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B.LEAGUE B2 中地区に所属する八王子ビートレインズに特別指定選手として入団した塚本雄貴選手(文4・アレセイア湘南高) の取材に行ってきた。
取材日は3月23日。八王子ビートレインズのホームである、エスフォルタアリーナ八王子で行われた対アースフレンズ東京Z戦である。
塚本選手は八王子ビートレインズ8点リードで迎えた第2ピリオドの終盤、アースフレンズ東京Z 15点リードで迎えた第4ピリオドの終盤に出場し、合計3分23秒の出場を果たした。
この日、塚本選手の所属する八王子ビートレインズは敗れてしまったが、プロの舞台で堂々と戦う塚本選手を目撃することができた。
八王子ビートレインズのブースターの方々は、
「ボール運びが上手く、もっとプレーが見てみたい。」
「ドリブルが上手で見ていてとても楽しい。」
と塚本選手を暖かく歓迎。
▲試合後にはファンとハイタッチも
▲会場には塚本選手のグッズも
石橋貴俊ヘッドコーチは、塚本選手の印象について、
「元気が良く、チームにエナジーを与えてくれる選手。また、物怖じもしない。PGとしての精神的なものは持っている。チームに良い流れを与えてくれている。」
とコメント。また期待している点について尋ねると、
「(試合を)コントロールすることと、スピード。2月22日の対アースフレンズ東京Z戦でもあったが、間を割っていってアシストするようなプレーなどが魅力の選手だと思う。まだ経験も少ないが、もっともっと良い選手になってほしいと思う。」
と期待を寄せた。
試合後、塚本選手にインタビューを行った。
試合に出ているときと、出ていないときで意識していることはあるか。
「基本的には自分はベンチスタートなので、ベンチにいる時はゲームの流れを観ながら、今何をしなくてはいけないのかをずっと考えながら観ている。そして、ゲームの中に出たら遂行していくという形で。(ゲームに出ている中で)自分が思い描いていることをチームとしてやらなくてはいけないことの中で遂行していくということ。イメージをしていて、ゲームに入っていくという感じ。」
▲ベンチでの塚本選手
大学バスケでプレイして来たが、プロバスケの印象は?
「やはり厳しい世界のことには変わりないし、正直、不安になる時もある。好きだからこそバスケットやっているので、楽しみながら、その中に全力というか。価値を求める中で、自分の中では楽しむというか。遊び心じゃないが、ずっと一直線を向いていても、良いものが拾えなかったりするので。視野を広くというか、全体を見れるようにはしている。」
ーー大学時代は視野が狭かったと感じている?
「そこまでではないと思うが、序盤の方でスタートを外されて、その時は。『どうしたらいいんだろう、どうしたらいいんだろう』となっていた時に、今思い返すと遊び心じゃないが、余裕がなかったなと思う。」
ーー盛實海翔選手(商3・能代工高)がよく"楽しんで"プレーすると口にするがその影響か?
「とくにはないですけど、大学入って大きな怪我を二回して、そこで気づいたことが、やっぱりバスケットできる楽しさは、やっている人にしか分からないということ。怪我をしてバスケットができない期間というのは本当に辛い。1番好きなことをやって大学入ったのにバスケットができないとなると、メンタルがというか、楽しめない。多分盛實が言っている"楽しむ"というのは、別かなと。彼自身は場数を踏んでいて、誰が見てもすごいと思う。僕もすごいと思う。(塚本選手は)そのような"楽しい"ではなく、バスケットができている感謝ではないが、そのような気持ちを持ちながら。バスケットができる嬉しさというか、楽しさ、ということ。」
プロバスケの魅力はなんだと思うか。
「ひとつは、大学バスケと違っていろんな世代が集まってやる場所でもあるということ。
加えて、人生を賭けてやってる選手も少なからずいるので、中途半端な気持ちではできないということ。全力で生活もかけて選手がプレーしているのを身に染みて感じて思う。(塚本選手自身が)特別指定選手で入ったからとはいえ、別にその後の契約が続くという保証はされてない。そこが魅力かなと思う。」
他に、どのような点が違うと感じるか?
「大学でやっていたこととプロでやっていたことは全然違う。大学ではできていたことが、プロでは通用しない。大学でやっていたプレーが通用しないというのが1番の違い。」
ーー逆に通用したものは?
「専修大学でこの4年間培って来たものを自分の中で思い返して考えてみると、やっぱりチームをまとめる力じゃないが、そのような立ち位置にいて、それをプレーで反映していくことが今、自分の中で、やって来て良かったなと思う。自分の生きる場所を大学4年間探しながら、自分の与えられた役割の中でどのようなプレーができるかをイメージしながらやっていた。(それが今)生きてるかなと思う。正直、通用しないプレーがあるとは言え、絶対プロの世界では無理だとは思わないし、戦えている部分もあると思う。全然『やばいどうしよう』とは思っていない。」
ーーー大学だけでなく、小中高と主将を務めてきた塚本選手。いつかまた、プロチームでもチームをまとめる役割である主将をやりたいと思うか?
「それは全然思わない。正直、大学の時にキャプテンやっていて疲れたので。でも、任せられたならやりたいと思う。チームがどのような方向性か分からなくなった時に、意思統一しないといけない時とかはやらなくてはいけないと自分でも思う。任せられたらやりたいと思う。でも自分からやりたいとは思わない。」
やりたいと思わないと言ったものの、笑いながら答えてくれた。
八王子ビートレインズの印象は?
「専修大学と似ている部分が比較するとあると思う。大きな理由としては、個々の能力が凄くあるという選手が沢山いること。やんちゃなところがある。正直、自分もやんちゃな部類なのかなとも思う。ひとりひとりの個性が強いなと思う。」
▲浅野崇史選手(平20年卒)と塚本選手
同じように特別指定選手としてプレイする盛實選手や野口夏来選手(経済4・福岡大大濠高)の活躍は刺激になるか?
「盛實に関してはすごいを通り越して、普通に戦えているので、『さすがだな。』と思う。(他の同期は就職したが)野口も自分と同じプロの道に進んだ。同じ舞台にいて、野口の頑張っているところを見ると、『あぁ頑張らなきゃな。』と思う。」
ーープロの道に進むことは即決だったか?
「何回か悩んで、指導者になりたいという気持ちもあった。実業団でやろうかなとも思った。でも、今ここで自分のバスケットが終わった時に絶対に後悔すると思った。だったらもう、生きるか死ぬかじゃないが、そこに行くまでバスケットを追求して、自分はダメだなと感じたらやめればいいと思っている。最終的に、バスケットを追求したいと思ってこの道を選んだ。」
自分の強みとはなんだと思うか?
「大学4年でキャプテンをやっていたことで、今ここになって、あのチームでキャプテンやって良かったなと思うことがある。チームメイトの大金さんや大城さんもチームをまとめるプレイヤー。その中でも、点数を取って引っ張るタイプ。そこに自分が乗っかっていってもバランスが取れないと思うが、チームをまとめる役割にいた専修大学での4年間を、今そのままトレインズでやっている。1番それが強みかなと思う。コートリーダーというかフロアリーダー。プレーも通用していないわけではないので、もっと自信を持ってルーキーらしくやっていきたいなとも思う。」
最後に、個人としての目標は?
「B1、盛實と同じ舞台でやりたい。あとは、昔の専修大学は、黄金世代と言われるまで強かった先輩達がいる。それこそさっきの個性じゃないですけど、ひとりひとりすごい選手、宇都さん(宇都直輝 平26年卒)や田代さん(田代直希 平28年卒)や竜さん(渡辺竜之佑 平29年卒)。その他にもいっぱいる。専修大学のOBの方と戦って勝ちたい。竜さんや田代さんがプロに入ったことで、思った。」
この1年間、主将という立場もあり、何度も塚本選手を取材して来た。塚本選手自身の出場時間が短い試合でも、しっかりとチームとしての反省点を述べる姿が印象的で、頼もしかった。このインタビュー後もアドリブで答えるのは苦手と言っていたが、塚本選手の話に引き込まれた。日頃から周りをよく見て、考えていることを本当に行っているからなのだろうと感じた。
塚本選手のプロの世界での更なる活躍が待ち遠しい。
(文=山下佳帆・経営1、写真も)