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1月5日から7日にかけて、第91回日本学生氷上競技選手権大会のスピードスケート部門が栃木県日光市・日光霧降スケートセンターで行なわれた。専大は500mに出場した石川斗来(経営2・白樺学園高)が3位に入り表彰台に上がると、大会最終日の2000mリレーでは辻本一史(経営4・帯広農業高)らが出場し、リンクレコードを更新する会心の滑りを披露した。惜しくも1位には届かなかったが、短距離勢が健闘した専大は3日間で113得点を獲得し、スピード部門3位という結果を残した。
▲2000mリレーに出場した4選手と前嶋孝監督
≪大会1日目≫
500m
石川斗来 タイム35秒91(3位)
岩佐理央(経営1・帯広南高) タイム36秒21(5位)
辻本一史 タイム36秒30(6位)
1500m
岩下稜(経営4・小海高) タイム1分54秒86(5位)
堀川大地(経営1・白樺学園高) タイム1分56秒68(12位)
山口遼(経営1・帯広農高) タイム1分57秒87(16位)
10000m
原田佳祐(経営2・諏訪二葉高) タイム14分41秒54(8位)
高見澤光希(経営1・小海高) タイム15分18秒39(20位)
比較的高めの気温となった大会初日。500mでは出場した選手全員が入賞し、学校別のポイントを大きく稼ぐことに成功した。1500mに出場した岩下はインカレ4年目で嬉しい初入賞となった。10000mの原田は好成績が予想されたものの、レース中に強風が吹くなど悪条件にみまわれたこともあって思うような滑りができなかった。
競技後のコメント
500m・石川
「いつも最初の滑りで頭が真っ白になってしまうのですが、今日は頭で先のことを考えながら余裕を持って滑れたと思います」
1500m・岩下
「4年目で初めて入賞できて、最後の大会で記録を残せてよかったです。序盤に良い滑りができたことが結果につながりました」
≪大会2日目≫
5000m
原田佳祐 タイム6分59秒71(9位)
高見澤光希 タイム7分21秒43(24位)
新海太智(経営4・佐久長聖高) タイム7分24秒85(25位)
1000m
辻本一史 タイム1分12秒52(5位)
岩佐理央 タイム1分12秒89(7位)
岩下稜 タイム1分13秒15(10位)
この日は1000mに出場した辻本。最終日にリレーが控えているとはいえ、4年である彼にとってこの日のレースが個人で滑るものとしては最後になる。チームの後輩たちも注目する中、辻本は気迫の滑りを見せた。スタートから全速力で飛び出し、コーナーも曲がりきれるギリギリを突く攻めのレースを展開。
やや飛ばしすぎたことで最後はペースが落ちたが、「最初から飛ばすつもりだったので、悔いはないです」とレース後は充実の表情を見せた。レースをコースのそばから見守った前嶋孝監督も「気持ちがこもっていたね。がんばった!」と辻本の健闘を称えた。このレースに思いをかけた辻本の気迫は、きっと後輩たちにも伝わったことだろう。
競技後のコメント
1000m
辻本「隣で滑った選手もトップクラスの実力なので、とにかく離されないことを考えて飛ばしていきました。1歩も引くつもりはなかったので、悔いはないです」
岩下「今シーズンはインカレで入賞することを目標にずっとやってきたので、よかったです。チームに貢献できる滑りができたかなと思っています。」
≪大会最終日≫
2000mリレー
石川斗来
嶋田英爾(経営3・白樺学園高)
岩佐理央
辻本一史
2分23秒09(2位)※リンクレコード更新
そして迎えたインカレ最終日。2000mリレーには、石川、嶋田、岩佐、辻本が出場した。
先頭走者を務めるのは、今大会500mで3位の石川。好スタートを切った石川は安定した滑りで同じ高校の先輩でもある嶋田に引き継ぐと、嶋田も快調に飛ばし1年生の岩佐にバトンを繋ぐ。
岩佐は初めてのインカレとは思えないほど落ち着いた様子で滑り出すと最後はアンカーを務める主将の辻本へ。辻本は「専大はバトンミスが少ないことが強み」と話すように流れるような連携でバトンを受け取ると、メンバーの思いを胸にさらにスピードを加速すると同組の明治大と6秒差でゴール。リンクレコードを叩き出した。
専大の後に滑った日本大学とわずか0.15秒差で惜しくも2位だったが、あと一歩に迫る力走をみせた。
▲第1走者・石川が続く嶋田にバトンを渡す
チームパシュート 4:15.11 8位
岩下稜
堀川大地
高見澤光希
最終種目のチームパシュート(400m×6週)には、岩下稜(経営4・小海高)、堀川、高見澤光望希(経営1・小海高)が出場した。第一滑走者の岩下はスタートに出遅れたが、堀川が味方のミスをカバーするように、29秒92の好タイムでチームを引っ張る。体力的にも苦しい後半は高見澤が最後の最後までチームを引っ張り4分15秒11でフィニッシュ。後半は健闘したが、序盤にかさんでしまった遅れが響く結果となった。
○先頭に立ち続けた4年生 感謝の言葉交わす
専大は総合成績113点の3位で大会を終えた。国体に出場する選手もいるが、インカレのように全員が同じチームで協力する大会はこれが最後だ。全種目を終えた後は引退式が行なわれた。
後輩たちから4年生へ花束が贈呈されると、今大会は役員として活躍し、これを機に競技を引退する毛利祐太郎(経営4・山形中央高)の目に涙が溢れだした。これには普段おとなしめな後輩の石川も涙を流した。共に厳しい練習を乗り越えてきた仲間が互いの頑張りを称えて、インカレと引退式は幕を閉じた。
▲熱い抱擁を交わした石川
3年次から主将を務めた辻本が高嶋監督に「監督には言葉で表せないくらい感謝の気持ちでいっぱいです。今まで本当にありがとうございました」と話しかけると、ふたりは熱い握手を交わした。
強い先輩がいて設備が整っている専修大学に行くことは、当時高校生だった辻本にとって憧れだった。応援に駆けつけた辻本のお母さんは「当時の監督から声をかけられ名刺をもらっときは、ラブレターをもらったかのように目を輝かせながら嬉しそうに帰ってきたのを今でも覚えている」と話す。
そんな辻本はこの4年間を「専修大学に入ってから4年間成長し続けられることができた。時代の流れに流されずにトップレベルの選手と競い続けられることできたのでとても良い4年間でした」と笑顔で振り返った。2年次にはインカレ優勝も経験して、その後はチームのトップとして周りを引っ張った辻本。卒業後も競技を続ける予定だ。
全種目終了後、辻本と前嶋監督にコメントをもらった。
―――リレーを振り返ってみて
去年よりも短距離のメンバーを4人そろえられたので良いタイムは狙えるなと思っていました。今回日大と0.1秒差だったのですが、ここまで差が縮まったのは今回が初めてだったので総合的に見ると4年間の中で一番早いリレーでした。
―――今大会全体を振り返って
今大会は、短距離、500m、1000m、1500mと今年はいっぱいポイントがとれたのですが、長距離はあまりポイントが取れませんでした。それでも、去年の総合ポイントを超えられたので、後輩たちがみんな頑張ってくれたなと思います。
―――2年前、インカレ優勝を経験し主将としてチームを引っ張るにあたり何か意識していたこと、大変だったことはあるか
自分たちは自由をモットーにやっていて、あまり上下関係とか関係なくメニューも自分1人で決めるのではなく、みんなの意見を聞きながらそれをまとめる形でやっていたので、みんなに批判を浴びないように自由にやらせていました。その反面、自由すぎてまとまらないところが懸念ではありましたね(笑)
―――4年間専大スピードスケート部で過ごしてみて
自分はとても良かったと思いますね。専修大学に入ってからタイムも伸び、時代に置いて行かれることもなくしっかりとトップの人たちに食らいつけるまで成長し続けることができたのでとても良い4年間だったのかなと思います。
―――同期に向けて
ギスギスしたときもあったのですが、最後のこの年はまとまって楽しくできたので、4人誰も辞めずにこの4年間一緒に頑張ってくれたなと思います。
―――後輩たちへメッセージ
3年生からキャプテンを務めさせてもらっているのですが、まとめるというよりかは下側から支える方のキャプテンだったので表上はあまり活躍していないのですが後輩たちはしっかりついて来てくれたのでありがとうございましたと伝えたいです。
―――監督に向けて
監督には2年間キャプテンを預けさせてもらい、監督とともに4年間歩んできたので、言葉では言い表せないくらい感謝しています。一緒にメニューを考えてくださってありがとうございました。今後も三重県のスポーツ協会で競技を続けるので大会などで会えたらよろしくお願いします。
前嶋孝監督
―――大会全体を振り返って
シーズン初めの頃は良かったが、体調を崩してしまった者や今大会中に転んだことで肉離れをしてしまい無理して出た者など、全員が本来の力を出し切れた大会ではなかったです。そんなアクシデントがあるなかでも、選手たちは一生懸命頑張ってくれました。
―――石川選手について
力通りの成績だとは思います。ただ、キャプテンもそうですが本当の実力を発揮すればもっと上にいけてもおかしくないですね。
500mに出た3人は全員入賞していますが、一人一人本当はもっと実力がある選手なので悔しいと感じていると思います。
―――リレーについては
力を出し切れた良いレースでしたね。優勝まであと0.1秒ともう少しでした。
―――専大がこれから強くなるためには
技術だけでなく、体力、トレーニングの仕方とかまだまだ課題はいっぱいあります。毎年同じことをやっていても強くならないので、今年1年を分析してまた来年新しいことに挑戦していけたらいいなと思っています。
―――4年生に向けてメッセージ
今の4年生は私が専大の監督になったばかりの時に入ってきた子達でした。大学に入ったら急に監督が変わってしまので選手たちは動揺したかもしれません。でも、4年間一緒にやっていく間に気持ちが通じ合って最後は良い結果を出してくれました。この4年間よく頑張ってくれました。
チームを引っ張ってきた辻本ら4年生が抜けるも、インカレで入賞した岩佐やジュニアワールドカップの派遣選手団に選出された山口など、来年以降の活躍が期待される選手が加入した専大。来季以降に向けて、残された選手たちがどれだけ力を伸ばせるか注目だ。
▲4年生たち。左から毛利、新海、辻本、岩下
(飛田翼・文4、石崎愛奈・法4=写真も)