リーグ戦期間中も調整ではなく、自分を高める練習ができている。
チームの雰囲気は最高にいい。今日は初めてリードされる展開になったが、ベンチの雰囲気が落ちず、集中して戦えた。
(左投手から2安打)前日までとにかく相手の映像を見て、イメージしながら練習ができているのが大きい。先発も予想できたので、準備がしっかりできている証拠だと思う。
負けなしできているが、勝負はここからなので一戦一戦しっかりと戦いたい。
新井健太郎・文3
