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専修大学体育会学生の中から、ある選手に焦点を当てていく企画「スポットライト」。いつも以上にクローズアップされた選手たちの姿を専スポがお届けしていきます。第6回は準硬式野球部の中心投手である阿部拓磨(経営3・専大松戸高)にスポットライトを当てた。
下級生の頃から先発投手として試合に出場し、現在もチームの中心選手の1人として活躍する阿部拓磨にこれまでの野球人生を振り返ってもらった。また、長い時間共にプレーをしてきた4年生への思いや明日から始まる清瀬杯に向けてなどについての思いも語ってもらった。
―高校時代について
色々あったなと思うんですけど、元々僕は野手で、高1の時に右打ちから左打ちに変えたりしました。そこから、試合に出れるくらいになれましたが、正直、辛いことのほうが多かったです。でも、やりきって良かったなと今、振り返ると思うようになりましたね。
―いつ頃からピッチャーになったのですか
大学1年の春はバッターで出させてもらってたんですけど、秋からピッチャーになりました。チーム事情的にピッチャーが薄かったのもあって、僕がバッティングピッチャーをしている時、監督に「ピッチャーをやれ」と言われたのがきっかけですね。
―目標の投手はいますか
今のピッチングスタイルを確立してくれたのが2個上の藤後(彰太、平29経営)さんなんですけど、やはり、あの人が僕の最終的な目標であり、あの人を抜かせるように今、努力をしています。エースらしいエースだったなと僕の目には映りました。チームに良い影響を与えて、チームが明るくなって、ただ投げているだけではあるんですけど、影響力のあるピッチャーだったなと思います。
―ご自身の持ち味を教えてください
今、新たに試していることもあるんですけど、自分の最大の武器は打たせてとるピッチングです。その幅を広げるためにストレートを磨いたり、決め球の習得をしてみたりなど、持ち味の打たせてとるピッチングに加え、プラスアルファのことを今取り組むようにしています。
―さきほどの投球スタイルの確立とは打たせてとるピッチングということですか
そうですね、ピッチャーになりたての頃はめちゃめちゃに投げているだけだったんですけど、そこで打たれ始めて、自分で「どうしたら勝てるか」というのを考えて、藤後さんにもアドバイスをもらい、その結果、ツーシームというボールの習得ができて、その打たせてとるピッチングというものがうまく確立されてきたかなと思います。それでも、打たれるようになったので、ストレートの底上げであったり、決め球の習得であったりという新しいことを取り組むようにしていますね。
―藤後さんに言われてきたことの中で印象に残っていることはありますか
「身体は熱く、心は冷静に」ということを常に言われてきました。僕みたいに力でねじ伏せることができないピッチャーは特に心は冷静に相手の嫌がるとこを攻めていかなきゃいけないピッチャーなので、特にそのことは常に言われてきましたね。
―ここまでの2年半で手ごたえをつかんだと思う試合などはありますか
今年の関東大会の法政大戦ですかね。初めて完投勝利を収めて、そこから何回か完投できるようになったので、今のところその試合が大きいと思いますね。
▲今春行われた関東選手権で法政大を相手に初完投勝利を収めた
―ここまでの2年半を振り返って
最初は0からのスタートだったんですけど、今は確実にステップアップできていて、それはなぜかっていうと、色々な人の意見を聞いたり、ちゃんとした指導者がいない分、自分で自分のことを知らないといけないし、やっぱり、自分で考えるっていうことが今の積み重ねに関わってきているのかなって思います。
―これから、あと1年半ほどあると思いますが、どんなピッチャーになっていきたいですか
やっぱり、「阿部に任せたら、勝てる」って言われるくらいのピッチャーには成長していきたいですし、そこまでのピッチャーにならなきゃいけないなっていうのはありますね。
―専修大学準硬式野球部はどんな雰囲気ですか
めちゃめちゃ良い雰囲気です。遊ぶときは遊ぶ、でも野球をやるときはやるっていうメリハリがしっかりしている部活なので、良いですね。
―今年のチームはどんなチームですか
今年のチームは特にそのメリハリが強調されているチームかなって思います。オフの時は、とことん遊んで、野球になると切り替えて、一つの目標に向かって、全員で取り組めるっていう良いチームだと思いますね。
―現在のピッチャー陣を阿部投手から、どう見られていますか
頭数はいるんですけど、いざ試合で投げられるピッチャーは何人いるかって言ったら、3、4人くらいしかいないので、底上げが必要だと思いますね。やっぱり、層の厚いチームは強いチームだと思うので、ピッチャー陣を強くするのが僕の役割だと思っていますし、そこも意識して、練習に取り組むようにしています。
―それは上級生としての自覚ということですか
そうですね。やっぱり、ずっと18番を背負わせてもらっている以上は、それも僕の責任であると考えています。
―4年生への思いを教えてください
野球だけでなくて、私生活とかも面倒見てもらったり、自分が苦しい時とかも色々な話を聞いてもらったりして、本当に心の底から尊敬していますし、この人たちについていきたいなって思える先輩たちなので、清瀬杯で4年生のために一つでも多く勝ちたいという思いは強いですね。
―これまで主にバッテリーを組んできた神山琢郎(経営4・県岐阜商高)捕手について
実力がない僕がここまで試合を作れたり、勝たせてもらえているのは間違いなく神山さんのおかげです。これから清瀬杯の後もリーグ戦がありますけど、残りの数少ないバッテリーとして出れる試合を大切にして、1球1球感謝の気持ちを込めて投げこんでいきたいなと思います。
―投手としての先輩である岡本和記(商4・金光学園高)投手について
岡本さんは本当にピッチャーとしても、人としても尊敬しますね。自分が打たれて悩んでいる時も自分と同じように考えてくれたり、必ず自分が失敗した後はなんで失敗したのかを考えてくれて、「こうしたほうがいいんじゃない?」って岡本さんのほうから歩み寄ってくれるので、自分自身、すごく助かっていました。マウンドで投げている時もベンチから大きな声で自分のことを鼓舞してくれたりするので、僕が岡本さんにしてもらってきたことを今度は僕が下(後輩)に伝えていかなきゃなと思っていますし、岡本さんが残してくれたものはこのチームにずっと受け継がれていくべきものだと思っているので僕が伝えていきたいですね。
―最後に清瀬杯に向けて、意気込みをお願いします
4年生をこの清瀬杯で優勝させてあげたいという気持ちが強いので、僕がしっかり下級生をまとめるという意味も込めて、気合いをいれて、4年生のためにプレーしていきたいです。
チームの柱へ成長した阿部拓磨が4年生への思いと上級生としての責任を胸に、明日から始まる清瀬杯、そして、秋季リーグ戦で1球1球力を込めて、投げこんでいく。
(大河原佳也・文3)